CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

DESTINY 7 Last

2016年03月08日
DESTINY 0






長いトンネルをようやく抜けたような心境だった。


ヨンファは再び自分の家に戻り、また一人での生活が始まった。





ジョンシンの家で過ごした一週間は、思いがけず居心地の良いものだった。
勝手に決められたことに対しヨンファが怒りを露わにし、最初こそ抵抗したものの、その後は特に波風が立つこともなく、穏やかに過ごせた。
ジョンシンは食事をはじめとする家事全般を請け負ってくれ、ヨンファにさせることはほとんどなかった。
お陰でヨンファは何不自由なく快適に暮らせ、リハーサルだけに専念することができたのだ。


仕事を終え帰宅しても一人ではなく、ジョンシンやシンバが待ってくれている。
『ただいま』を言う相手がいるということが、こんなにも幸せなことだと思ってもみなかった。
四人で共同生活を送っていた頃にも、これほどまでに感じたことはなかった。
実家を離れ、ずっと仕事人間で突っ走ってきたヨンファは、もしかするとこういう家庭の温もりに飢えていたのかもしれない。


ジョンシンは義務感で仕方がなくやったことだったにせよ、ヨンファにとってはとても有難かった。
最愛の相手と可愛い愛犬がいて、それこそ絵に描いたような生活。
いい加減未練を断ち切らないといけないのに、未だに忘れられないでいた。


あの場所に誰か別の人間が入り込むような日がいつかは来る。
その時、自分は正気でいられないのではないか。
それまでにこの気持ちを早く清算したいと思っているのに、いつまでたっても相変わらず自分は堂々巡りのままだ。


ただ、別れ際の合鍵を返した時のジョンシンの表情が妙に引っかかっていた。
自分は何か大事なことを見落としているのではないかと、何度もその時のシーンに思いを馳せる。
しかし、それを確かめる術はなく、ただの勘違いだったのだろうと、この件は忘れ去っていた。






*********************************************************************






そして、2月26日。
ヨンファにとって初のソロコンサートが明日、ここソウル市で初日を迎え、いよいよアジアツアーが幕を開ける。


目に見えないプレッシャーとの闘いで一時期は体調不良に陥り、メンバーを始め関係者に多大な迷惑をかけてしまったが、
本番までに何とか間に合わすことができた。


大勢のスタッフたちは朝から会場入りし、機材を持ち込み、午前中にはステージがセッティングされた。
そして、ヨンファは午後からのリハーサルに参加し、本番さながらにセットリスト順に進行を確認していく。


今回はいつものCNBLUEのステージとは違って、ピアノ弾き語り以外ではヨンファは楽器を一切使用せず、名だたるセッション・ミュージシャンを集めた『ジョン・ヨンファバンド』と共演する。
彼らの演奏をバックにひたすら自分の声だけで熱唱するのだが、回を重ねるごとに皆の息が合って、完成度の高い仕上がりになっていた。
また、トップアーティストたちとのコラボレーションなどの多彩なプログラム内容についても、入念にリハーサルを行っていた。





キリのいいところで休憩に入り、ヨンファがステージを下りると、観客席のところに代表と理事の姿が見えた。
まだ礼を言っていなかったことを思い出し、やや緊張した面持ちで二人が座っている方へと向かった。


「ヨンファ、とても素晴らしい出来栄えだな。調子が良さそうで安心したよ」
「ありがとうございます。いつもと勝手が違うんで、皆さんに助けてもらってます」


代表は、リハーサル内容に満足そうな笑みを浮かべていて、ヨンファは心からホッとした。
プロデューサーの顔を持ち合わせているから、見る目は非常に厳しく、思ったことはズバッと遠慮なく発言する人なので、
OKをもらえたことは自分にとって大きな自信になるのだ。


「貴方が大変そうなのは気付いていたけど、私たちには見守ることしかできなかったの。よくここまで頑張ったわね」
「そのことですが、いろいろとご迷惑をおかけしました。お二人に助けていただいたお陰でここまで来れました。感謝しています」


ヨンファが二人に頭を下げると、意外な声が返ってきた。


「私たちはこれと言って何もしていないが?」
「はい?えっ…あの…ジョンシンの家に行くことを提案して下さったんじゃ……」


すると、代表と理事がお互いに顔を見合わせている。
二人の目が若干泳いでいるような気がして、ヨンファは違和感を覚えた。


「あ…そうそう。ジョンシンなら同じメンバーだし料理も上手いと聞いていたから、ヨンファが一人でいるよりはいいかと思ってね」
「貴方の顔色を見て、ジョンシンとの生活が合っているのだと思っていたのよ」


直感的に何かおかしいと感じた。
二人の様子が不自然だ。


「……何か、俺に隠してますね。違いますか?」


いつもの代表らしくなくオドオドしている様子で、再び言い募るヨンファに降参してとうとう口を割った。


「実は、ジョンシンから申し入れがあったんだ。ヨンファの面倒を看させてくれと」
「え?」
「ジョンシンも今はグループのことだけじゃなく個人活動が忙しいから、最初は私たちも止めたのよ。でも、どうしてもこのままにしておけないからって」


