CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

蒼き運命 -アオキサダメ- 20

2016年06月15日
蒼き運命 -アオキサダメ-(極道パロ) 6






駐車場に車を停めて降りると、ヨンファは黒い車に視線を向けた。
自分の方が先に組事務所を出たのに、なぜジョンヒョンが待ち伏せするようにここに来ているのか、皆目見当がつかない。


ジョンシンが出先から戻ってきた時、ジョンヒョンの態度が一変し、ヨンファに対しても厳しい顔つきで物言いたげだった。
どこか怒気を含んでいるようにも見えたが、それについて一切身に覚えはない。


その件とこの不意打ちの訪問に関連性があるのか、それとも緊急の用事ができたのか。
はたまた、ドンゴンのことで何かあったのだろうか。
瞬時にいろんなことが脳裏をよぎり、ヨンファは混乱しきった頭で必死に答えを探した。


街灯に照らされていてもどことなく薄暗い中、彫りの深い韓国人離れした容貌はひと際目を引く。端整な顔立ちにダークスーツが映え、極道なのに不思議とエリート然とした雰囲気を醸し出している。
しかし、なぜか車のそばから動こうとせず、じっとこちらを見据えたままだ。


こんな風に見つめ合っていると、またあの夜のことを思い出してしまう。
ひと月近く経ってしまっていたが、未だに忘れることはなかった。
そして、先ほどの突発的なキスも――。


相手に気づかれないようにそっと息を吐く。
迸りそうになる気持ちを慣れた調子で抑えて、ヨンファは一歩ずつ男に近づいた。
予想に反して、ジョンヒョンはいつもの穏やかな表情をしていて、ふっと肩の力が抜けた。


「どんな魔法を使ったんだ?俺より先に到着してるって、有り得ないだろう」
「メルセデスを飛ばしてきました」
「自慢か。俺のトヨタだって、結構速いんだからな」


それに、途中でコンビニに寄ってたし……と言い訳のように付け加えてしまったが、言った直後に後悔した。
稼ぎの違いは、火を見るより明らかだ。
しかも、ジョンヒョンはそんなことをひけらかすような男ではない。


実際、価格も排気量も桁外れで負けているのだから、余計なことは口にすべきではなかった。
きっと器の小さい男だと思われただろう。
つい対抗意識を燃やしてしまったヨンファに、ジョンヒョンが喉の奥で笑うのが聞こえた。


「笑うなよ」
「すみません」


何がそんなに可笑しいのか、珍しくジョンヒョンが相好を崩している。
ひどく楽しそうな表情を浮かべていて、ヨンファもつられて口許が緩んでしまった。
すると、ジョンヒョンの右手が伸びてきて、ヨンファの髪の毛に触れてきた。
温かな手がゆっくりと梳くように掻き上げ、愛おしむように撫でてくる。
その繊細な仕草がことのほか優しく感じられて、あまりの心地よさに背筋が小さく跳ねた。


この節くれだった無骨な手に、自分でも触れることのないところまで探りあてられ、目の前の偉丈夫に何度も縋りついた挙句、身体をひとつに繋ぎ合わせた。
その時、ヨンファはこれ以上ないほどの幸せを感じ、心から満たされたのだった――。


いつの間にか感傷に浸っていた自分に気づき、慌てて意識を引き戻す。
ともすれば流されそうになるあの夜の記憶を無理矢理遠ざけて、ヨンファは気になっていたことを口にした。


「仕事中にこんなところに来ていいのか?」
「ひと段落ついたので、今日はこれ以上することはないです。ずっと借りたままになっていたものを返しそびれていたので、急いで追いかけてきました」


そう言って、車の中から取り出してきた紙袋を、ヨンファに差し出してくる。
中を見ると、あの日ジョンヒョンが着て帰ったワイシャツが、ご丁寧にもクリーニングされた状態で入っていた。
――これを渡すために来たのか。
勝手に勘違いをして、少し落胆している自分がいた。
無意識のうちに、何かを期待していたのかもしれない。


