CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

蒼き運命 -アオキサダメ- 5

2016年03月28日
蒼き運命 -アオキサダメ-(極道パロ) 2






休日の午後、強い日差しが照りつける中、ジョンヒョンが駐車場に車を停めてエンジンを切ると、ヨンファはシートベルトを外して車から降りた。


「その格好、見るからに暑そうだな。今日はクールビズじゃないのか?」


車に乗っている時からずっと気になっていたことを口にすると、ジョンヒョンが口許を緩める。
仕立ての良さそうな濃紺のスーツは、端整な顔立ちの男によく似合っていた。


「ええ。親父さんの前に出る時は大抵この格好ですよ。夏用なので、見た目ほどじゃないですが。ヨンファさんは涼しそうでいいですね」


実家に帰るだけなので、ヨンファはネイビーのサマーニットとデニムというラフな格好にした。私服姿だとよく若く見られる。


「俺はスーツを着ることがほとんどないからな」
「白衣の下って、何でも着れそうですね」
「今は半袖のスクラブばっかりだな」


二人で歩きながら正面にまわると、堂々たる門構えが視界に入り、その奥には日本庭園が見て取れる。


韓国では駐車場やセキュリティの関係で高層マンションやアパートの方が人気とされていたが、収益性の低下や、近年、日本の住宅メーカーが進出して一戸建ての需要が増えており、首都圏だけでなく地方都市でも一戸建てが増えてきている。
それでも、この周辺で木造建築の日本家屋はかなり珍しい部類に入り、遠目からでもよく目立つ。


大きな数寄屋門をくぐって中庭を通っている時に、ジョンヒョンが「先に離れに寄ってから行きます」と言って、一旦そこで分かれた。
ヨンファが母屋の格子戸をカラカラと開けると、威勢のいい声が出迎えた。


「あっ、若、お帰りなさいやし!」


中腰になって作業をしていた部屋住みの若い組員が、ヨンファに気づくと嬉しそうな声を出して立ち上がった。
手に雑巾を持っていることから、拭き掃除でもしていたのだろう。


「ああ、ただいま」


ヨンファは挨拶を返して広々とした玄関の三和土に足を踏み入れ、靴を脱いで上がる。
廊下を歩いていると声を聞きつけたのか、奥から他の組員たちが出てきて、迫力のある顔に笑みを浮かべて迎えられた。


「若、お待ちしてましたよっ!」
「ヨンファヒョン、お帰りなさいっ」
「おお、ヨンファさん、お帰りなさいやし!」


お馴染みの面々が何人もいて、よく見ると幹部だけスーツを着用している。


「……今日は何かあるのか?」
「若がお帰りになると親父さんに聞いたんで、ちょっと寄らせてもらいました」


正面にいたグンソクが微笑みながら答えた。


「親父が退院したって聞いたから、一応顔を見にな。それより仕事はいいのか?」
「他の連中は出てるんで、問題ないです。親父さんは今所用で出かけられているので、待つ間コーヒーでも飲まれますか?一時間以内には帰って来られると思います」
「ああ、じゃあ、もらう」


グンソクはヨンファを促して、一緒に奥の部屋へと向かった。










広々とした応接間のソファーに座って、グンソクやジョンヒョンたちと歓談しながらコーヒーを飲んでいると、それに気づいた組員が休憩だと言って少しずつ増えてきた。


いつの間にかミニョクやジョンシンの姿もあって、穏やかな雰囲気の中、ヨンファは普段の疲れを忘れてリラックスしている自分に驚く。
やはり実家は自分の生まれ育った家で落ち着くし、時折帰るのにはいいのかもしれないと思いはじめていた。


見た目と違いよく気のつく組員たちは、ヨンファにコーヒーのお替りを持って来てくれたり、有名なケーキ屋で買ったからとデザートまで勧めてくる。
至れり尽くせり状態でもてなされていると、ドアの周辺で数人が畏まって挨拶をしている声が聞こえた。
ヨンファがそちらに視線を向けると、先日病院で会った男が入ってきた。
驚いたことに、見た目が随分と変わっている。


「ハン、痩せたなぁ」


もともと丸顔だから、スリムになってもやはり丸顔のままだが、以前よりは明らかに痩せていた。
ヨンファの存在に気づくと、頭を下げながら近づいてきて、若い組員がソファーから立ち上がり、ハンに席を譲っている。


「若、いろいろとお世話になりました」
「いや、俺はただの代理で何もしてないから。しかし、驚いたな。ちゃんと食事療法を続けているんだな」
「極道が糖尿で死ぬなんて、恥ずかしすぎるじゃないですか」


その言い方があまりにも可笑しくてヨンファが噴き出すと、気を使って遠慮していた周りの組員たちも一斉に笑いはじめた。


「ちゃんと守っていて、えらいな。なかなか男前が上がったじゃないか」
「若にそう言ってもらって、素直に喜んじゃっていいんですかねぇ」
「喜んどけ」


二人の会話にドッと笑いが起き、「顧問、どうやって痩せたんですか?」と周りの組員たちから質問攻めにあい、本人も満更ではない様子だ。
その時―――。


「最近、行きつけのキャバクラで結構モテるんですよね、顧問」


突如、聞き捨てならない言葉が、古参の組員の口から飛び出した。
ハンを持ち上げようとして言ったのだろうが、ヨンファは当然聞き逃さなかったし、スルーしてやるつもりも毛頭なかった。