代表と理事の口から初めて聞いた話に、ヨンファは絶句する。
そんな…馬鹿な……。


「それ…じゃ……食費などの費用は代表が出して下さったんですか?」
「いや。会社から出そうと言ったんだが、ジョンシンが頑なに拒否をするから、自腹を切っているはずだ」


『普段からこんな豪勢なもの食ってるのか?』
『そんなはずないだろ。ヒョンがいるから特別』
『これ、高かっただろ?』
『代表のポケットマネーから出てるから、心配いらない』


ヨンファは言葉が出なかった。
こんなことって……。
ヨンファの唇は震え、奥歯を強く噛み締める。
何で嘘をついてまで俺の面倒なんか看たんだ。何でっ。


「ただ、このことはヨンファには内緒という約束だから、知らないフリをしていてくれ。お前が気を遣うだろうからって」
「ジョンシンだけじゃない。ジョンヒョンやミニョクも貴方のことはとても心配していたわ」
「お前の弟たちは本当にリーダー思いだな。仕事がなかった頃、お前に世話になったことを未だに感謝していた。
ヨンファに何かあった時には、自分たちが盾になって守ると」
「………っ」


そんな風に思っていてくれたなんて……。
てっきり、情けないリーダーと蔑まれていたとばかり思っていた。
ヨンファは自分のささくれ立っていた気持ちを心から恥じた。


「貴方は何でも自分で解決する強い力を持っているし、プライドもあるから、直接助けるような真似をしたら貴方を傷付けしまうんじゃないかって。だから、間接的で貴方の負担にならない方法で何かできないかって、相当頭を悩ませてたわよ」
「いい弟たちを持ったな。ヨンファ」
「はい……」


ヨンファは身体中が震えて、目の奥から溢れ出そうになるものを必死で堪えた。
そして、代表と理事と別れ、奥の人気のない控室へと入り、膝から崩れ落ちた。
抑えていた涙が頬を伝って、ポタポタと床を濡らしていく。


―――あの時、俺はジョンシナに何て言った? 


『お節介なんだよっ。俺が頼んだわけでもないのに。お前もこんな割に合わないことをよく引き受けたよな。暇なのか?こんなことしてないで、もっと他にすることあるだろ?俺の守りなんかやっても何の得にもならないのにっ。お前だって本当は俺のこと、情けないリーダーだと思ってんだろっ?』

『お前に何が分かるっ。偉そうな口を聞くなよ。俺がどういう気持ちでいるか、マンネのお前に分かるはずがないだろっ!』


―――いくら事情を知らなかったとはいえ、俺は何て酷い言葉を……。
俺は自分で自分が許せない。何と言ってアイツに詫びればいいんだ。


ジョンシンに合鍵を返した時、何故あんな顔をしたのか分からなかった。でも、今なら分かる気がする。
お前は嘘をついてまで、俺のことを……。


今までの数々の場面とジョンシンの言動を思い起こし、ヨンファの胸は切なくキリキリと痛んだ。






*********************************************************************






2月27日、ソロコンサート初日。
3日間のソウル公演を皮切りにアジアツアーが幕を開けた。


ヨンファは緊張することなく、今までにないくらい清々しい表情をしていた。





今日は観客以外にFNCエンターテイメントの他グループの仲間たち、そして事務所関係者も多数来場しているようだった。
FNC所属のアーティストたちは今までグループ活動に邁進してきたが、事務所の方針で今年からはソロ活動が活発に行われる予定らしい。


その一人目としてヨンファに白羽の矢が立ったのだが、ソロアルバムの売り上げも好評で、米国ビルボードのワールドアルバム・チャートで首位に立った。
この結果を踏まえて、今日からのアジアツアーも必ず成功を収めるとヨンファは確信していた。


ミニョクは仕事で来れないが、ジョンヒョンとジョンシンもこの中にいるはずだ。
今回いろんな人たちに心配や迷惑をかけてしまったから、皆への感謝は音で返したいと決意していた。





コンサートはソロアルバム収録曲全曲とCNBLUEのヒット曲をセットリストに入れ、歌っていく。
主にバラード中心で、特有のロックスピリットも織り交ぜた。
普段あまりやらないダンスまで公開すると、観客の熱い反応を得ることができ、手応えが感じられた。
また、スタンディングの客席の間まで飛び降りて行くなど、終始観客を飽きさせないような内容にし、会場は大いに盛り上がった。





そして、ついにアンコール最後の曲となった。
これはソロアルバムのタイトル曲にもなっている歌で、恋人と一緒だった素敵な想い出、素敵な日という内容を盛り込んだ
別れの後の切なさを表現してヨンファが作詞作曲したものだ。


ヨンファは観客席を見つめて、気持ちを込めて歌い始めた。


思い出がまた蘇る
大切にしてた沢山の言葉たち
胸の中 奥深くにしまっておいたまま
あの時はわからなかったんだ
別れを知らなくて
ある素敵な日
涙を流す日
眩しいほどに美しくて 胸が痛んだ日
ある素敵な日
戻れはしない日
あの日を あの日を あの日を
君は僕を忘れていくとしても
とめどなく溢れ落ちる
涙 乾いた思い出たち
僕たち愛し合ってた思い出たち
僕たち 大切だった日々
未だに僕は忘れられないよ


