CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

その男、不遜につき 5

2016年11月09日
奇跡のチカラ シリーズ(リーマンパロ) 4






「じゃあ、俺――」
「コーヒー淹れるから、待ってろ」


食事が終わり、綺麗に洗った鍋を持って帰ろうとしたヨンファに、ジョンシンが言葉を遮るような強引さで、ぶっきらぼうに告げてきた。


「いいよ」
「遠慮するな」


リビングに突っ立ったままでいると、壁際に置かれたソファーを指差し、座るように促される。
言うだけ言ってキッチンへと向かったジョンシンの広い背中を見つめて、ヨンファは知らず知らずのうちに溜息をついた。
あまり体調が思わしくないから早く帰りたかったのだが、断る選択肢は初めから与えられないようだ。


結局、皿の中身の半分を残す羽目になり、ジョンシンに全部食べてもらった手前、ヨンファも多少は悪いと思っている。
食後のコーヒーを飲み終えるまでもう少しだけ留まろうかと、腹を据えた。


男がふたり座っても十分余裕があるソファーに、ヨンファはグレーのパーカにカーキのカーゴパンツというラフな格好で、背凭れに寄りかかるように座った。
テレビではずっとサッカーの試合を放送している。
落ち着かない気分で所在なげに視線を向けていると、「ほら」とコーヒーのいい香りのするマグカップを差し出された。
礼を言って受け取ると、ヨンファの隣にどかっと腰を下ろしてくる。
居心地の悪さを持て余しているヨンファの横で、ジョンシンは食い入るように画面に注視していた。


そんなにサッカーが好きとは知らなかった。
ヨンファは代表戦くらいで、Kリーグの試合はあまり観ることがないのだ。
中身が空になったら帰ろうと、ヨンファはコーヒーをちびちび飲みながら、ピッチで走り回る選手たちをひたすら目で追う。
ジョンシンの応援しているチームは、先ほどから何度もチャンスを作っているものの決定打がなく、今もまたFWが相手ゴールにシュートを放ったが、GKにパンチングで弾かれてしまった。
マグカップを両手で持ったまま身を乗り出すようにヨンファが試合に釘付けになっていると、頬に視線を感じる。


「なに……?」


何げなく横を向いて、声が止まった。
いつからそうしていたのか、ジョンシンが物言いたげな眼差しで、じっとヨンファを見つめていた。
伸びてきた骨張った手が、ヨンファの指から中身がまだ半分残っているマグカップを取り上げて、目の前のローテーブルに置く。


訝しげに眉を寄せたヨンファの視界に影が落ちると同時に、端整な貌が今にも触れそうなほど近づいてきた。
固まったように動けないでいると、逞しい腕に腰ごと深く抱き寄せられ、唇がひとつに重なる。
呼吸を塞がれたまま頭の後ろを押さえられ、すかさず侵入してくる舌先に慌てて、反射的に胸板を押し返していた。


「やめろよ。サッカー観てんだろ?」


身を捩ってジョンシンから逃れると、拒絶されるとは思っていなかったらしく、露骨に眉を寄せる。
男の突然の行動が理解できない。
言いようのない不快感に見舞われて立ち上がると、長い両腕が腰に纏わりついて、あっさりと引き戻された。


「こら、テレビに集中しろよ」
「嫌だ」


きっぱりと言い切ると、ジョンシンの太腿の間に座り込む羽目になったヨンファを後ろから強く抱き締めて、髪に鼻先を押しつけてくる。
どうやらもうサッカーを観る気はないらしい。
いつの間にかパーカの裾から手が入り込んできて、脇腹に直接触れられると、身体に震えが走った。
背後から耳殻を優しく噛まれながら、「ヨンファ……」と熱い息を吹きかけるように低く呼ばれる。
途端にゾクリとした感覚が背筋を駆け抜け、あっと思った時には無造作に身体ごと引き倒され、ソファーの上に転がされていた。


情欲の滲んだ双眸に見下ろされ、身体の芯に火が灯るのが分かる。
ジョンシンはいつになく性急だった。
いきなりパーカを捲り上げ、露わになった胸の突起を擽るように舐める。
ビクンッと反応すると、気をよくして小さな尖りを口に含んだ。
立て続けに強く吸われるとツキンとした電流のような痺れが全身を貫き、次第に吐息が乱れて何も考えられなくなる。
いつもならこのまま流されるところだが、今日はそうしたくない自分がいた。


「よせ……よ……」


腕を突っ張ってジョンシンの肩を押してみるが、煩そうに捕らえられ、ソファーに押しつけられる。


「なんで拒むんだよ?」
「今日はそういう気分じゃない」
「俺はそういう気分なの」


朝帰りするほど発散してきたはずなのに、どこまで精力絶倫男なんだと、ただただ唖然とする。
釈然としない気持ちを抱えたまま、再度ゆっくりと重ね合わされる感触に身震いがした。
ジョンシンもどこか違和感を覚えているのだろうか。
先ほどみたいに奪う感じではなくて、ヨンファの反応を見ながら舌で唇の隙間をなぞられ、スルッと中に入り込んできた。


