CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

Young Forever

2016年11月04日
その他 10






今日は朝起きた時から、ひどく緊張していた。
こんなことは今までにあっただろうか。
世界各国で数えきれないほどこなしてきたライブなのに、初めて大きな会場のステージに立った日の朝のような、それに近い感覚だった。


リハーサルはいつもと同じような段取りで滞りなく進み、特にトラブルやアクシデントもなかったが、弟たち三人の顔つきはどこか違って見えた。
きっと自分も似たような表情をしていたに違いない。
出会ってから、気の遠くなるような長い時間を共有してきて、お互いの考えていることは手に取るように分かっているから、口に出さなくても何となく伝わってくる。


ステージに立った瞬間、足が震えたが、気持ちを奮起させてライブに集中した。
周りはいつもと変わらない風景なのに、自分の中では何かが違う。
久しぶりのツアーの初日だからだろうか。
いや、そうではないことだけははっきりと分かっていた。


どことなく違和感を覚えながらも、ボルテージを上げたままセットリスト順に曲目が進み、時にMCを交えていく。
楽しい雰囲気になると、全身から余分な力が抜け、安堵している自分がいた。
普段通りにやろうと思えば思うほど、心を置いてきぼりにされているような、今まで感じたことのない感覚に支配される。
自分の胸を巣食う何かを抱えたまま、アンコールでの最後の曲に差し掛かった時、突然、それは起こった。


その歌を歌い始めた瞬間、ここ半年近く心の奥底に抑え込んでいたものがムクムクと頭を擡げてくるのが分かった。
まるであの真っ暗闇の中にいた時の自分と、まったく同じ心境が綴られている。
歌詞を紡いでいくと、自分の中の何かがその時の想いとシンクロして、気づいたら目の奥が熱く滲んできた。
しまったと思った時にはすでに遅く、視界はすぐにぼやけ、こらえきれずに一気に溢れ出した。


ひとりで釜山に帰った、あの日々のことが蘇る。
かつて経験したことがないくらいの不安に押し潰され、毎日、最悪のことばかりを考えていた。
今までもグループが危機的状況に追い込まれたことは幾度となくあったが、これほどまでに重く心に圧し掛かってきたことはない。


リーダーとして自分が三人を引っ張ってきたつもりだったが、一番脆いのは己なのだということを思い知らされ、世の中からひとりだけ取り残されたような錯覚に陥った。
何もしないで、ただ時間が過ぎるのを待つだけの日々は、ひと言では言い表すことはできない。
足元から崩れ落ちながら、得体の知れない巨大な何かに呑み込まれそうになり、心の拠り所を失ってしまうかもしれないという目に見えない恐怖と闘っていた。


でも、そんなことは、誰にも言えやしなかった。
もし自分が少しでも弱音を吐いたら、三人にも影響を及ぼす。
ソロデビューを目前に控えたジョンヒョンや、個人の仕事で忙しく走り回っているミニョクやジョンシンの足を引っ張りかねない。
だから、それだけは絶対にできなかった。
自分が弟たちを守らないといけないという意識が、常に働いているからに他ならない。


アーティストに孤独はつきものだと、いろんな場面で見聞きしてきた。
実際に、自分でもそう感じたことは数えきれないほどある。
そんな想いを噛み締めながら歌っていると、喉の奥が焼けるように熱くなり、何度も言葉に詰まった。
瞳から涙が零れ、頬を伝って滴り落ちていく。


歌詞が止まってしまうと、それをカバーするように力強い三人の歌声が耳に飛び込んできた。
それに背中を押された形で、再び歌詞を紡いでいく。
守っていたつもりの三人から、逆に護られているんだと、この時、初めて知った。


複雑な想いが走馬灯のように駆け巡り、激情が止めどなく次から次へと込み上げてくる。
ああ、なんて満ち足りたひと時なのだろうか。


どんな状況下においても、いかなる理由があっても、一旦ステージに立てば、歌を中断することはプロとして失格だと思っていた。
でも、この時だけは、いつも温かい眼差しで自分たちを受け入れてくれる大勢の人たちの前なら、許してもらえる。そんな気がした。
きっとそれは甘えだったかもしれないが、今だけ。今夜限り。