すべての曲を歌い終わり、観客の惜しみない拍手と声援に笑顔で応える。
その裏で、ヨンファは内心愕然としていた。
歌っている最中に頭に思い描いたのは、この歌詞の元になっている男女の元恋人同士ではなく、ジョンシンのことだったのだ。





初めてのソロコンサートは、世界中の多くのステージを経験して積んだ熟練したステージマナーを余すことなく見せて、2時間に渡りステージ上を休むことなく走り回り、終演となった。


すべてをやり終えたヨンファは終始笑顔で、心地よい達成感に浸っていた。





ステージをあとにすると、ヨンファは大勢のスタッフたちに拍手で迎えられながら楽屋へと戻った。
するとすぐさま、ジョンヒョンとジョンシンが花束を持って訪ねてきてくれた。


「ヨンファヒョン、お疲れ様。もう格好良くて、本当にすごかったよ。俺、感動して言葉が出ない」


ジョンヒョンが普段あまり目にすることがないくらい興奮していて、ヨンファの方が驚いた。
そして、ジョンシンは……。


「やっぱりジョン・ヨンファだ」


その一言にジョンシンの想いが全部集約されているようだった。
小さく笑って、それからヨンファは眩しそうにジョンシンを見上げる。


「俺を誰だと思ってる」


自信満々に言い切ったら、ジョンシンは一瞬驚いた後すぐにほくそ笑んだ。
その瞳は賞賛の色を浮かべていた。


―――ジョンシナ。俺を立ち直らせてくれたのも元気づけてくれたのも、お前、ただ一人だけだよ。






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残り2日間のコンサートも無事大盛況のうちに終わった。
共演者やスタッフたちとともに打ち上げに参加し、ヨンファは久々に酒を飲んで、楽しい時間を過ごした。
皆とは本番を終えて絆がより一層深まったようで、まさに運命共同体と言える存在になっている。
二次会にも誘われたが、それは辞退して、ヨンファはある場所へと向かった。










もうじき日付が変わろかという時間帯。
深夜の道に人影はなく、辺り一面閑散としていた。
ヨンファは高くそびえ立つマンションを見上げ、目的の部屋に電気が点いていることを確認すると、徐にスマホを取り出してメールを送信した。


『今から3分以内に下りてこないと絶交』


自分でも何て子供じみた馬鹿なことをしているのかと思う。でも、自分から一方的に行動を起こす勇気はまだない。
だから、決して気持ちを試しているわけではないけれど、今から踏み出す一歩に対して、どうしても背中を押してほしかった。
一年で一番寒い時期の有り得ない時間だけど、果たしてこの無茶な誘いに応えてくれるだろうか。





すると……ジョンシンは本当に3分以内に下りてきた。
考えられない速さで、息急き切って現れた姿に愛しさが込み上げてきて、胸が痛くなる。


「遅い」
「ってね…。これでも全速力で下りてきたんだぞ。何だよ、ヒョン。打ち上げやってるんじゃないのか?こんな子供みたいないたずらするために抜け出してきたのかよ。俺、さっき帰ったばっかりで疲れてんのに、もう勘弁しろよ」


口では文句を言ってくるが、その瞳はヨンファをじっと包み込むように温かかった。


初めて出会った時から自分を慕ってくれ、どんな時も深い愛情で見守ってくれ、臆病な自分をいつも大きな心で包み込んでくれる。
この大切な存在を二度と手放してはいけないと思った。


倫理観や周囲の目に囚われすぎて、今まで拒絶し続けた自分は何て馬鹿だったのか。
でも、こんな不器用な自分だからこそ、これほどまでに時間がかかり、ようやくこの結論に達することができた。
だから、後悔はしていない。良い時期での決断だったと言えるから。


ヨンファはじっとジョンシンを見つめ返した。


今まで随分と待たせてしまった。
何度も言葉にしてくれたのにそれを拒絶して、何回傷付けてしまっただろう。
その上、嘘の言動をすべて信じ切ってしまい、自らこの想いを封印しようとまで考えていた。


だから、今度はこちらからはっきりと言葉にして伝える。
これが俺のやり方だから。





「好きだよ」
「へ?」


ジョンシンは咄嗟にその意味が分からなかったらしく、ボケーッとした顔をしている。


「お前が好きだ。ジョンシナ」


ヨンファの言葉を頭の中で理解したようで、ジョンシンの顔色が変わる。


「メンバーや弟としてじゃなく、一人の人間として」


信じられないことを聞いたかのように大きく目を見開き、全身は固まったまま動かない。


「俺にはお前が必要なんだ」


ヨンファは自信に満ちた顔で言い放った。
もう逃げも隠れもしない。目の前の愛しい存在を今度こそ手に入れるために。


ジョンシンはしばし呆然とした様子でヨンファを見つめていたが、やがてくしゃりとその顔を歪めた。
一歩ずつヨンファに近付き、その顔は今にも泣きそうで、大きな身体は震えていた。


