CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

陽だまりの道

2016年03月13日
Forbidden Love(兄弟パロ) 5


『Forbidden Love』 後日談



洗濯機を回している間に、ジョンシンは朝食の準備をしようとキッチンヘ向かった。
10月も終わりに近づくと、朝晩はかなり冷え込む。
休みの日でも平日とほぼ同じ時間に目が覚めてしまうため、他にこれと言ってすることもなく、つい家事をやってしまう。
LAで一人暮らしをしている頃に比べると、随分健康的な生活を送るようになった。


リビングの時計に目をやると、時刻は午前8時を過ぎている。
ヨンファは未だに起きてくる気配がない。
夜中の3時近くまで抱き合っていたのだから、無理もないだろう。


休前日になると、ジョンシンの歯止めがきかなくなり、いつも以上にヨンファを求めてしまう。
日々の仕事に加えて、エネルギッシュな恋人の相手をしているのだから、ヨンファの身体には相当負担がかかっているに違いない。


白い厚手の長袖シャツにジーンズというラフな格好で、ジョンシンはコーンスープを作るべく鍋を取り出す。
子供の頃、よく母親の手伝いをしていたから、家事は嫌いではない。
自分の分だけなら簡単なもので済ませるが、ジョンシンの料理を気に入ってくれているヨンファのために、いくらでも腕を振るおうという気になるから不思議だ。


朝はあまり食欲がないというヨンファのことを考えて、パンにすることが多い。
そのため、それに合うメニューを作るよう心掛けている。


コーンクリーム缶と牛乳を鍋に入れて火にかけ、温まってから、コンソメと塩コショウで味付けをして完成すると、次にプレーンオムレツの材料を準備して、あとは焼くだけの状態にしておく。
他にソーセージをボイルするための小鍋を用意し、あとはコーヒーを淹れて、食パンをトーストすればいい。


ヨンファは普段から忙しくしていて、マンションに仕事を持ち帰ることも少なくない。
そのため、家事の比重がジョンシンに多くかかってしまうことを、心苦しく思っているようだ。
それが関係しているのか分からないが、ヨンファは基本的に優しくて、余程のことがない限り、ジョンシンの我儘を受け入れてくれる。


数時間前の情交でもそうだった。
途中からかなり眠そうにしていて、四度目に突入しようとした時、初めは抵抗されたが、ジョンシンが頼み込むと、恥ずかしそうにしながらも身体を開いてくれた。
それだけ愛されていると思うと、胸がくすぐったくなり、幸せな気持ちになる。






その時のヨンファの痴態が、まだ目に焼き付いていて離れない。


『あっ…んっ……あっ……』


時間をかけてスローペースで腰を使っていると、ヨンファが切羽詰まった声を上げる。
こちらを見上げてくる潤んだ瞳は、キリのない行為を咎めているように見えた。
ジョンシンがゆっくり味わおうと、しばらく抜き差しを繰り返していると、長時間に渡るセックスに耐え切れなくなったのか、ヨンファがきつく身を捩った。


『早く……出して……っ』


とにかく眠くて解放されたくて、もう限界だったのだろう。
普段そういうことは一切言わないのに、半ば正気を失っているヨンファの口からとんでもない台詞が飛び出して、ジョンシンは頭が沸騰しそうになった。
深く繋がったまま、最奥にあたるように強く腰を揺すり上げて、ヨンファの中にたっぷりと注ぎ込んだ。






その時のことを思い返していたジョンシンは、いつの間にか顔に締まりがなくなっていたのに気づき、慌てて元に戻す。
ヨンファより若い分、ジョンシンは元気が有り余っていて、非常に精力的である。
睡眠時間もヨンファと比べると明らかに短いはずなのに、心身ともに満たされているからだろうか。あまり疲れを感じなくなった。それが仕事にも良い影響をもたらしていて、キム課長にもますます可愛がられている。