歌声が響き渡る会場は、これまでにないくらい一体となっていた。
自分たちを包み込む空気は、こんなにも優しくて温かい。
四人で歌いながら、まだ自分たちはやれると、確信した瞬間でもあった。
すべてを涙とともに流して、また一から始めよう。


自分はひとりじゃない。
何があっても、信じて待っててくれる人たちがいる。
そして、弟たちも外見だけではなく、いつの間にか寄りかかれるほど頼りになる存在になっていた。
かつて渋谷で武者修行をしていた最中、ドラマ出演のために単身帰国することになった時の不安そうな面影は微塵もない。


いろんなことを乗り越えて、今の四人がいる。
どんな困難に差し掛かってもお互いに助け合い、前だけを向いて進むうちに、家族以上の絆が生まれていた。
それはこの先、決して揺らぐことはないだろう。


この三人に出逢えて、本当に良かった。
再びまた四人でライブができたことが、こんなにも嬉しい。
今まで当たり前になっていた自分たちを取り巻く環境が、グループ発足以来最大の危機を迎えて、何よりも掛けがえのない宝物だと思い知らされたのだ。










すべての曲目が終わり、ステージ裏から控室へと歩を進める。
通路で声をかけてくるスタッフたちに清々しい表情で応えながら、ヨンファは心からの充足感に満たされていた。


人前でこんなに泣いたのは、幼少期以来だろうか。
まったく思い出せないくらい、自分の本心を心の奥底に閉じ込めて自然に振舞っていたのだと、ちらりと頭の片隅で思う。


ふと前を見ると、視線の先に大切な仲間がいた。
三人の表情はとても穏やかで、ヨンファが戻ってくるのを待っていたようだ。
すべて分かっていると言わんばかりの顔つきで。
まるで『おかえり』と温かく迎えられているようで、くすぐったい気分になった。


固まったまま動けずにいると、いつも一番後ろから優しい瞳で見守ってくれる物静かな男は、両腕を酷使して疲れているだろうに、労いの言葉とともにポンポンと肩を叩いてくる。
口数は少ないが、心から自分を慕ってくれているのが伝わってきて、その一重の眼差しをしっかりと見つめながらヨンファは笑みを返した。


歌い始めに間に合わず、自分の代わりにセンターマイクで歌ってくれた男は、ジョーク混じりに揶揄ってくる。
見上げると、高い位置から深い双眸で覗き込まれ、髪をくしゃりと掻き乱された。
その大きな手は口調とは裏腹にひどく優しく、心にじわりと沁みてくる。
お返しとばかりにヨンファが首の後ろを掴んでやると、めずらしく照れくさそうな顔をした。


そして、夏にソロデビューを果たした男は、いつもと変わらず落ち着き払っていた。
『俺がついているから大丈夫』とも取れるような自信に満ちた態度で、無骨な手が伸びてきたかと思うと、泣き腫らした瞳の周りをそっと指先でなぞられる。
触れられた瞬間、ヨンファの全身に甘い痺れが走り、たったそれだけのことで動揺して、また涙が出そうになった。


この三人と、あと何年一緒に続けていけるかは分からない。
今回のように、不測の事態にいつ遭遇するか予測できないし、先々まで現状が揺らがないという保証もない。
それでも、与えられている今を大切に、ひとつひとつ悔いなく歩んでいくことが何よりも幸せなのだと、ヨンファは改めて感じた。


それが、この道で生きていく者としての使命であり、自分にとって一番の願いでもあるのだから――。





End





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(10)