そして、目の前まで来ると、強く抱き締められた。


「……ヨンファ、愛してる」


何て、長い道のりだったんだろうな……。










自分の気持ちを伝えたら帰ろうと思っていたのに、ジョンシンに腕を掴まれて一緒にエレベーターに乗った。
ジョンシンは正面を向いたままヨンファの方を見ようともせず、その間、逃さないかのように手はずっと握られていた。


ドアを開けたジョンシンに促されて中に入ると、いきなり壁に押し付けられて激しい口付けが降ってきた。


「…っ、……ん…」


突然のことに驚いて口を開くと、すかさずジョンシンの舌が入り込んできて、口内を蹂躙される。
噛みつくような荒々しいキスに呼吸が苦しくなってきて、一瞬唇が離れてホッとすると、再び吐息ごと唇を奪われる。
何度も角度を変えては深く入り込んでくるジョンシンに堪らず身を捩じると、それを許さないかのように腰をきつく固定される。


こんな情熱を一体どこに秘めていたのかと驚くほどに、ジョンシンがストレートにヨンファを求めてくる。
あの一週間はそんな素振りをまったく見せなかったというのに、ヨンファは突然のジョンシンの豹変ぶりに声も出なかった。


「ジョンシナ…待って…」


長い口付けからようやく解放されて、ヨンファが息をつきながら上目遣いで見ると、欲しくて堪らないものを目の前にしたような熱い眼差しとぶつかる。
ヨンファの喉がコクリと静かに上下した。


「もう待たないから」


それっきり無言になったジョンシンに、手を引かれて慌てる。
表面上は穏やかそうなのに、拒むことを許さないかのような力強い響きがあった。
連れて行かれたのは、ジョンシンの部屋だった。


「シンバ、お前は来たらダメ」


主人の帰宅に気付き、一緒に入ってこようとしたシンバを頑として拒んで、部屋に二人きりになった。
電気の点いていない部屋は、月明かりがまるで青い光が差し込んだような幻想的な雰囲気に包まれていた。
一週間ここで寝泊まりしたのに、その時と同じ部屋とは思えないほどに。


ヨンファがそこに佇んでいると、ジョンシンが後ろからを抱き締めてきて、肩口に顔を寄せる。
耳元で囁かれるいつもよりも低い声には、欲が滲んでいた。


「ヨンファ……いい匂いがする」
「…ジョンシナ……あの…な……」


まさか今日の今日でこういう展開になるとは思ってもみなかった。
耳朶から首筋に沿って下りてくる唇に戸惑っていると、ヨンファの言わんとしたことが分かったのか、ジョンシンは譲らない口調で言い切った。


「もう一秒たりとも待てない。今からアンタを抱いて俺のものにする」


熱情的に自分を求めてくる姿に眩暈がしそうになった。
ダウンジャケットとセーターを剥ぎ取られ、ブルッと寒気で震えるヨンファの背中にジョンシンの熱い胸板が押し付けられた。
ジョンシンの性急な振る舞いにヨンファはなかなかついていけず、遠慮のない手はお構いなしに中まで暴こうとする。
後ろからシャツのボタンに触れられ、ヨンファは反射的にジョンシンの手を止めようとした。


「ジョンシナ、ちょっと落ち着いて……」
「ダメだ。俺を煽ったアンタが悪い」


有無を言わせない口振りでヨンファを制止すると、シャツのボタンを器用に外していく。
襟元を大きく開かれ、露わになった肌に唇が落とされた瞬間、火傷するような熱さを感じて、ヨンファは顔を歪める。
縦横無尽に口付けられながら、シャツの合わせ目から手が忍び込んでくる。


「あっ、………」


ジョンシンの指に胸の先端を探り当てられ、身体中に痺れが走る。
思わずヨンファが仰け反ると、腰を強く抱き寄せられ、目の前のベッドに押し倒された。
月明かりに照らされたジョンシンの真っ直ぐに見下ろしてくる視線に、ドクンッと心臓が跳ねた。


「これより先はもう引き返せない。一度手に入れたら誰にも渡さない。ヨンファが泣いて嫌がっても絶対に離さない。それでもいい?」


ジョンシンの強い気持ちと本気がひしひしと伝わってくる。
強引で荒々しい振る舞いに見えるようで、その実、ヨンファのことを常に気遣ってくれ、きっと本当に嫌がることは無理強いしない。
本音を言えば、男としての矜持を失うことに恐怖心はある。だからと言って、今までと同じように拒絶するのか?
これ以上、ジョンシンを待たせていいのか?


