CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

Sparkling Night 前編

2016年08月03日
Happy Birthday シリーズ 6


『ずっとそばに』 続編



八月中旬、残暑が厳しく相変わらず真夏日が続いている中、ジョン・ヨンファは金浦空港から飛行機に乗り、一路日本を目指していた。
目的は東京で雑誌の取材と撮影があるためで、二時間二十分のフライトで羽田空港へ到着する予定だ。


もうじき同じグループのメンバーで恋人でもあるイ・ジョンヒョンに会える。
そう思うと、ヨンファの口許が自然と綻ぶ。
隣に座っているマネージャーに気づかれないように、窓から外の景色を眺めながら、男のことに思いを馳せた。


グループ内でヨンファに続いてソロデビューを果たしたジョンヒョンは、ソロコンサートを開催するため、一足先に日本へと発っている。
大阪と名古屋公演を無事に終えたようで、今頃は東京に移動しているはずだ。
偶然は重なるもので、ちょうど日本の出版社からヨンファに仕事のオファーがあったので、あとを追うように東京に向かっているところだった。


ここふた月近くはすれ違いが続き、顔を合わす機会が少なかったし、なかなか落ち着いて話もできなかった。
ヨンファは一時期釜山に帰省し、ジョンヒョンはソロコンサートのリハーサルに追われていて、過去を遡ってもこれほど離れ離れになっていたことはなかっただろう。


会えない日々は寂しくなかったと言えば嘘になるが、成り行きに身を任せるしか術はなかった。
この程度のことで自分たちの関係が揺らぐことはないと確信していたし、相手も同様に思ってくれているのが自然と伝わってきたから、耐えられたのかもしれない。
時間が解決してくれることを願い、自分たちにできることを粛々とこなしていると、それが功を奏したのか、本来あるべき姿に戻り始めていた。


当たり前になっていた自分たちを取り巻く環境は練習生時代からの努力の積み重ねもあったが、今回のことでいかに機会や境遇に恵まれていたのか骨身に沁みた。
それに気づけただけでも、必ずしもマイナスばかりだったとは言えない。
あまりにも多忙すぎて自分を見失っていたところもあったから、冷静になって考える時間を与えられたのだと、ヨンファは前向きに捉えていた。










羽田空港に到着すると、マネージャーと一緒にタクシーに乗ってジョンヒョンの滞在しているホテルへ直行した。
ちょうど夕方という時間帯もあり、都心の渋滞に引っかかって、足止めを食ってしまった。


予定よりも遅れてフロントでチェックインを済ませると、高層階でエレベーターを降り、マネージャーと別れて、教えられた部屋へと向かう。
ヨンファも宿泊することを見越して、あらかじめ広めの部屋を手配してくれていたようだ。
ベルを鳴らして少しすると、ドアが勢いよく開き、中からジョンヒョンが顔を覗かせた。


「遅かったな。何かあったのか?」
「渋滞に巻き込まれて、思ったよりも時間がかかってさ」
「そうか。あまり心配させるなよ」


気遣うように言われ、ジョンヒョンがまるで眩しいものを見るかのように目を細めた。


「ああ……ごめん」


間近で精悍な顔を見た途端、胸が疼く。
ドアの前で見つめ合い、ヨンファがその場にキャリーケースを置くと、すかさず逞しい腕が伸びてきた。
強い力で引き寄せられ、あっという間にジョンヒョンの広い胸の中に包み込まれる。


「会いたかった」
「俺も……」


甘い声で愛おしそうに囁きながらきつく抱き締められて、ヨンファも精いっぱい抱き返す。
息が止まるほどの抱擁に、眩暈がしそうになった。
久しぶりにジョンヒョンの温もりを感じて安堵すると、腕の力が少し緩み、どちらからともなく吸い寄せられるように唇が重なる。
徐々に口づけは深いものになり、顎が怠くなるほどお互いを求め合った。
これ以上ないほど長いキスを繰り返して、ゆっくりと唇が離れる。


「ヨンファ」


大きな手で髪を撫でられると、突然腕をグッと引かれる。
ダブルサイズの大きなベッドがふたつ並んだ寝室へと連れ込まれて、ヨンファは少し慌てたようにジョンヒョンの顔を見た。