「……キャバクラ?まさか酒を飲んでるんじゃないだろうな」
「……えっと……」


ハンが「しまった!」という顔をしている。


「イ先生に飲んでいいと言われたのか?この病気は原則として禁酒だぞ。飲酒が許されるのは病院で設けた基準をクリアーできている患者のみで、当然、主治医の許可がいる」
「……………」
「ハンッ!」
「は、はいっ」


ヨンファの迫力に押されて、ハンの顔が引き攣って目は泳いでいる。


「落ち着いて下さいよ、若」
「これが落ち着いていられるかっ」


隣のグンソクが宥めるが、ヨンファが一蹴すると、借りてきた猫みたいに大人しくなった。
その時、ちょうどタイミングが悪くハンの携帯電話が鳴り、「あっ、ちょっと、すみません……」とヨンファに申し訳なさそうに断ってから、応接間から出て行った。


「ハンはキャバクラに一人で行ったのか?」
「……どうでしょうねぇ」


歯切れの悪いグンソクに痺れを切らし、ヨンファは全員を見渡した。


「同行した奴は誰だ?」


底冷えのする声を出すと、部屋の中はしーんと静まり返る。


「じゃあ、プライベートでキャバクラによく行ってる奴は?」


今度は質問を変えてみると、全員の視線が一人の男に集まった。
「げっ…」と小さく呟き、ジョンシンは悪戯が見つかった子供のような顔をしている。


「ジョンシナ、お前か。見舞いに来ておいて、この体たらくか」
「いやっ、同行しろってしつこく顧問が頼み込んできたんだって。しかも、一緒に行ったのは俺だけじゃねぇよ」
「ちょっと、詳しい話を聞かせてもらおうか」


他の組員たちはとばっちりはごめんだと言わんばかりに、「ご馳走様…」と居心地が悪そうな顔で口々に言いながら、コーヒーカップを持ってそそくさと退散していった。


「あっ、コラッ……裏切り者!!」
「待てよ」


咄嗟にヨンファは、あとを追いかけようとした男を引きとめた。
振り向いたジョンシンは余程ばつが悪いのか、ヨンファの顔を見ると困惑しきったような顔をする。そんなに疚しいことでもしているのだろうか。


「で、ハンと何回キャバクラに行ったんだ?」


相変わらず気まずそうな表情のままのジョンシンは「俺だけじゃねぇのに…」とブツブツ呟きながら、観念したように再び座る。
ヨンファが同じ質問を繰り返すと、視線を彷徨わせて渋々と口を開いた。


「……三回」
「ほぉ。で、他の奴らも同行させているとしたら、ハンはそれ以上の回数、キャバクラに行ってることになるな」


途端に、ジョンシンは弾かれたように顔を上げた。


「なっ……分かってるんなら、なんで俺だけ残すんだよっ」
「頻繁に行ってるお前に聞くのが、一番手っ取り早いだろうが」
「……何だよ。俺が一番遊んでるって言いたいのか?」


ジョンシンは眉を顰めて、真っ直ぐにこちらを見つめていた。
その顔はどこか傷ついているようで、自嘲するように唇の端が歪んでいる。


「全員一致だったし、遊びまくってるのは事実だろ」


ヨンファがお構いなしに言葉を続けると、ジョンシンは目を見開き、固まったように動かない。


「何も責めてるわけじゃないぞ。独身なんだから好きにしたらいい。俺が言いたいのは、ハンに頼まれても一緒に行くなってことだ。酒なんかご法度なのに、アイツ…何考えてるんだ」


ジョンシンの女性関係が派手なのは何となく想像に難くないし、ヨンファに言い寄ってきたくらいだから、案外男とも関係しているのかもしれない。


自分のことを好きだと言ったのも過去のことで、あからさまに色目を使ってくることがあるが、誰に対しても同様のことをしているのではないかと勘繰ってしまう。
だから、今のジョンシンが自分に対して本気とは、とても思えなかった。


「……軽蔑しねぇの?」
「別に。誰にも迷惑かけてるわけじゃないし、いいんじゃないのか?」


無言のままのジョンシンに、ヨンファは畳みかけるように言う。


「但し、病気にだけは気をつけろよ。あまり節操なしだと性病をうつされる可能性が高くなる。HIVに感染したらおしまいだからな」


ヨンファが一言しゃべるたびに、その顔から表情が消えていく。


「行く行くは結婚するんだろうから、まぁ徐々に遊びはやめて、そろそろ本気の相手を見つけたらどうだ?お前ならいくらでも――」
「もういい。それ以上言われなくたって分かってる」


突然立ち上がって話を中断させた声は恐ろしく低く、ジョンシンと視線が絡み合った瞬間、ドクリと心臓が激しく音を立てた。
力強い眼差しに射貫かれて動けなくなる。
感情の読めない顔で数秒間ヨンファを見つめると、ジョンシンは背を向けて部屋から出て行った。


「何だ、アイツ……」


あんなジョンシンを見るのは初めてだった。
苦々しさを無理に押し殺したような表情に見えたが、どこかあの男らしくないような気がする。
いつもなら無遠慮に言いたい放題なのに。


理由がまったく思い当たらなかったヨンファは、あまり深く考えない方がいいような気がして、虫の居所でも悪かったのだろうと無理矢理結論づけた。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(2)

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2016/03/28 (Mon) 23:00

haru

ta**さん

こんにちは♪

今後どうなるかですよね~。
ご想像にお任せします(〃∇〃)

ネタバレになっちゃうんで、これしか言えないんです。
ごめんなさい(・Θ・;)

2016/03/29 (Tue) 12:30