昨年ジョンシンへの想いを自覚してから、散々悩んで迷って、何度も葛藤してきた。
それでもジョンシンが自分にとって唯一無二の存在なのだという結論に至った。
性別や立場のことなんかどうでもよくなるほど、目の前の男でなければ意味がないのだと。
この先、こういう相手に二度と巡り会えることはないだろうと思えるほどに。


「いいよ……お前なら」


ヨンファの出した答えにジョンシンは瞠目する。
しばらく逡巡していたようだったが、何か決意を固めたかのように、ヨンファの左手をとって薬指の辺りに口付けてきた。
まるで誓いのしるしのように。


それから、ヨンファの細い指一本一本に唇を這わせていき、指と指の間に舌を差し込んできた。
手に触れられただけなのに、身体の芯がじわりと熱くなり始めてきて、鼓動が早くなってくる。
ほおっと息をつくと、それに誘われるようにジョンシンが激しく唇を合わせてきた。
舌を絡め、何度も角度を変えて重ねているうちに息が上がってきた。


「ハァッ………」


浅い息を吐きながら開いた目に、ジョンシンがタートルネックのセーターを脱いでいるのが映る。
筋肉に覆われて引き締まった身体は、同じ男でありながら、何度見ても魅了される。
長い腕も、鍛えて逞しくなった肩や背中のラインも成熟した男性の身体つきになっていた。
初めて出会った頃のひょろっと痩せて、女の子のような風貌だったジョンシンの面影はない。


ボタンの大半を外され、辛うじて身体に引っ掛かっただけのシャツを両腕から脱がされると、ジョンシンが目を細めて見下ろしてきた。


「……あんまり見るなよ」
「何で。綺麗だからもっと見たい。電気つけていい?」
「…嫌だ。これでも十分見えるだろ」


恥ずかしがるヨンファにジョンシンがクックッと笑うと、諦めてヨンファの身体に覆いかぶさってきた。
むしゃぶりつくように喉元から胸へ唇を這わせて、片方の乳首を指先でキュッと摘まれ、もう片方は口に含まれた。


「…アァッ!」


思わず恥ずかしいほどの高い声が口からついて出て、それを押し殺そうと唇を噛み締める。
それを窘めるように、ジョンシンがヨンファの唇へキスを落とした。


「声、抑えないで。全部聞きたい」
「…ん…っ」


執拗に胸を啄まれて、ツキンと突き抜けるような痺れが全身に広がっていく。
ジョンシンの指先や唇はヨンファの胸から腰の至るところにまでに触れてきて、ヨンファは無意識のうちに身悶えていた。
快感を追うのに精いっぱいで、穿いていたはずのジーンズはいつの間にか前が開けられ、膝までずり下がっていた。
すると、いきなり下肢の間を探られて、直接その手に触れられた瞬間、全身が沸騰するかと思うほどに熱くなった。


「あ……やっ……ジョン…シ…ナ……」


反応を始めたそれに指が絡みつき、緩急をつけて敏感な部分を刺激される。
奥歯を噛み締め声を抑えようとしても、どうしても甘い声や吐息が漏れてしまう。


熱くなった先端を弄られ、ヨンファはジョンシンの胸に頭を擦りつけるようにして、首を左右に振った。
感じすぎて、もう訳が分からなくなってしまった。
身体が痙攣したように震えだし、奥底で蠢いていた感覚がうねるように集まっていくのが分かる。
何かに掴まっていないと不安で、ヨンファはジョンシンの背中にしがみついていた。


「あ……うん…く……んっ」


ヨンファから滲み出たもので濡れた指を後ろへと伸ばし、中に入ろうとその周辺を探りだす。
長く骨ばった指が強引に差し入れられてきて、ヨンファは嬌声をあげてしまう。
ジョンシンはゆっくりと辛抱強く、時間をかけて奥を解そうした。


いつの間にか指の本数が増やされ、異物が入ってくる違和感はなくなってきた。中で蠢く指がいろんな方向に入ってくる。
そのうち、ある一点を突かれた時に、身体中が痺れるような感覚があった。
ビクンッと身体を揺らすヨンファをジョンシンは見逃さなかった。


「……ここが感じるの?」


欲情の滲む声で熱っぽく囁かれながら、執拗に中を掻き混ぜられる。
ヨンファの顔にサアッと朱が走る。
―――そんな質問に答えられるはずがない。


ジョンシンは何も言わないヨンファを肯定と捉え、同じ箇所を擦り上げる。
甘い疼きが走り、無意識のうちに腰が揺れてしまう。


「ちょっ…と、嫌だっ……ジョンシナッ」


指が引き抜かれると、足を大きく広げられ、代わりに熱く滾ったものが押し当てられた。


「あ……ぁ……あぁっ」
「大丈夫だから、力を抜いて」
「………っ…そんな…の無…理……っ」
「息を吐いて、ヨンファ」


唇を噛んで苦悶の表情を浮かべるヨンファに気遣うような声をかけつつも、有無を言わせない強引さがあった。
無意識のうちにずり上がろうとする身体を押さえ付けられ、張り詰めたジョンシンが入ってくる。


「あ、……っ、イッ……」


今まで経験したことのない痛みと押し開かれるような圧迫感に、涙が滲んできてきつく目を閉じる。
かなりの時間をかけて奥まで入ったのだろうか、ジョンシンは動きを止めた。