「……返しに来なくていいのに。捨てていいと言ったはずだ」
「そういうわけにはいきません」
「こんなことに時間を割くなよ」
「――私に会うのが、そんなに嫌なんですか?」


間髪をいれずに真顔で問われて、返答に窮した。
ジョンヒョンの表情に、ヨンファは息を呑む。
いつも以上に真摯な眼差しを注がれて、見ているだけで切なくなった。


嫌なはずがない。ずっと会いたかったのだ。
でも、自分たちは一度抱き合っただけの仲で、付き合っているわけでも恋人同士でもない。
あの時、確かに気持ちは通じたはずなのに、そのあと連絡を取り合ったりすることもなかった。
名前をつけるとしたら、自分たちのこの関係は一体何なのだろうか。


もうひとつ、ずっと心の奥底で引っかかっているのがジョンヒョンの縁談だ。
自分が口を挟む立場にないことはよく分かっているが、これについて一言の弁解もないことに、ヨンファの胸は波立っていた。
たとえひとつでもいいから言葉を与えてくれると楽になれるのに、気まずいのか、言う必要がないと思っているのか、ヨンファが望んでいる台詞が男の口から語られることはない。


それなら自分も胸の内を晒してやるものかと、押し黙ったままジョンヒョンの質問には答えず、目を伏せる。
いろんな感情が込み上げてくるのを、ヨンファは無理に抑えつけた。


「取り敢えず受け取っておく。わざわざ悪かったな」


せっかく車を走らせて届けてくれたのに、早く帰れと言わんばかりの対応しかできず、精悍な貌が困惑げに眉を顰めた。
不快な思いをさせるばかりで、どうしても素直になれない自分に臍を噛む。
会えて嬉しいのは紛れもない事実なのに、自らその手を離そうとしている。


ふたりは向かい合ったまま、互いに無言だった。
それきり、重苦しい沈黙が落ちる。
これ以上何を言えばいいのか分からなくて、所在なく視線を彷徨わせていると、有り得ない言葉が耳に入ってきた。


「まだ帰るつもりはありません」


思ってもみないことを告げられ、一瞬聞き間違えかと、ヨンファは弾かれたように男を見る。
驚くほど近くで目が合い、そのまま逸らせなくなった。


「今日は部屋に入れてくれないんですか?」
「………っ」


続けて発せられた言葉に、頭の中が真っ白になる。
予期していなかっただけに、不意をつかれてヨンファは言葉を失った。
熱を帯びているような眦の切れ上がった瞳に囚われて、急に喉の奥が乾いていく。


ジョンヒョンはいつになく強引で、その口調には有無を言わさぬ響きがあった。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(6)

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2016/06/15 (Wed) 11:20

haru

ま****さん

こんばんは♡お久しぶりです♪
いつも読んで下さり、どうもありがとうございます♡♡

ゆっくりとした展開なので、焦れ焦れだったらごめんなさい(´・ω・`;)
これほど大掛かりなのは初めてなので、私も慎重になりながら進めております。

とても嬉しいお言葉をありがとうございます♪
妄想の赴くまま、それぞれの想いを表現していければなと思っています(*´ω`*)

2016/06/15 (Wed) 19:34

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2016/06/18 (Sat) 06:55

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2016/06/18 (Sat) 19:14

haru

は*さん

こんばんは♪ありがとうございます♡♡
決して嫌がらせではないんですが、またこんなところでぶった切ってしまいました。
しかも、ものすごく短くてごめんなさい(´・ω・`;)

バニのソロ、楽しみですね♪
黒い短髪に黒スーツが本当にヤバくて、ジタバタしちゃってます。
私の中でのバニは、2枚目と2.5枚目がいるんですが、今回は純粋に2枚目で嬉しいです♡♡
男前すぎて、頭がクラクラします(///ω///)

2016/06/18 (Sat) 20:05

haru

し**さん

こんばんは♡
いろいろと読んで下さり、どうもありがとうございます♪

ほ、本当ですか?
嬉しいお言葉に舞い上がってしまいそうですヾ(*・ω・)ノ
心より感謝します♡♡

2016/06/18 (Sat) 20:16