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hoshi

haruさん。

素敵な小説をありがとうございました。
沁みました。
ホントにね、心がぎゅっと。

ありがとう♡♡
ごめんなさい、うまく言葉に出来ないけれど、彼らがそこにホントに……そんな風に存在しているようで。

ちょこっと、泣いてしまいましたT^T

2016/11/04 (Fri) 08:04

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2016/11/04 (Fri) 08:55

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2016/11/04 (Fri) 14:10

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2016/11/04 (Fri) 21:40

haru

hoshiさん

こんばんは♡
リアルの話を書くのは正直苦手ですが、この事実をスルーして能天気に他の話を妄想することができなくなってしまい、参加された方のレポとそのシーンの動画を観て、自分なりに形にしてみました。
妄想ではよく使わせてもらうネタですが、リアルで目の当たりにするとは思ってもみなかったです。
拙い話なのに、どうもありがとうございます♡♡
いろいろあって私たちも辛かったですが、ヨンを始め他の三人も想像を絶するほどの痛みをその身に浴びたのでしょうね。

いつもレポ、動画、画像でライブに行った気になり、それだけで萌え禿げれるんですが、今回もヤバかったです。
ヨンがジョンシンのシャツのボタンを外すとか、額を擦りつけて汗を拭うとか、もうネタの宝庫ですね♡♡
hoshiさん、シンヨンを書かれているんですか?また読ませて下さいね(≧ω≦)

2016/11/05 (Sat) 02:29

haru

i*****さん

こんばんは♡
読んで下さり、どうもありがとうございます(〃ω〃)
ライブに行ったわけでもないのに、どうしても素通りすることができなくて、下手ですが書いてみました。
ラスト辺りのシーンは不謹慎かなと迷ったのですが、想像にお任せしようと、そういうテイストをちょっとだけぼかして入れました。どう解釈していただいてもいいように(笑)

今年は本当にいろいろあって私たちも辛かったですが、四人はそれ以上で、特にヨンは矢面に立っていましたから、心の傷ははかり知れないほどだったと思います。
ファンを前にして、こらえていたものが一気に出てしまったのでしょうね。
こういう形でヨンが心情を吐露してくれて、切なくて胸を鷲掴みにされてしまいました。

i*****さんは今回初ライブなのですね♡♡
生なので、一つ一つが違う色を出し、その場でしか見れないものに遭遇するでしょうから、どうか楽しみながら四人の姿をその目に焼き付けてきて下さい(*´ω`*)
私もまだ参戦したことがないのですが、来年こそは!と本気で考えています♪

2016/11/05 (Sat) 03:10

haru

ケ**さん

こんばんは♡
コメント、どうもありがとうございました(*´ω`*)
幕張に行かれたんですね♪
参戦してもいないのに、土足で踏み込むような真似をしてごめんなさいm(__)m
どうしても形にしないと前に進めなかったので、下手ですが書かせてもらいました。

その場で、あの四人の姿を生で見られたのはとても貴重でしたね。
ケ**さんもさぞ心を打たれたことと思います。
私もレポと動画で衝撃を受けまして、胸が痛くてたまらなかったです。
今回のことは、これから先もずっとファンの心の中に残り続けるでしょうね。

とんでも妄想しかありませんが、いつでもお気軽に読みにいらっしゃって下さい♡♡

2016/11/05 (Sat) 03:30

haru

は*さん

こんばんは♡
読んで下さり、どうもありがとうございます♪
幕張に行かれた方には本当に顔向けできないものを書いてしまいました。
参戦してもいないのに、土足で踏み込むような真似をしてごめんなさいm(__)m
普段あまり目のすることのない四人と素敵な時間を共有できて良かったですね♡♡
私もパソコンの前で行った気になって悶えていました(-ω-;)

2016/11/05 (Sat) 03:41

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2018/06/09 (Sat) 16:07
haru

haru

m******さん

こんばんは♡

読んで下さってありがとうございます♪
CNのメンバー愛は本物ですよね。
それがこちらにも伝わってくるから、一度ファンになると虜になってしまうのかもしれません。
ヨンファは外見だけでなく、中身もとても素敵ですね。放っておけないというか、目が離せないというか。
そんなリーダーだから、他の三人も心から尊敬して親愛の情を抱いているのでしょうね。
いろんな出来事が四人の身に降りかかりますが、それを跳ね返すだけのパワーが彼らにはあると確信しているので、今後も見守っていきたいです。
私もm******さんと同じように、CNに巡り会えて良かったなと、このご縁に感謝しています(*´ω`*)

2018/06/09 (Sat) 20:44