朝食の下準備が終わると、今度は洗濯物をベランダに干しにいく。
外に出ると冷たい風が頬にあたり、身震いがした。
二人分で量は少ないため大急ぎで干し終えたのだが、ヨンファはまだ起きてこない。
様子を見てきた方がいいだろうと思い、ジョンシンは自分の部屋まで行き、ドアをそろりと開けた。






永遠に手に入らないと思っていた相手が、ジョンシンのベッドで俯せになって眠り込んでいた。
カーテンを開けた窓から日差しが燦々と降り注いでいて、ヨンファの色白の肌を照らし、あまりの眩しさに息を呑む。


一糸纏わぬ姿で、毛布が腰の下までずり落ちて、形の良い小ぶりな臀部が見えそうになっている。
ジョンシンは知らず知らず、ゴクリと喉を鳴らした。
この美しい人が自分のものだと改めて認識して、ジョンシンは何とも言えない幸福感に包まれた。


そっとベッドの端に腰を下ろして身を屈めると、そのしみ一つないなめらかな白い背中に口づけを落とす。
さらさらの黒髪に顔を埋めると、自分と同じシャンプーの香りがして、照れくさい感じがした。
もう少しこのしどけない姿を眺めていたかったが、風邪をひかせてはいけないと、毛布と布団を引き上げる。


ヨンファは眠っている状態でも、壮絶な色気を放っていた。
瞳は閉じられたまま長い睫毛が影を落とし、憂いを帯びていて、ふっくらとした唇はまるでジョンシンの口づけを待っているようだ。
安らかな寝息を立てている恋人の寝顔を、ジョンシンは飽きることなく見つめ続けた。


絶対に叶わない願いだと諦めていたのに、何の前触れもなく突然胸に飛び込んできた唯一無二の存在。
一緒に暮らしていて、それが夢ではないと実感しているはずなのに、本当に現実に起こっていることなんだろうかと、未だに信じられない時がある。
それは、あまりにも気が遠くなるほど前から、長く想い続けてきたからだろうか―――。










末っ子のジョンシンは、幼い頃から長兄のヨンファのことが大好きだった。
男ばかりの四人兄弟で、ジョンヒョンやミニョクとは物の取り合いなどでよく喧嘩をしていたが、綺麗な顔立ちをした優しくて穏やかなヨンファとはとても仲が良かった。


ヨンファは自分が欲しいと思っていても、ジョンシンが望めば譲ってくれたし、よく世話を焼いてもらった覚えがある。
決して自惚れではなくて、兄弟の中では自分のことを一番可愛がってくれたんじゃないかと思う。


成績優秀で性格も良く、誰からも好かれていたヨンファは、ジョンシンにとって憧れの存在だった。
家でも外に遊びに行く時も、いつもヨンファにばかりくっついて離れなかったのを嫌な顔一つせず、柔らかく微笑んで受け入れてくれた。
同じ男とは思えないほど顔が整っていて、ジョンシンにはひどくキラキラと眩しく輝いて見え、兄を慕うというよりも寧ろ恋心に近い感情だったかもしれない。


そして、ジョンシンが小学五年生の秋、あの出来事が起こった。


いつものように学校が終わり帰宅すると、玄関にヨンファの靴があった。
その日は二人とも塾が休みの日だったため、一緒にゲームをして遊べると、ジョンシンが喜び勇んで二階へ上がっていくと、ヨンファの部屋からくぐもったような声が聞こえる。


もしかして具合でも悪いのかと思い、そっとドアの隙間から中を覗き込むと、とんでもない光景が目に飛び込んできた。
ベッドの上に脚を投げ出して、後ろの壁に凭れかかるようにして、ヨンファの口から濡れた声が漏れていた。