「ずっと…アンタが欲しかった……っ」


身体を反らせ痛みに堪えていると、ジョンシンに強く抱き締められ、露わになった白い喉元にきつく口付けられる。
所々強く吸われ、長い指はヨンファの両方の乳首を捏ねまわす。


「ふっ……ああっ…」
「ヨンファ、瞳を開けて俺を見て」


優しく耳元で囁かれ、ヨンファの長い睫毛が震えた。少しずつ瞼が上がり、潤んだ瞳がジョンシンの前に晒される。
その心の中を映すような純粋で美しい眼差しを見つめ返し、ジョンシンは奥歯を噛み締める。
誰かに奪われるくらいならこのまま壊してしまいたいほどの独占欲が急に沸き起こってきて、ジョンシンを翻弄する。


「もう誰にも渡さないっ。この顔も身体も心も……全部俺のものだっ」
「あっ、……ん、ンッ……」


ヨンファの瞳を見つめながら艶めかしい唇を塞ぎ、ジョンシンはしなやかな身体を揺さぶった。
頭を振りながら恍惚な表情を浮かべ、強くしがみついてくるヨンファを食い入るように見つめる。
その顔だけで、ジョンシンは達しそうになった。


「んっ…あぁっ……」
「ヨン……ヨンファ……可愛い…っ」


次第に腰の動きを速めながら奥深いところまで抜き差しされて、ヨンファは身体が壊れるような錯覚に陥った。
ジョンシンに中を擦られると同時に、全身に痺れるような快感が広がっていき、蕩けてしまいそうになる。


「アァッ……や…………っ」
「ヨン…ファ……っ」


仰け反ったヨンファが一瞬動きを止めたあと絶頂を迎える。
痙攣する内部に引き絞られたのか、ジョンシンもそれを追うように吐精した。










唇にジョンシンのキスが降ってくる。


もう指一本動かす気力がない。


「大丈夫?」
「……だいじょ…ぶじゃ…ない…」


実際は腰の奥に鈍い痛みはあったが、耐えられないほどではない。ただ、身体全体がだるくて仕方がなかった。
でも、このままの状態でいるのは嫌だった。


「…シャワー…借りるな」


ゆっくりとした動作で身体を起こしてベッドから下りようとすると、ジョンシンがヨンファを抱えようとする。
ギョッとして避けようとしたら、痛みで床に座り込んでしまった。


「何してんだよ…せっかく連れて行こうと思ったのに」
「いいって、一人で行けるからっ」


顔を赤らめてシーツを身体に巻き付けると、ヨロヨロしながらバスルームへと向かった。
それをジョンシンは心配しながらも、嬉しそうに眺めていた。










シャワーを浴びて、ジョンシンが用意してくれた室内着を身に着けて戻ると、入れ違いにジョンシンが部屋から出て行った。


―――もう夜中だから、今日は泊まらせてもらおう。


新しいシーツが敷かれたベッドの上でヨンファはぐったりと横になった。
想いを通わせたその日に、まさかこういうことになるとは。
自分より若いのに手慣れている感じがして、正直面白くなかった。
ちょっぴりムカついて先に寝てやろうかと思っていると、シャンプーの香りを漂わせたジョンシンがミネラルウォーターを手にして戻ってきた。


「飲む?」


未だに恥ずかしくてまともに顔が見れないジョンシンに、礼を言って受け取ってから何口か飲む。
声を出しすぎて乾ききった喉に、冷たい水が染み透る。
……ああ、生き返る…。


ミネラルウォーターをジョンシンに返し、再びベッドに突っ伏す。顔を横に向けると、ジョンシンもそれに口をつけて飲んでいる。
側で喉が上下するのを見ていると、また欲しくなった。


「あっ…俺も……」


しかし、ジョンシンはなかなか渡してくれない。
焦れて手を伸ばして催促すると、顎をグイッと上に向かされ、口付けられた。
驚いていると、重なった唇から水が流れてきて、慌ててそれを飲み込む。


「んっ……っっ」


水が無くなってもジョンシンの唇は離れようとせず、ヨンファの唇を貪りだした。
舌を絡め取られ奥まで攻め入られ、息も絶え絶えになった頃、ようやく解放された。


「もっと飲む?」
「……いい」


これ以上口移しをされたら困るので、反対側に身体を向ける。
行為の最中ならいざ知らず、一旦身体の熱が引いてしまうと、途端に恥ずかしさが込み上げてくる。
すると、布団が捲られて、隣にジョンシンが滑り込んできた。
距離を詰めてきたかと思えば、ヨンファの背中に温かい胸板が触れ、肩口に顎を埋めたまま腕を回してくる。


「あったかいなぁ」


ジョンシンの心臓の鼓動がヨンファの背中にダイレクトに伝わってくる。一定のリズムを刻むそれは、不思議と心地がいい。


「まだ信じられない。夢じゃないのかな」


先程とは打って変わって、思いがけず気弱な声で言われて、ヨンファは耳を疑った。


「俺ね、ずっとヨンファに恩があるんだ。デビューする前、仕事がない俺たちにまったく愚痴をこぼすこともなく、一人で忙しく仕事をしてくれていただろ。その時、俺は自分がすごく不甲斐なくて、ヨンファに顔向けできなかった。だから、外見も中身もデッカくなって、いつかアンタを支えたいってずっと思ってた。リーダーだからって全部自分で抱え込む必要なんてない。俺じゃ役不足かもしれないけど、ヨンファが背負うものを一緒に担がせてほしいんだ」


