CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

蒼き運命 -アオキサダメ- 23

2016年07月24日
蒼き運命 -アオキサダメ-(極道パロ) 12






ふと何かが額に触れる気配を感じた。それはひどく温かくて、そっと前髪を梳かれる。
半ば眠りにとらわれているヨンファを起こさないように気遣っていて、何度か遠慮がちに撫でられると、やがて頬にも触れてきた。
指先が優しく輪郭をなぞり、どこか懐かしい気がするその仕草が何とも言えず心地よい。


少しずつ意識がはっきりしてきて、うっすらと目を開けると、すぐそばに精悍な面差しがあった。思わずヨンファが二度見してしまうと、ベッドの端に腰を下ろしているジョンヒョンの穏やかな瞳に見つめ返されて、胸がざわめく。
カーテンの隙間から柔らかな朝日が差し込んでいて、部屋の中は明るく照らされていた。


「……帰らなかったのか?」
「なんだ。帰ってほしかったのか?」


ヨンファの質問に対し、低音の美声が問い返してきて、ぐっと言葉に詰まる。
記憶がところどころあやふやになっているが、立て続けに二度吐精させられて、インターバルを挟んだあとにまた求められたのだ。


いつから起きていたのだろうか。
無防備に眠っている姿を見られたのかと思うと、どうにも落ち着かない。
全身を覆う気怠さと、腰の奥には痺れるような感覚があるものの、心は満ち足りていた。


ヨンファはこちらを見下ろしている男を窺うように、そっと目を遣る。
ネクタイを締め、仕立てのいいダークスーツに身を包んだジョンヒョンは、非の打ち所がないくらい完璧に決まっていた。
思わず見惚れそうになり、ヨンファはそれとなく目を逸らして、ゆっくりと半身を起こす。
下肢の引き攣れるような違和感に顔を顰めると、傍らに座っている彫りの深い容貌が心配そうな表情を見せた。


「どこか具合の悪いところはないか?一応掻き出しておいたんだが……」
「……え?」


一瞬意味が分からず、ヨンファはぼんやりと見返した。
考えあぐねていると、ひとつの答えに辿り着いてギョッとする。


「……っ、そんなことはしなくていいっ」


想像しただけで顔から火が出そうになった。
ジョンヒョンを見ていられなくて、照れ隠しに視線を落とすと、毛布がずり落ちていつの間にか裸の胸が曝け出されている。
それが目に入った途端ヨンファは仰天し、目を剥いて素っ頓狂な声を上げた。


「う、わっ……」


肌の至るところに鬱血の痕が残っている。
明るい日差しの中では隠しようがなく、確認してはいないが、恐らく下半身も同じような状態になっているに違いない。
ジョンヒョンの唇が全身を這いまわって、きつく吸いつかれた時の感覚が生々しく蘇り、頭の中が沸騰しそうになった。


しかも、身体にべたついた感じはなく、サラッとしていることに気づく。
どう考えてもヨンファが寝ている間に、後始末を済ませて綺麗にしてくれたとしか思えず、頬が熱くなった。


「……ロッカールームで着替える時、困るだろう……」


ヨンファは気恥ずかしくなり、半ば俯き加減に文句を言う。
前回の時も、身体のそこかしこに赤い刻印をつけられて辟易したのだ。
職場でスクラブを脱ぎ着する時に四苦八苦したことを思い出したところで、ジョンシンのアパートへ行った記憶まで甦った。


予期していなかった突然の事態にヨンファは混乱し、あの男の真剣な想いをただ拒絶することしかできなかった。
考えてもどうにもならないと分かっているが、このまま簡単には終わらないような気がしている。


そんなヨンファの心中に気づいていないジョンヒョンもキスマークのことを多少は悪いと思っているのか、困ったような表情で小さく笑った。


「余裕がなくて、そこまでは考えていなかった。肌が白いから、目立つところは絆創膏でも貼るしか方法はないだろうな」
「他人事だと思いやがって……」


けろりと言い返されて、恨めしげに目の前の男を軽く睨みながら憎まれ口を叩くと、ジョンヒョンが楽しげに目を細めた。
行為の最中ならまだしも、明るい朝にスーツをきっちりと着込んだ姿でそういうことを言われると、どうしていいか分からない。


居たたまれなくなり、ヨンファが視線を彷徨わせていると、ジョンヒョンはますます顔の表情を緩める。
包み込むような優しい笑みに、トクンと胸が高鳴った。


「ヨンファ……機嫌を直して」


ベッドの軋む音とともにヨンファのそばに座り直すと、ジョンヒョンはゆっくりと身を屈めてくる。
吐息が感じられるほどすぐ間近に寄ってきた気配に、ヨンファは応えるようにそっと瞳を閉じると、宥めるようなキスをされた。
ヨンファの肩をやんわりと抱き、角度を変えて舌先を絡めとられる。


