CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

蒼き運命 -アオキサダメ- 13

2016年05月05日
蒼き運命 -アオキサダメ-(極道パロ) 2






朝、マンションの裏の駐車場へ行き自分の車に乗り込もうとしたヨンファは、目の前の公園の路肩に一台の黒いベンツが停まっているのに気づいた。
その車はまるでこちらの動きを見ていたかのようにゆっくりと近づいてきて、ヨンファの車の正面に止まる。
「まさか…」と顔を強張らせていると、左側のパワーウィンドウが下がり、運転席に乗っていたのはミニョクだった。


「ミニョク……どうしたんだ?」
「おはよう。病院まで送るから乗って」
「……ヒョニに頼まれたのか?」


それには答えず、ミニョクはあいまいに口元を緩めて、隣に座るよう促す。
ヨンファが助手席へと乗り込むと、すぐに車は走りだした。


「……もう送迎はいいと、あれほど断ったのに」
「昨日、駐車場で襲われたらしいね。ヒョニヒョンはヨンファヒョンのことが心配なんだと思うよ。解決していないから、またいつ同じ目に遭うかもしれないし……」


昨夜のことが脳裏に蘇る。
耳許で熱く囁くジョンヒョンの顔が浮かび、心臓を鷲掴みされたように胸が締めつけられた。
未だに全身に倦怠感と、身体の奥にはあの男の名残がある。


本当は自宅でもっと横になっていたかったが、仕事を休むわけにはいかない。
一週間の始まりである月曜日は、特に外来患者の数が多いのだ。
ヨンファはひとつ息をついて、頭の中から男の存在を追い出した。


「屋敷はどうなってる?」
「あれから何もないよ。部屋住み以外の人間を二十四時間体制で何人か置くことにして、破損した箇所を業者に補修してもらってるところなんだ。油断はできないから、常に緊迫感が漂ってるけどね」
「そうだろうな。このまま終わるはずがないもんな……」


ミニョクは考え込むようにしばらく黙って車を走らせていたが、唐突に口を開いた。


「また何らかの動きはあると思う。今回のことで皆、相当頭に血が上ってて、一部の組員たちが報復措置を取ろうって躍起になってるんだ」
「報復措置……?」


真っ直ぐ前を向いたままミニョクは続けた。


「親父さんはそれを反対してて、意見が割れてる。勝手な真似をしなきゃいいんだけど……」


いつも穏やかな表情と口調を崩さないミニョクが、珍しく顔を顰めている。
それだけ深刻な事態に陥っているということなのだろう。


「報復措置なんか取るべきじゃない。そうしたら、相手の思う壺じゃないか」
「親父さんが狙撃された件もあるから、慕っている組員たちの怒りが収まらないんだよ」
「それはまずいな」
「若頭やヒョニヒョンが何とか食い止めているんだけど、いつまで持つか」


こんな状態の時に、組が二分するようなことにでもなったら大変だ。
組のために奔走しているジョンヒョンの姿が目に浮かぶ。


「幹部の言うことを聞かないのか?」
「それだけ皆の怒りが大きいってことなんだ。案外、ヨンファヒョンの言うことなら聞くかもしれないけど……」


ミニョクが横目で、チラリとヨンファに視線を投げかける。


「俺にはそんな力はない。今日からまた仕事だしな」
「うん…そうだよね…。こっちは大丈夫だから、ヨンファヒョンは気にせず自分の仕事に専念しなよ」
「すまないな…。それはそうと、ジョンシナの怪我はどうだ?俺のせいであんなことになって……」
「たまたま居合わせただけで、ヒョンのせいなんかじゃないよ。出血の割には大丈夫って本人も言ってたから、心配はいらない」


自分を庇ったばかりに余計な怪我を負わせてしまい、ヨンファは心を痛めていた。
一度見舞いに行った方がいいと考え、あとで仕事の合間にでも、電話をかけてみようと思い立った。


「そうか。それを聞いて安心したよ。……ヒョニもちゃんとキム先生のところに行けばいいが…」
「昨夜、屋敷に行く前に診てもらったらしいよ。ちゃんと応急処置をしてるから、何もすることはないって先生に言われたらしいけど」


ジョンヒョンがあれからどうしたのか気になっていたから、それを聞いて安心した。


「でも、外科は専門外だからな」
「……ヨンファヒョンが手当してあげたんだから、大丈夫だよ……」


その時、ミニョクの横顔が少し曇ったように見えたのは、気のせいだろうか。


「ミニョク、疲れているのか?」
「どうして?」
「いや…何か心配ごとでもあるのかと思ってな」
「そんなことないよ。いつもと同じ」


困ったように笑いながら口では否定するが、ヨンファはミニョクの様子に微かな違和感を覚えた。
はっきりと説明できないが、どこか無理をしているような不自然さを感じた。










晴れ渡った空の下、屋敷では複数の作業員たちの声が飛び交い、カンカンという大きな音が鳴り響いている。
木材やガラス戸が運び込まれ、補修工事が行われている様を少し離れた中庭から眺めていたジョンシンは、不意に自分のスマートフォンが鳴っていることに気づいた。
ポケットから取り出し、見慣れない番号だと思いながら耳に押し当てる。