優しく温かく包み込むような言葉に、心が満たされて泣きたくなる。
自分のことをこんなにも大事に想ってくれているジョンシンに切ないほどの想いが溢れていく。
ヨンファはジョンシンの方に向き直り、両腕を目の前の男の首に絡ませる。


「……ありがとう。ジョンシナ。俺はお前が側にいてくれるだけでいいよ。それだけで十分だから」


その瞬間、息が止まるかと思うほど強く抱き締められた。


「ヨンファ、ありがとう……誰よりも愛してるよ」
「うん……俺も愛してる」


いつの間にジョンシナはこんなにも大きくなったのか。
外見だけじゃない、中身も。いつからこんな強靭な精神力を持ち合わせるようになったのだろうか。
マンネだと思っていたのに、ヨンファの不安を受け止め、困難から逃げるのではなく、前向きに受け入れようとする度量の大きさに驚かされる。
ジョンシンはこれからもっともっと大きく成長していくのだろう。
ヨンファは自分も負けずに頑張っていかなければならないと改めて感じた。ジョンシンとともにずっと一緒に歩んでいくために。





「あ……それとな、ジョンシナ。ここで俺が世話になった時、いろいろひどいこと言ってごめんな」
「何だよ、今頃?」
「……あれって…代表に言われたからじゃなかったんだな…」


ジョンシンは何とも決まりが悪そうな顔になって、数秒間、沈黙が流れた。


「……あれだけ口止めしといたのにな。クソッ。……俺が好きでやったことなんだから、ヨンファが謝ることはない」
「そういうわけにいかないだろ。結構出費が多かったはずだから…俺、払うよ」
「いいよ、そんな大した額じゃないから」


何故か急に不機嫌になったジョンシンを不思議に思い問いかけると、憮然とした態度で答えが返ってきた。


「こういうことは相手に知られずやってこそだろ。格好悪いったらない」


ヨンファにはその理由が分かったような気がした。
恩着せがましいことをしたくないという、ジョンシンの気持ちの表れなのだろう。
見返りを一切求めようとしないところにも、ヨンファは魅かれてしまう。


「じゃあ、何か欲しいものとかあるか?それならいいだろ?」
「欲しいもの……」
「何も返さないのは俺の流儀に反しているから、何でも言えよ」
「じゃあ……」


突然、ジョンシンがヨンファの耳元に唇を寄せてきた。


「毎日、ヨンファの中に入りたい」


それが何を意味するのかが分かり、ヨンファは顔中、真っ赤になってしまった。


「ふ、ふざけんなっ馬鹿!お前サイテー!!」
「じゃあ譲歩して、3日おきで我慢するから、1日当たり3ラウンドってのは?」
「……ジョンシナ、ぶっ殺す」
「もうジョークだってばっ」


お互いに顔を見合わせ笑い出し、ふと時計を見て今日の仕事の予定が頭をよぎり、ヨンファとジョンシンは慌てて電気を消して目を閉じたのだった。
目覚まし時計が鳴るまで、二人は泥のように眠った。






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週末はソロコンサートの日本公演が控えていた。
午後からはいつものスタジオでリーサルがあるため、ヨンファは朝から事務所に出て来ていた。


ホンギの作業室の前を通りかかると、中に本人の姿が見えた。
不意に以前から気になっていることを聞いてみようと思い、二人分のコーヒーを買ってドアをノックした。


「ホンギ、早いな」
「よお!おはよ。ソロコンサート観に行けなくて悪かったな」
「忙しいんだからいいさ。それより、お前に話があって…」


眉を軽く上げたホンギにコーヒーを手渡して、椅子を勧めてくれるのにヨンファは従う。


「改まって何だよ」
「昨年の夏頃から、お前、ちょっと様子がおかしかっただろ。もう大丈夫なのか?その…ずっと気にはなってたんだけど…」
「チョコをくれるぐらい俺のこと愛してんだもんな」
「もちろん」


二人でひとしきり笑い合った後、ホンギはコーヒーを一口飲んだ。


「ヨンファが聞きたいのは、ヒチョルのことだろ」
「え?あっ!…あ……そう……」


いきなり本人から直球が投げられるとは思いもせず、ヨンファはしどろもどろになってしまった。
しかも、その口調は焦っている風でも、恥ずかしそうなわけでもなく、平然としていた。


「やっぱ見られてたか。バレたのはジョンシンだけと思ってたのにな」
「……付き…合ってるのか……?」
「ああ。仲良くしているうちにそんな感じになってさ…」


衝撃の事実を告白されて、ヨンファは言葉が出なかった。
いくら友人と言えど、こういうプライベートのことをホンギの口から言わせてしまったことに罪悪感が込み上げてきた。
それを逆にホンギが気遣ってくれる。