「……っ、ん」


慈愛に満ちた口づけは、ヨンファの心まで溶かしてしまいそうだった。
ふわっと腕がまわってきて、大きな胸に包み込むように抱き竦められる。
次第に深くなり始めたキスに呼吸すらもままならなくなり、眩暈がしそうになった。


「なぁ……」


情熱的に求めてくる唇から逃れようとしても、再び塞がれて、顎がだるくなるほどのキスを浴びせる。
いつもヨンファに対して従順なジョンヒョンが、背中を軽く叩いて懇願してもまったく聞き入れてくれなかった。


「ちょっ……」


強引さを咎めるべくヨンファが何か言おうと口を開くたび、発する言葉は次々とジョンヒョンの唇に呑み込まれてしまう。
起き抜けにしては濃厚な口づけに自然と息が上がっていくと、執拗な唇からようやく解放され、今度はヨンファの首筋に顔を埋めてきた。


伸びた髭をざらりと肌に擦りつけられ、微かな痛みにゾクッとする。
顎のつけ根から鎖骨に唇を這わせながら、「もう少しだけ……」とくぐもった声で囁かれて、胸の奥が甘く疼いた。


性急な手はいつの間にか毛布の中に潜り込んでいて、腰に纏わりついてくる。
脇腹や胸まで探ろうと無骨な指が動くだけで、触れられた箇所が火照りだし、あらぬ声が漏れそうになった。
ヨンファは理性を振り絞ると、まさぐってくる手を押し留めて身を捩る。


「……ヒョニ…っ、仕事……っ」
「ああ、分かってる。まったくキリがないな」


ようやく名残惜しげに唇と手を離したジョンヒョンが、熱を帯びた眼差しで見つめてくる。
愛おしい気持ちが込み上げてきて、ヨンファは震える指先で男の端整な顔に触れた。


「時々、ここに来ていいか?」


不意に改まった口調でそう告げられて、咄嗟に声が出なかった。
次に会えるのはまた随分先のことだろうと思っていたのだ。
思いがけない言葉に、ヨンファは半ば呆然と男を見た。
どうしていいか分からず黙ったままでいると、じっとヨンファの表情を覗き込んで、答えを催促する。


「どうなんだ?」
「……仕事の妨げにならなければ」


低い声で請うように言われて、躊躇いながらも頷くと、ジョンヒョンは急に真剣な顔になり、まるで何かを誓うかのように手を取られて指先に口づけられる。


「何があっても、俺を信じろ」


揺るぎない声音で囁かれヨンファが瞠目すると、突然力強い腕に捕らわれて、息苦しいくらいにきつく抱き締められた。
その真摯な響きとジョンヒョンの温もりに包まれて、胸が痛いほど震える。
ヨンファは目を閉じて、いつしか逞しい肩に縋るように腕を回していた。










S大学付属病院の一般病棟で午後の回診を終えたヨンファは、誰もいない白い廊下をひとりで歩いていた。
平日午後の病棟は見舞客が少なく、閑散としている。
同行した看護師は一足先にナースステーションへと向かい、ヨンファは内科の医局へ戻る途中だった。


未だ身体に倦怠感はあったものの、午前と午後の主な診察を難なく終えて、思ったよりも足取りの軽い自分に驚く。
職員専用エレベーターを目指しながら、あの男に囁かれた言葉が頭をよぎった。


今朝方のことを思い出すと、胸の中に温かいものがじわりと広がり、つい自然と笑みが零れてしまう。
深みに嵌らない方が傷が浅くて済むのは承知しているはずなのに、結局このざまだ。


「信じろ」と言うのなら、信じるしかない。
どう転ぶか先のことはまったく見えないが、結果が吉と出ても凶と出ても、自分の運命なのだと甘んじて受け入れよう。


無人の談話室の前を通りかかったところで、ヨンファはキョロキョロと周りを見回しながら歩いている男性に気づいた。
スポーツでもやってそうなかなり大柄な体格をしていて、この場には不釣り合いな気がする。


ヨンファはすぐさまハッと我に返り、目をギュッと閉じて頭を振った。
仕事中なのだから、他のことにかまけている場合ではない。
慌てて冷静さを取り戻すと、小さく息を吐いて、ヨンファはその男性に声をかけようと近づいた。


「どうかされましたか?」
「すみません、ちょっと場所が分からなくなってしまって……」
「どちらへ行きたいんですか?」


この病院には一般病棟の他に特別病棟、療養病棟、リハビリテーション病棟、緩和ケア病棟があり、それぞれが西棟と東棟の各階に別れて配置されている。
規模が大きい病院であるため、見舞客の中に迷う人がいるのは、決して珍しいことではなかった。