『ジョンシナか?』


一瞬、息が止まるかと思った。
あまりにも恋焦がれすぎて、自分の耳がおかしくなって、ついに幻聴まで聞こえるようになったかと絶句する。


『……もしもし?』


しかし、どうやら聞き間違いではなかった。
作業の音で多少聞こえにくかったため、慌てて屋敷の中に入る。


「……ヨンファヒョン?」
『そうだ。突然悪いな。今、取り込み中か?』
「いや、大丈夫」


内心の動揺を悟られないように、ジョンシンは冷静を装った。
耳に心地よい少し掠れた甘い声が、優しいトーンで話しかけてくる。
何故、突然連絡をしてきたのか、そもそもこの番号をどうやって知ったのかと、混乱しながらあれこれ考えてしまい、思考が追いつかない。


ジョンシンは愛しい相手からの電話に完全に舞い上がってしまい、呼吸をするのも苦しいぐらいだった。それほどまでに、イカれてしまっている。


『さっき事務所に電話したら、お前が外出してるからって番号を教えてもらったんだ。怪我の状態が気になって、その後どうだ?』
「もうほとんど塞がりかけてるから、大したことはねぇよ」
『それは良かった。見舞いを兼ねて差し入れしたいんだが、いつなら事務所にいる?当番とかあるんだろ?』


まさかそんなことを言われるとは思っていなかったから、呆然として言葉が出なかった。
自分の怪我のことを、心から気にかけてくれているのが分かる。
たったこれだけのことで胸がたまらなく疼き、喜んでいる自分がいた。


「……ああ、今週は外回りばっかりだから事務所にはいないし、当番もねぇな」


定期的に決められた曜日に事務所で寝泊まりしているのに、ジョンシンは咄嗟にそう答えていた。
一か八かの賭けだ。


『そうか……』
「いいって。そんな気なんか使わなくても」
『そういう訳にいくか。困ったな……』


電話口の向こうはザワザワしていて、どうやら病院内から電話をかけてくれているらしい。
迷っているヨンファに、ジョンシンは思い切って口を開いた。


「……じゃあさ、俺のアパートに来てくれない?」
『お前のアパート?……ってどこだよ。明日は夜勤がないからそんなに遅くならないと思うが、場所はどの辺りだ?』
「ショートメールでメアド教えてくれたら、あとで地図を送っとく。もし分からなかったら、スマホに電話してくれたらいい」
『分かった。じゃあ、明日な』


ジョンシンはゆっくりとした動作で電源を切る。
組員や作業員がバタバタと行き交う中に弟分の顔を見つけ、手招くと嬉しそうな顔をしてついてきた。
誰もいない部屋に連れ込むと、ジョンシンは声を潜めて囁く。


「スンヒョン、悪いが、明日の当番代わってくれねぇか?」
「それはいいけど、何か急用でもあるの?」
「ああ、ちょっと大事な用ができた」
「じゃあ、今日、久々に付き合ってよ」


スンヒョンの声色が急に変わり、誘うような上目遣いをしてみせる。
ジョンシンの首に両腕を回してくるのをやんわりと制して、大きな嘆息を漏らす。


「お前とはもう寝ないって言ったはずだ。だから、早く合鍵を返せ」
「俺…やっぱり別れたくない。兄貴の恋人にしてほしいとか、そんな我儘は言ってないよ?気が向いた時に抱いてくれたらそれでいいのに、俺のどこがいけないの?」


駄々をこねる子供みたいに執拗に食い下がってきて、ジョンシンの眉間に深い皺が刻まれる。
心なんかなくても、互いの利害関係が一致すれば、いくらでもセックスはできる。
現にスンヒョンとは身体の相性が良く、セフレとしては申し分なかったが、もうこれ以上愛のない虚しい行為を繰り返す気が起きないのだ。
快楽は追えても、決して心が満たされることなどなかった。


「俺なんかよりもっとお前を大事にしてくれる奴を探せって、何度も言ってるだろ」
「そんな奴、いるわけないじゃん。俺には兄貴だけなのに……」


初めはお互いに身体だけの関係だと割り切っていたが、スンヒョンはいつの間にかそうではなくなっていたらしい。
もっと聞き分けが良かったはずなのに、恋愛が絡んでくると途端に欲が出てきて、別れる時にややこしくなる。まさに堂々巡りだった。


必死な顔で縋ってくるのを見ると、自分もヨンファに対してこんな感じなのかと思ってしまい、何とも言えない気持ちになる。


「……俺の言うことが聞けねぇのか?」
「明日の当番は代わってあげるけど、これだけは聞かない。合鍵は絶対に返さないからっ」


スンヒョンは思い詰めた顔でそう言うと、ジョンシンの返事を待たず走り去り、音を立ててドアが閉まった。
何度も別れようと言っているのに、頑なに拒否する相手には心底うんざりする。
重い以外の何者でもなかった。


初体験をした中学生の頃からジョンシンは性に奔放で、人が聞いたら呆れるようなことを数多くしてきた。
そのつけが回ってきたのかと、思わず天を仰ぐ。
これ以上厄介ごとは抱えたくないのに、自分の過去の過ちに舌打ちしたい気分だ。


ジョンシンは険しい顔をしたまま、それでも頭の中は明日のことでいっぱいだった。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(2)

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2016/05/05 (Thu) 09:07

haru

t*******さん

こんにちは♪

久々の二人なので、嬉しさを噛み締めて書いています♡♡
皆を幸せにしたいのはやまやまですが、今回はどうかな(・Θ・;)?
登場人物を出しすぎて、収拾がつくんかいなと心配です。

連休中はゆっくりできました♡
tさんもリフレッシュされましたか?
うちはDがお出かけ好きなので、お供であちこち連れ回されてます。
明日仕事に出れば、また休みなので嬉しいです♡
続き、頑張ります!

2016/05/05 (Thu) 18:08