『はぁ……ん……っ』


ジーンズの前を開き、中心に触れた右手が小刻みに動いている。
それが何を意味するのか、早熟なジョンシンは知っていた。


ヨンファは時折瞳を閉じ、頬は薄ら上気していて、陶然とした表情をしていた。
それを目にしたジョンシンは、今にも呼吸が止まりそうだった。
あまりにも綺麗であられもないヨンファの姿に目が釘付けになり、心臓はドキドキして顔はカーッと熱くなり、何が何だかわけが分からなくなった。


唐突に自分の下半身に違和感を覚え、ジョンシンが下着の中に手を入れると、それがいつもより硬くなっていることに気づく。
知識はあったし、クラスの友人から話は聞いていたので、特に驚きはしなかった。


手の平で擦るとものすごく気持ちが良くて、こんな感覚は初めての経験だった。
目の前で繰り広げているヨンファの姿を見ていると我慢できなくなり、ドアの外で同じようにジョンシンも右手を動かしてみると、徐々に形を変え、先端から何か液体が滲み出てくる。
気が遠くなりそうになり、声が出そうになるのを必死に噛み殺していると、突如白いものがピュッと飛び出して腰が抜けたようになった。それがジョンシンにとって、初めての精通だった。


この時の強烈な体験は、未だに忘れられない。
ジョンシンはヨンファに対して純粋に好きという気持ちだけじゃなく、只ならぬ欲望を抱いていることを初めて自覚した。
それは、絶望の日々の始まりだった。






ジョンシンは年齢を重ねるごとに身体も大きく成長し、高校に上がる頃には、ヨンファの身長を超していた。
日に日にヨンファへの気持ちが溢れて、恋しさは募っていく一方なのに、それを知らないヨンファは無邪気な顔をしてジョンシンを構おうとしてくる。
それが辛くて、わざとヨンファに反抗して、生意気な態度を取るようにした。


それでも、一緒に暮らしているとマズイ場面に遭遇することは多く、何度も冷や汗をかく羽目になる。
特に夏場は薄着になる分、目のやり場に困った。
暑がりのヨンファは家では大抵、タンクトップにハーフパンツ姿でいることが多く、なだらかな胸許や細くて白い脚を惜しみなく出してジョンシンを翻弄した。
両親が不在の時などは、その格好でリビングのソファーに寝転がり、わざとやっているのかと怒鳴りたくなるほどだった。


まだ家族が全員一緒に暮らしている時は節度を保っていたものの、両親が渡米してからジョンシンの生活態度は一変した。
兄弟だけという気楽さから、それまで抑えていた欲望を外で発散させるようになったのだ。
ヨンファ以外に目を向けようと告白してきた女と付き合い、他に言い寄ってきた複数の女も相手をした。
でも、ただ吐き出すという行為だけで、何も感じなかった。


そんなジョンシンの心の闇を知らない兄弟は、受験生の立場で夜遊びをすることを当然よく思うはずがない。
中でも一番真面目で責任感の強いヨンファは、自分が親代わりと思っているのか、頻繁に説教をされた。
その都度わざとぶっきらぼうな態度をとると、ヨンファは悲しそうな顔をして、ジョンシンの胸はじくじくと痛む。
いい加減放っておいてほしくて、現実から逃れるように帰宅時間が遅くなり、朝寝過ごした時に、お節介なヨンファが起こしにきてくれたことがあった。


『ジョンシナ、遅刻するぞ。早く起きろ』


瞼を開けると、すぐ目の前にヨンファの綺麗な顔があり、驚いて一気に目が覚めた。
ジョンシンの心臓はドキドキして、生理現象で硬くなっていたそれが、ますます膨らむのを感じた。
その日を境に、わざと起こしに来さすよう仕向けた。
一生懸命なヨンファを構いたくなってしまったからかもしれない。


すでに起きているのに、故意にベッドから出ず、全裸でヨンファを待っていたこともあった。
どういう反応をするか見たかったからだが、予想以上に可愛い反応をされ、そのまま抱いてしまいたいと思ったくらいだ。
それを何とか理性で抑えつけて、事なきを得た。