「――ン……ッ」


素直に応えることができないでいても、お構いなしに舌を優しく搦め捕り、我が物顔で口腔内を掻き回される。
舌先に軽く歯を立てられて、全身の血が沸騰したようになった。
ヨンファのすべてを奪い尽くすように、角度を変えて繰り返される口づけは、ありとあらゆるところまで探ってくる。
深くなったキスに翻弄され、ようやく解放された時には、全身から力が抜け落ちていた。


「連絡先を教えるなよ」
「え……」


突然、覗き込むように話しかけられ、咄嗟に思考がついていかなかった。
ぼうっと白く霞んでいた視界に、目を眇めて見下ろしてくるジョンシンが映り込む。
その距離の近さに、ヨンファは息を呑んだ。


「パク・チャニョルだよ。アイツは手が早くて有名だから、訊かれても絶対に教えるな」


手が早いのはお前もだろうがと口をついて出そうになり、ヨンファは寸でのところで抑えた。
どういう意図で忠告してくるのか分からなかったが、そんなことは言われるまでもなく、容易に教えるつもりなどなかった。
ヨンファを自分の所有物扱いしているようなジョンシンの態度に、なぜか腹立たしいものを感じる。


「お前に言われなくたって分かってる」


憮然とした顔つきで短く返すと、ジョンシンはどこか納得しかねた表情で、さらに言い募る。


「アイツとは一時期、仲間内の店でよくつるんでた。異様にモテる上に、好みのタイプを見つけると、片っ端から声をかける悪い癖がある。恋人がいてもお構いなしだ。だから、顧客だか何だか知らねぇが、そこを逆手に取られて間抜けなことにはなるなよ」


仲間内というのは、同性愛者向けという意味だろうか。
一気に冷えきった頭で、そう思った。
男女と違い、自分好みの相手と出会う場は当然狭まるだろうから、ジョンシンがそういう店に入り浸っていても何ら不思議じゃない。
そんなことよりも、最後の言葉が余計だった。


「間抜けって……俺に喧嘩売ってんのか?お前だって、そこで知り合った相手と付き合ってたんだろ?」
「昔のことなんか、いちいち覚えてねぇよ」


幸いなことに表情には出なかったらしく、ジョンシンはヨンファの喉から鎖骨へと唇を滑らせ、舌先でなぞりながら時折きつく吸ってくる。
なぜこんな馬鹿げた質問をしてしまったのか。
淡々とした声音に一蹴されて、すぐに後悔した。
覚えていないくらいの相手と関係を持ったということなのだろうか。


では、あの小柄な可愛らしい青年は?彼は間違いなく、この男に想いを寄せている。
ジョンシンンを見るあの表情は、ただの友人に向けてのものではない。
そのことを思い出すだけで、再び苦いものがヨンファの胸に広がっていく。


この熱を持ったような指や唇は、彼の肌にも這い回ったのだ――。
想像した途端、突如、激しい嫌悪感に襲われた。
ヨンファは自分でも訳の分からない感情に戸惑って、ジョンシンの手から逃れるように身体を引く。
それでも執拗に迫ってきて、無遠慮にパーカを脱がそうとしていた手をどうにか押し留めた。
徹底的に拒もうとするヨンファに、ジョンシンはムッとしたように眉根を寄せる。


「何だよ、そんなに嫌なのか?」
「嫌に決まってるだろっ。疲れてるから、帰る」


ヨンファの困惑しきった様子を見ても大して気に留めていないのか、焦ることなくいつものことだと開き直っている。


「もうちょっと付き合ってくれてもいいだろ?一週間もお預け食ってんだから、焦らすなよ」


掻き口説くように囁かれる低音に肌の熱が上がるが、その言い方がまるで身体だけを求めているようで、すっと心が寒くなった。


「い、やだ……」


ヨンファが身じろいでその手を振り払うと、ジョンシンはさも心外だという顔をした。


「アンタも溜まってんだろ?セフレに毛が生えたようなもんなんだから、抱きたい時に抱かせろよ」


自分が言い放った台詞をそっくりそのまま突きつけられて、後ろからバッサリと切り捨てられたような気分になった。
随分とひどい言葉を投げつけていたことに、今さら気づいても遅い。
この一言で、ジョンシンの心の中に変化が生じてしまったのだと確信した。
胸の奥が凍りついたように冷えきってしまったヨンファは、きつく奥歯を噛み締めると、気力を振り絞って抵抗した。