「……まさか今から!?」
「一体どれだけ触れてなかったと思ってるんだ。もういい加減、我慢の限界」
「って……、まだ夕方だろ……っ」


いきなり体重をかけられてベッドに組み敷かれたヨンファは、大きく目を見開く。
いつマネージャーが入ってくるかもしれないのに、こんな明るい時間から冗談じゃない。
眦の上がった目に見つめられると気持ちが揺らいでしまうが、このまま流されるわけにはいかず、何とか阻止しようと、腕を突っ張らせて厚みのある胸板を押しやった。


「あっ、そうだ!さっきフロントで聞いたんだけど、すぐ隣の日本庭園で夏祭りをやってるらしいぞ」
「……………」
「希望すれば、浴衣と下駄を貸し出してくれるって」
「……………」


ベッドから身体を起こして、ヨンファは必死に声を上げる。
当然ながら、ジョンヒョンは無言のまま、ものすごく恨めしそうな顔をしてこちらを見ていた。


「ヒョニ、聞いてる?」
「耳の遠い年寄りじゃないんだから、ちゃんと聞こえてる。……それで?」


この男にしては、珍しく聞く耳を持とうとしているらしい。
ただ、ムッとした表情から、相当イラついているのが分かった。
一見穏やかそうで、誰に対しても人当たりがいい男だが、実は気が短い一面も持っていたりする。


仕事の時はヨンファを立てて素直に従うが、プライベートになると真逆になり、何かにつけリードするのはジョンヒョンの方だった。
そのため、ふたりきりの時はヨンファに対して歯に衣着せぬ物言いをする。


恋人同士で遠慮のない関係だから仕方ないのかもしれないが、付き合い始めの頃はこの豹変ぶりに驚き、随分衝突したものだ。
練習生時代に告白されて初めて身体を繋げた時は、何かと気遣ってくれて、言動のすべてにこの男の人となりが滲み出ていた。
釣った魚に餌はやらないじゃないが、本人曰く、気を許しているから素が出るとのことで、それに慣れるまで何度口論したか数えきれない。


それが変わり始めたのは、ズケズケとした言葉が愛情の裏返しなのと、意外と器が大きくて優しさに溢れていることに気づいたからだ。
この男の本質を知れば知るほどますます惹かれていき、些細なことには目を瞑れるくらいジョンヒョンに傾倒するようになった。


「なんかさ、いろいろ屋台も出てるって。面白そうだから、行ってみようぜ」
「……ガキか」
「いいだろ。韓国だと一緒に出掛けることなんてなかなかないんだし、楽しそうじゃん。しかも、今日はこのあと特に予定もないだろ」
「することなら、たんまりあるじゃないか。これ、どうしろって言うんだよ」


見ると、ジョンヒョンの下半身はもうその気になりかけていた。
同性だから一度こうなると辛いのはよく分かるが、とにかく今は絶対に嫌だ。
それでも多少は罪悪感を覚え、気休めにしかならないと思いつつ穏便にこの場を収めたくて、ヨンファは真一文字に引き結ばれた唇にキスをした。


「また帰ってきてから…な」
「本当だろうな?言質を取ったからな」


咄嗟に肯定の返事をしてしまったが、挑戦的なことを言われて急に不安になる。
何となく嫌な予感がしないでもない。
少しでもジョンヒョンの機嫌を取っておこうと、ヨンファは不本意ながらあの手を使うことにした。


「俺、もうお腹ペコペコでさ、ヒョニと一緒にたこ焼きが食べたい」


伏し目の状態から上目遣いで頼んでみると、グッと詰まったような顔をする。
どの角度の表情をすればジョンヒョンに効果的なのか、長年の付き合いからだいたいは把握していた。


「……しょうがないな。可愛いから、ひとまず解放してやる」


これ見よがしに大きな息をついて、ジョンヒョンがベッドから下りる。
可愛いは余計だが、急場を凌げたことに安堵していると、それがあからさまに顔に出ていたのか、ジョンヒョンが眉を顰める。
その表情を見て焦ったヨンファは、わざとらしく窓の外へと視線を逸らすと、絶景が目に飛び込んできた。