寝ても覚めてもヨンファのことが頭から離れず、ジョンシンの想いはいつ爆発してもおかしくないところまで来ていた。
当初はヨンファと同じS大に入るつもりだったが、幾日か考えて、アメリカの大学を受験してみようかと決意を固める。
近くにいればいつか必ずヨンファを傷つけることになるのは、目に見えて明らかだったからだ。
絶対に受け入れてもらえるはずがないのだから、距離を置けばこの気持ちと決別できて、他に目が向くだろうと思った。


方向転換してから重点的に英語の勉強をしてると、夏休みに突入して、あの一週間が訪れた。
ソヒョンと仲良さそうにしているヨンファを見て、嫉妬のあまり、自分の中で何かが崩れ去る音を聞いた。
突き上げるような欲望を抑えることができなくなり、想いが実るはずがないのだから、せめて身体だけで貰おうと、最低の行為に走ったのだ。


半ばヨンファを脅すような形で唇を奪い、嫌がるのを説き伏せて、無理矢理抱いた。
まるで夢のような甘美なひと時はあまりにも幸せすぎて、時間が止まればいいと思った。
でも、それはヨンファにとってはただ苦痛でしかなかったに違いない。
意識を飛ばしてぐったりとしたヨンファを抱き締め、ジョンシンは申し訳ない気持ちで泣きたくなるほどだった。


期限つきだからこそ、ヨンファが我慢して付き合っていることは、ジョンシンも承知している。
だから、歯止めが利かず、何度も何度もヨンファを求め、自分の身体にしっかりと刻み込もうとしたのだ。
一度抱けば気が済むかと思っていた目論見は思いきり外れ、ヨンファへの想いはますます募っていった。


一週間が終わると、ジョンシンはヨンファへの気持ちを振り切るかのように生活態度を真面目にして、勉強することに集中した。
絶対にアメリカに行くんだという強い決意だけが、ジョンシンを動かしていた。


順調に準備や手続が終わり、渡米することになった日の夜中、思いがけないことが起こった。
なかなか寝つけなかったところに、誰かが部屋に侵入してきたのだ。
咄嗟にジョンシンが目を瞑ったから、寝ていると思ったのだろう。
気配が近づいてきたかと思うと、いきなり髪に触れられて、ひどく驚いた。


目を開けなくても、それがヨンファだということはすぐに分かった。
こんな時間に何をしに来たのか分からなかったが、ジョンシンに触れただけで、また出て行こうとしたヨンファを引き留めた。
信じられなかったが、ヨンファから口づけされ、もう止まらなかった。


渡米する弟に対しての餞別のつもりなのか、それとも同情なのか。
ヨンファの気持ちを推し量ることはできなかったが、もう理由は何でも良かった。
二度と触れることはないと思っていたヨンファが腕の中にいて、気持ちを抑えることなどできやしない。
言葉にしたら途中で終わりそうな気がして、一言も何も言えず、ただひたすら身体を重ねてお互いを貪った。


そして、自分の人生をリセットするつもりで、逃げるようにジョンシンは渡米した。
でも、すぐにヨンファを忘れることなんてできなかった。
頭がどうにかなりそうなくらい四六時中ヨンファのことが頭から離れず、頻繁に夢まで見る始末だった。


同じ大学の学生や、遊びに行った先々で誘われたことが何度か有り、手当たり次第に試してみた。
時には身体だけの繋がりもあったし、本気になりかけて付き合ったこともあったが、未練がましくヨンファの顔が思い浮かび、
どうしても自分の心を偽ることができない。


離れてみて初めて、これほどまでにヨンファを深く愛していることに気づき、愕然とした。
いけないと分かっていても、ヨンファへの恋情を捨て去ることができなかった。


どうしても声が聞きたくなり、大した用事もないのに何度か実家に国際電話をかけたこともある。
何故だかいつもヨンファだけ電話口に出ず、避けられているのだとすぐに分かった。
あれほど一方的にひどい真似をしたのだから、当然のことだろう。
ジョンシンは勉学に励み、その空虚感を埋めようとした。