申し訳なさそうな顔をしている自分と同い年くらいの人の良さそうな青年に事情を聞くと、療養病棟の患者の見舞いに来たらしい。
この病棟は急性期治療が終了後、病状は比較的安定しているが引き続き医療的なケアや病院での療養が必要な患者を対象としている。


「ああ、療養病棟は東棟ですね。一階と二階に連絡通路がありますので、そちらから……」


ヨンファがそう言いかけた時、突然背後で人の気配を感じた。


「!」


振り向こうとした瞬間、後頭部に強烈な衝撃を受けた。
急に目の前が真っ暗になり、頭を押さえてその場に膝をつく。
痛みをこらえながら呆然と見上げると、そこには別の男が立っていた。


「………っ」


その顔を見て、ヨンファは絶句した。
無精髭を生やした男が勝ち誇ったような嫌な笑みを浮かべて、ヨンファを見下ろしている。
紛れもなく、屋敷の駐車場で襲ってきたチルソン組の男だった。
ヨンファはすべてを理解して、身体が凍りついた。


―――しまった……。このふたりはグルだ!


すっかり油断していた。
車の乗り降りの際は周囲を警戒していたが、まさか院内で襲われるとは想定していなかった。
何とか立ち上がろうとすると、病棟を尋ねた男が白衣に包まれたヨンファの腕を掴み、鳩尾に拳を叩き込まれる。


「うっ……」


まさに一瞬の出来事だった。
激痛に見舞われて息ができなくなり、気が遠くなっていく。
その瞬間、ジョンヒョンの顔が脳裏に浮かんだ。


―――ヒョニ……っ。


「どないします」
「裏口はこっちや」


ヨンファと話をした若者の言葉のイントネーションが変わっている。
ふたりの口から発せられたのは、明らかに釜山弁だった。
しかし、今更気づいたところでもう遅い。
後悔の念に襲われながら、ヨンファはそのまま意識を失った。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(12)

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2016/07/24 (Sun) 02:47

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2016/07/24 (Sun) 03:47

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2016/07/24 (Sun) 14:03

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2016/07/24 (Sun) 18:46

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2016/07/24 (Sun) 19:37

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2016/07/24 (Sun) 23:58

haru

こ*****さん

こんばんは♡
山あり谷ありで本当にごめんなさい(>ω<)
読まれる皆さんからするととても疲れると思うんですが、極道パロということでご理解いただければと思います♪

2016/07/25 (Mon) 01:07

haru

t*******さん

こんばんは♡
持ち上げといて突き落とすというふざけた展開でごめんなさい(>ω<)
なかなか気分的に落ち着かないと思いますが、極道パロということでご理解いただけると助かります♪
他に書きたい話があるのと夏フェスの話があるので、続きはまた少し先になりますが、待ってて下さいね♡

2016/07/25 (Mon) 01:18

haru

は*さん

こんばんは♡
本当にドS展開でごめんなさい(>ω<)
書いている私は結構楽しかったりするんですが、読まれている皆さんからするととても疲れると思います。
他に書いている話があるのと夏フェスの準備のため続きは少し先になりますが、待っていて下さると嬉しいです♪

ツイの件ですが、大変失礼しましたm(__)m
私も含めて似たようなハンドルネームの方が数名いらっしゃるので、勘違いしておりました。
うちにも思春期真っ只中の娘が二人いるんですが、ツイもブログも鍵はつけていないしR18表記もしていないという傍若無人ぶりでとてもお恥ずかしいです(-ω-;)

2016/07/25 (Mon) 01:39

haru

ヨ*****さん

こんばんは♡
そう言って下さってとても嬉しいです(〃ω〃)
私も釜山ズとシンヨンの二大CP(勝手に思ってます)に挟まれて、ものすごく幸せだったりします♪
続きは少し先になりますが、お待ちになってて下さいね♡

2016/07/25 (Mon) 01:47

haru

し**さん

こんばんは♡
いつもありがとうございます(〃ω〃)
他に書いている話があるのと夏フェスの準備のため続きは少し先になりますが、お待ちになってて下さいね♪

2016/07/25 (Mon) 01:51

haru

つ*さん

こんばんは♡
あっ、この表現はよく使ってしまいますね(笑) 私も大好きな言葉です♪
いろいろと内容を汲んで下さり、ありがとうございます!

持ち上げといて突き落すというドS展開で本当にごめんなさい(>ω<)
つ*さんに思われるほどの者じゃないですが、何とか頑張ります♡
今ちょうど書いている話があるのと夏フェスの準備のため続きは少し先になりますが、お待ちいただけると嬉しいです♪

2016/07/25 (Mon) 02:02