「おっ、すごい眺めだな……」


思わず感嘆の声を漏らして窓際に近づくと、ミッドタウンの見事な夕景が広がり、ヨンファはあまりの美しさに言葉を発するのを忘れてしまった。
オレンジ色をバッグにおびただしい数の高層ビル群がライトアップされ始めていて、東京タワーが夕闇にひと際くっきりと浮かび上がっている。


このホテルは日本を代表とする高級老舗として、国内外の著名人やセレブがこぞって滞在することで有名だ。
世界各国を飛び回るヨンファはいつも最高クラスのホテルの上階に宿泊し、こういう景色は見慣れているはずなのに、ここが東京というだけでひどく特別なもののように感じられる。
ここはデビューする前に武者修行と称してライブ活動をしていた、自分たちにとってはいわば原点の地でもあるから、非常に感慨深いものがあり、尚更そう思うのかもしれない。


壮大なパノラマビューを堪能すると、ヨンファは視線を巡らせて、広々とした部屋の中を見て回る。寝室の奥へと足を進めて、思わず絶句した。
全面ガラス張りのバスルームの中にかなり大きめの白いバスタブが鎮座していて、壁一面に広がる窓からは日本庭園や突き抜ける空までもが見える。


「なぁ、この部屋、どう見てもカップル向けだよな。ガラス張りって……丸見えじゃないか」


気恥ずかしくなってジョンヒョンに同意を求めると、平然とした調子で答えが返ってきた。


「俺たちには打ってつけの部屋ってことだな。今更、照れる間柄でもないだろ。いろいろと楽しみだな……」
「……………」


この男に聞いたのが間違いだった。
後ろで嬉しそうな顔をする男の台詞に、ヨンファはわざと聞こえない振りをして、そそくさと引き返した。
ジョンヒョンにいきなり寝室へ連れ込まれたため、あまりよく見ていなかったが、洗練された和モダンな空間を演出した開放感のあるリビングは、品格が感じられるデザインと重厚感のあるインテリアで統一されている。


「うちの代表、いつからこんなに気前が良くなったんだ?何もここまで豪華な部屋じゃなくてもいいのに」
「今回のことで事務所も多少は悪いと思っているんじゃないか。それと、俺のソロデビューのご褒美も兼ねて」


戸惑い気味に話すヨンファに対して、ジョンヒョンはしれっとした顔で言ってのける。


「俺もお前くらい心臓に毛が生えてみたいよ」


やや脱力しながらもヨンファは気を取り直すと、仕事のことに意識を向けた。
ジョンヒョンは昨日名古屋公演を終え、三日後にここ東京で二日間コンサートを行う。
本番の日まで会場で入念なリハーサルがあるが、それ以外は恐らく自由時間なのだろう。
ヨンファも自分の仕事が終われば、あとは一緒に帰国する予定にしている。


「ライブ、無事成功したみたいで良かったな」


大阪と名古屋でのコンサートが終わったあとに、ジョンヒョンからメールで¬報告は受けていた。
やはりこのルックスと美声でもともとファン層が広いから、ソロでもかなりの集客が見込めたようだ。


「いくらバックダンサーがいても、歌うのは俺ひとりだし、ギターを弾かずに歌だけってのがすごい違和感があった」
「慣れたらどうってことないだろ」
「まぁ、そうかもしれないが、俺は別に自分で望んだわけじゃない」


この話はふたりの間で、今まで何度も繰り返してきた。
ジョンヒョンは欲がないというか、変化を好まないところがあり、今回のソロデビューに関しても当初からあまり乗り気ではなかった。


ヨンファがソロデビューしたあとに、同じ事務所のイ・ホンギ、その次にジョンヒョンと事前に事務所から打診されていたにもかかわらず、本人はどこ吹く風で、本当にやる気があるのかそばで見ていてハラハラしたものだ。
そうは言っても、やることはきっちりやる男なので、ヨンファの心配をよそにアルバムの出来も良く、いいデビューが飾られたのではないかと思っている。


「ヒョニの気持ちも分かるけど、せっかくのチャンスなんだから、生かすべきだろ。絶対にマイナスになることはないんだから」
「ああ、分かってる」


いろいろと葛藤があるのは見ていて分かる。自分もそうだった。
ソロ活動をすれば、それだけグループ活動に専念できなくなる。
両方の板挟みになり、一番大変なのは本人だ。
でも、それだけ経験値が高くなり、より実力もつくわけだから、グループにとってもプラスになると確信している。