「冗談じゃない。放せよっ」


こちらの意思を無視して、自分の欲望の赴くままに振る舞う男に、たとえようのないショックを受けた。
割り切って、身体だけの付き合いができるほどヨンファは達観してはいない。
決して同性が好きなわけではないのだ。


即物的な行為に嫌悪感が込み上げてきて、急に胃の辺りが痛くなり、吐き気がしてきた。
これ以上は耐えられない。こんな気持ちを抱えたままで、ジョンシンに触れられたくない。
その大きな手の感触だけで欲情し始める自分の身体にも嫌気が差し、抗議するように男の広い背中を幾度となく叩いた。


「ちょっと、どうしたんだよ。気分でも悪いのか?」


ヨンファの全身が強張っているのを接触した肌から察知したのか、ジョンシンが心配そうに覗き込んでくる。
答えようとしたが、喉に何かが詰まったみたいに声が出ない。
膨れ上がっていく違和感に戸惑いを覚え、この男から離れたい一心で、混乱したまま逃げるように後ずさりした。


「――ヨンファ?」


ジョンシンが当惑したような表情でこちらを見てくる。
まるで、大きな真っ暗闇に呑み込まれたような気分だった。
瞬く間に寒気に襲われ、身体がガタガタと震える。
ぐらりと視界が大きく揺らいだと思うと目眩に襲われ、ヨンファは瞳を閉じて喘ぐような息をついた。
もう限界だった。


「顔色が普通じゃねぇ。熱でもあるのか?」


ヨンファの様子がいつもと違うことに、ようやく気づいたジョンシンが眉を顰める。
全身から血の気が引いて力が入らないでいると、大きな手のひらが額を覆った。
どこかに堕ちていくような感覚の中、ヨンファはずるりとそのままソファーに沈み込む。


「おいっ、ヨンファっ!」


遠くで自分を呼ぶ声が聞こえる。
それを心地よく感じながら、ヨンファはいつしか意識を手放していた。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(4)

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2016/11/10 (Thu) 00:06

haru

i*****さん

こんばんは♡どうもありがとうございます♪
行為そのもののシーンよりも、こういう二人のやり取りやシチュエーションに萌え禿げるので、そう言ってもらえて嬉しいです♡
感情の揺れ動きとか、駆け引きめいたものが大好きなんですよ。
ジョンシンは私の好きな男性のタイプをぶっこませてもらっています(〃ω〃)

今日も大阪でライブですね。
ひと際長身のジョンシンがヨンの前を歩き、そのあと肩を並べて歩く空港動画に脳味噌沸騰しまくりです。
黒髪短髪がすごく似合っていて、カッコよすぎて溜息しか出ません(≧ω≦)
示し合わせて、黒で統一したのでしょうか。
ちょっと自分でもどうかと思うほど、腐目線でしか見れなくなってしまって怖いです。

怒涛の更新……に見えるかもしれませんが(笑)、実際はそうでもないんですよ( ̄ω ̄;)
いつもキリのいいシーンまで一気に書くようにしているんですが、話が長くなると半分に分けて連投しているだけなので、無理をしているつもりはないんです。
最近、頭痛もあまりないですし、目下の敵は眠気だけでしょうか。
こんな私を心配して下さって、ありがとうございます。
自分で言うと馬鹿丸出しですが、メンタルは強い方ですし、バイタリティーもある方だと思っています。
妄想が好きで書いているという単純明快な理由なので、読んで下さり共感していただけると、また自分にいいものが返ってきて書き続けられるってことで、上手く循環しているのかな。

急に寒くなりましたよね。バニが風邪をひくのも分かります。
髪の毛が伸びて、ものすごい色男っぷりですね。
リクエストをいただいている釜山ズが書きたくてうずうずなんですが、あまり続き物が増えてもいけないと思って、このシンヨンを少しでも前に進めてからにしようと我慢しています。
i*****さんも風邪にはくれぐれもご注意下さいね(*´ω`*)

2016/11/10 (Thu) 20:28

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2016/11/11 (Fri) 06:43

haru

Re: タイトルなし

こんばんは♡どうもありがとうございます♪
ジョンシンはどれをとっても、本当に格好良いですよね!!
ライブで来日する度に空港画像が見れるので、ものすごく楽しみです(〃ω〃)

ヨンの萌え袖、いいですね(≧ω≦)
ダボッとした感じのパーカ着て、長い袖から指先がちょこんと出てる状態で、マグカップを握り締めているヨンが目に浮かびます♡♡きっと殺人級の可愛さでしょうね。
それを横からじーっと見ているというね・・・。

YouTubeでBUMPの曲を聴きました!
耳に心地よいボーカルと軽快なリズムで、とても素敵だなと思いました(*´ω`*)
人気が高いのも納得です♪

2016/11/11 (Fri) 20:55