年数が経つにつれてジョンシンの英語力は向上し、かなりのレベルになっていた。
真面目に学校に通い授業についていければ、卒業は別段難しいものではなく、いい機会だからと両親の勧めもあり、大学院へと進む道を選ぶ。
この頃にはヨンファのことはあまり考えないようになり、手軽な相手とそれなりに楽しく過ごしていた。


そして、卒業と同時に6年ぶりに帰国することになったが、ジョンシンには自信があった。もう大丈夫だろうと。
また兄弟として普通に接すればいいと心に決めていたのに、ヨンファに再会した時、ジョンシンは言葉を失った。
より色香が増して綺麗になっていた兄を前にして、呆気なく心を打ち砕かれてしまったのだ。
想い切れるどころか、今まで以上に魅かれるのを止めることはできなかった。


しかし、ヨンファのそばには、すでに見知らぬ相手がいた。
会社までその男の車で往復し、仕事中に一緒にいるところを何度となく目撃した。
二人の親密そうな雰囲気から、只ならぬ関係だということは容易に想像がついた。


案の定、ジョンシンが仕事を終えてマンションに帰ってきた時に、あろうことかその男は部屋の中まで入り込んでいて、ヨンファのワイシャツに手をかけているところだった。
それを見て、ジョンシンは頭の線がブチ切れた。
ヨンファは熱があるからと言って否定したが、その言葉はもはやジョンシンの心には届かず、狂おしいほどの嫉妬で身を焼かれる思いがした。


ジョンシンの気分は最悪で、満更でもない様子のヨンファが許せなかった。
だから、腹いせに熱で苦しんでいるのを知っていて、わざと放っておいた。
我ながら何てひどいことをしたのかと思うが、ヨンファに対して怒りを持つことで、砕け散りそうになる自制心を必死で押し留めていたのだ。


実家でヨンファがその男とキスをしている場面に遭遇した時は、目の前が真っ暗になった。
やはり二人は付き合っているんだと確信し、はらわたが煮えくり返りそうになった。
奥歯を強くギリッと噛み締めてひたすら耐えたが、その後一度だけヨンファの美しい顔を叩いたのだ。


今でもジョンシンの心の中で大きな痛みとなって残っているが、ヨンファの台詞がどうしても許せなくて、つい手が出てしまった。
性欲処理の相手として一度も見たことがないのに、そう勘違いされていてジョンシンは悲しかった。
手加減をしたが、きっと痛かったに違いない。


ジョンシンの心の中では様々な感情が複雑に入り組み、出口のない真っ暗な迷路を彷徨っているようだった。
もう二度と繰り返さないと心に誓っていたのに、ヨンファが出て行くと聞いてカッとなり、その掟をいとも簡単に破って無理矢理犯した。ひどい言葉をぶつけて傷つけ、ヨンファのプライドを踏みにじったのだ。
自分のしたことは、決して許させることではない。


その直後、ヨンファがいなくなったことに気づいた時、ジョンシンは顔面蒼白になった。
絶対にあの男のところへ行ったんだと確信した。
取り返しのつかないことをして、ヨンファの心と身体をズタズタにしたことを、ジョンシンは心底悔やんだ。
そして、あの男に抱かれるヨンファを想像して、嫉妬と怒りで頭がおかしくなりそうになった。


もし自分が弟でなければ―――。
それは、今までジョンシンが何度も反芻してきた言葉だった。
自分たちがこういう境遇の下に生まれてこなければ、ヨンファに対する気持ちを口に出して言えたのだ。
でも、それは絶対にしてはならないことだった。


ヨンファはもう帰ってこないだろうと、ジョンシンは絶望感に襲われて、自分に対してものすごい怒りが込み上げてきた。
物に当たっても仕方ないのに、ローテーブルを思いきり蹴飛ばし、悔しくて悲しくて酒でも飲まないと正気を保てなかった。