「こんな話、聞かせて悪いな」
「いやっ。……これからもヒチョルヒョンと付き合い続けるつもりなのか?」
「そうしたいとは思ってる。アイツがどう思ってるかは分からないけど…」
「……………」


「付き合ってても不安だよ。いろいろ障害はあるし、先々の保証はないしな。お互いを想う気持ちしかないんだから。俺たちどっちも気が強いだろ。だから、時々衝突することがあって、喧嘩をする度にもうおしまいなのかなって思う時もある」
「……………」
「でも、周りのことや先のことを考えすぎて、この気持ちを無いものにするのだけは嫌だったんだ。だから、自分の気持ちに正直に生きようと思った。一人なら無理だけど、ヒチョルとならそれもいいかなって」


目から鱗だった。
ヨンファは今まで周りの人を傷付けたり迷惑をかけたくないということしか考えていなかった。
相手の心情や自分の気持ちは後回しだった。


『ヨンファ、恋愛も逸脱行為もしてみなさい』
『お前には新人の頃から少し厳しすぎたな。そのせいで枠の中に閉じ込められているようだ。もう少し羽目を外してみてもいいんじゃないか?』


ヨンファは昨年、代表にそう言われたことを思い出した。


「俺とヒチョルのことは代表は恐らく知ってるよ。知ってて、知らないフリをしてくれてる。だから、お前だけが我慢することはないんだ」
「え?」
「ジョンシナとのことだよ」
「ええっ!な、何でお前がそんなことを……」


突如、ジョンシンとのことを持ち出されて慌てふためく。
何故お前が知っているんだ!本人から聞いたのか?
……相変わらず何でもお見通しで核心をついてくる友人で困る。


「CNに加入した時からお前にベタ惚れじゃねぇか。今も変わらず。で、お前もずっと無自覚にアイツのこと可愛がってただろ。
それってジョンシンにはかなりキツかっただろうな」
「は、はぁ?」
「まあでも、丸く収まって良かったな。とにかくお前ひどかったもんな。痩せすぎで顔色悪いし、悲壮感漂いすぎでさ。メイクヌナも嘆いていただろうが。ジョンシナ効果ってすごいんだな」
「……………」
「そんなに深刻に考えるなよ。事務所的には、女とスキャンダルを起こされるよりはいいんじゃね?案外ファンも増えたりしてな」


ハハハ……。もう笑うしかない。
ホンギに勝てる奴はこの世には絶対にいない。


あれこれとジョンシンとのことを聞かれ始めて、恥ずかしさで耐え切れなくなったヨンファは、そそくさとしてホンギの部屋をあとにした。










その足で今度は練習室を覗くと、メンバーの三人が既に集まっていた。
来月日本でスプリングライブがあるから、それに向けての練習をするためだ。


「あれ…ヒョン、リハーサルは?」
「今日は午後からだから、それまでこっちに顔出しとこうと思ってな」


ドアのすぐ側にいたジョンヒョンがいち早くヨンファに気付いた。
その声で奥にいたミニョクとジョンシンがこちらに歩いてきた。


ジョンシンが眩しそうな顔をして見てくるのに、ヨンファは頬が熱くなりそうになった。


「ヨンファヒョン、今日のリハーサルは何時頃終わる?」
「19時の予定だけど」
「あ、じゃあ、今日の夕食はヒョンの家で一緒にピザ食べない?僕、注文しておくから」


ミニョクとは家が近くて徒歩3分の距離にある。だから、お互いの都合が合えば、一緒に夕飯を食べることもある。
ピザはヨンファの大好物なので喜んで頷こうとしたら、横からやや不機嫌そうな声が飛んできた。


「ヒョンは俺ん家で食べることになってんだよ、ミニョク」


……へ?そんな約束していたか?


「ねっ、ヒョン。そうだったよな?」


何気にジョンシンの目線がいつもより鋭いように見えたのは気のせいだろうか。
否定することを許さないような、有無を言わせない雰囲気があったため、仕方なくヨンファはそれに合わせることにした。


「あ…と。そうなんだ、ミニョク。ごめんな。また一緒に食べようぜ」
「えー残念だな。僕も一緒に混ぜてもらおっかなー」
「ダメ!」


ジョンシンとミニョクが言い合いを始めている。
それがじゃれ合いに発展するのはいつものことなので、ヨンファは二人を無視してギターのチューニングをすることにした。


「ヒョン、苦労するな。ジョンシナは嫉妬深いから」
「…ん?…ジョンヒョナ?」


意味深なことを言われたような気がしたが、ジョンヒョンはもう楽譜に意識を集中し始めていて、これ以上話をするつもりはないようだった。
自分もそれに倣ってギターを軽く弾いていると、ベースを肩にかけたジョンシンが近付いてきて、こそっと耳元で囁かれた。


「夕飯作っておくから食べに来て」


その言葉に、ヨンファは少し目を瞠って、悪戯っ子のような瞳で笑みを浮かべた。





End





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

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