「それはそうとさっきの話だが、祭りに行きたいんなら、浴衣を借りてるぞ」
「えっ?」


ジョンヒョンに言わるがままにウォークインクローゼットを開けてみると、中には浴衣や帯などが一式揃えてあった。


「なんだ、お前も行く気満々じゃないか。早く言えよ」
「一戦交えてから、行くつもりだったんだよ」
「……………」


欲望に忠実すぎる男に呆れ果てて、もう何も言いたくなかった。
ティーンでもあるまいに、ジョンヒョンの頭の中にはソレしかないのかと胡乱な目で見てしまうが、この男はそれだけではないのだ。


口では何だかんだ言いつつも、頭の中ではいろいろと考えてくれている。
恐らく祭りに行きたいというヨンファの気持ちを先に汲んで、借りてくれたのだろう。
押しつけがましくない優しさが、心の中にじんわりと広がった。


せっかくの厚意に甘えて、早速着替えることにした。
浴衣は今までも日本のホテルに宿泊した時や雑誌の撮影で着たことがあったから、ふたりとも手慣れたものだ。
ヨンファは濃紺の浴衣に白地の帯を合わせ、ジョンヒョンはグレーの浴衣と黒地の帯の組み合わせに決めた。


浴衣を身に着けてみて、事前にマネージャーから聞いてホテル側が用意してくれたのかと思うほど、袖や裾の長さがちょうどいいことに驚く。
訊くと、ジョンヒョンが気を回してサイズまで指定してくれたらしい。
帯の結び方もおぼろげに覚えていたから、何とか形にはなった。


下駄を履いて準備が整うと、念のためマネージャーに行き先を告げて、ふたりで部屋を出た。
ジョンヒョンは色白で彫が深いためハーフとよく勘違いされるが、こういう格好をさせても見事に様になる。
ヨンファより上背があって体つきががっちりしているので、大人の男の色香を醸し出していて、ロビーを行き交う人がすれ違いざまに振り返るほどだった。


浴衣姿でいるからか自然と人の視線が集まり、近くにいた若い女性のグループが嬉々とした顔でこちらを見つめている。
まずい。気づかれたか?と瞬間的に固まると、いきなり大きな手に手首を掴まれた。


えっ?と思う間もなく、ジョンヒョンは距離を詰めてくる女性たちに、「プライベートだから、ごめんね」と流暢な日本語で断りを入れると、ヨンファの手を引っ張った状態で足早にロビーを抜けて外へ出る。


「わっ……ちょっと……っ」


ヨンファは茫然としながらも、ただついて行くしかなかった。
あっという間の出来事で、日本庭園の中に入るまでジョンヒョンの無骨な指はヨンファの手首を捉えたままだった。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(6)

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2016/08/03 (Wed) 05:55

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2016/08/03 (Wed) 08:36

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2016/08/03 (Wed) 08:38

haru

こ*****さん

こんにちは♡いつもありがとうございます♪
韓国が舞台だと浴衣は書けないネタでしたが、突然バニのソロコンに気づきまして、強引ではありますが、ぶつけてみました。捏造のオンパレードで本当にお恥ずかしいのですが、また続きもいずれアップしますね♡♡

2016/08/03 (Wed) 17:36

haru

は*さん

こんにちは♡
私が使用する画像って古いものばかりですね(´・ω・`;)
今回は浴衣姿がこれしかなかったので使わせてもらったのですが、私はスリムなヨンが大好きなので、つい昔のを貼りつけちゃってます。続きはバニ視点で書いてみようと思っているので、馴れ初めのエピソードもちょこっと登場させてみたいですね。
次は極道をアップするので、こちらの続きはもう少しお待ち下さると嬉しいです♪

2016/08/03 (Wed) 17:47

haru

t*******さん

こんにちは♡
ヨンが復活してくれて、本当に嬉しいですね♪
私もテンションを上げて、頑張っていきたいです。
今日からまた極道の続きに取り掛かり始めました。
頭を柔らかくするために軽めの話を間に入れましたが、夏祭りの続きも形にしていきますね。
いろいろと書き散らしてごめんなさい(´・ω・`;)

2016/08/03 (Wed) 17:52