驚いたことに一週間後、予想に反してヨンファは帰ってきた。
罵倒される覚悟でいたのにそれすらなく、代わりにテーブルの上を片付けだした。
こんな時でさえ優しさを見せてくるヨンファに、この人には絶対叶わないと泣きたくなった。
近くにいると感情的になり、またヨンファを傷つけかねなかったから、やはり自分はここにいるべきではないと思った。


ヨンファの幸せを一番に考えようと、ジョンシンはまたLAに戻る決意を固めた。
そばにいない方が自分たちのためになると思い、それがお互いにとってベストの選択だと疑いもしなかった。


ヨンファが執拗に引き留めてくれて幾分救われたような気がしたが、愛しているからこそ、この意志は絶対に曲げまいと心に誓っていた。


そして、マンションを出る時、ジョンシンは最後に無茶な我儘を言った。
ヨンファの笑った顔をずっと見ていなかったから、せめてもの思い出として言ってみたが、ものの見事に拒否された。
それも、当然の話だろう。今まで自分がしてきたことを思うと、それだけで済んだのは奇跡に近かった。
両親にぶちまけてもおかしくないくらいひどいことをしたのに、ヨンファは何も言わなかったのだ。


胸の軋みを抑えて、それを振り払うように前だけを向いて外に出ようとした時、有り得ないことが起こった。
突然、後ろから強く抱きつかれて、ジョンシンは呆然とした。
ヨンファの温もりを感じていることが信じられなくて、その口から語られる言葉の数々に、震えるほどの喜びを感じた。
それは、今でもはっきりと耳に残っている。


今思うと、自分たちはあまりにも臆病すぎたのだろう。
兄弟という血縁がより一層、一歩踏み出すことを躊躇させた。
相手に嫌われたくない一心で、自分の想いを伝えることも相手の気持ちを確かめることもできなかった。
だから、これほど長い間、すれ違いが生じたのかもしれない。


思いのままお互いの気持ちを吐露し、激しく抱き合って、何度も口づけを交わした。
それだけでは足りなくて、ベッドの上でこれ以上ないほど求め合い、幾度となく愛の証を吐き出し続けた。


すべてを独占したいと思うほど愛する人は、ヨンファ以外にはいない。
今までも、そして、これからも。この存在を絶対に離すまいと、ジョンシンは決心した。


もうあんな辛い思いはしなくていいのだ。
お互いを想う強い愛情が、二人の関係を揺るぎないものにしてくれた。
二度と離れ離れになることなく、これからの長い人生をともに歩もうとヨンファと誓い合った。










今までのことを回想しながら、ジョンシンはヨンファのあどけない寝顔をずっと眺めていた。
温かい布団に包まれた身体は、呼吸に合わせて上下している。


―――まるで眠り姫だな…。


綺麗な顔を前にして、だんだんと気持ちを抑えきれなくなってきた。
確か王子のキスで目覚めるって話だったよな。
ジョンシンは「柄じゃねぇな」と低く笑って、静かに眠るヨンファの唇にそっと口づけた。
子供騙しみたいなキスひとつで身体が震えるほどの幸せを感じていると、ヨンファの長い睫毛が微かに震えた。


「ん……」


ヨンファはようやく目を覚まし、ぼんやりとした顔で瞬きを繰り返す。


「悪りぃ。起こしてしまったか」
「……ジョンシナ?」


寝起き特有の掠れた声が堪らなく愛しくて、ジョンシンは眠そうな顔で目を擦っているヨンファの前髪を優しく梳き、身を屈めてヨンファの額にキスをした。
潤んでいるような黒目がちの大きな瞳が、微笑んでジョンシンを見上げてくる。


「身体は大丈夫か?また無理をさせたな」


すると、ヨンファは恥ずかしそうに首を横に振った。


「大丈夫……」


そう言って、ゆっくりと上体を起こす。
ヨンファは無自覚なのか正直すぎるのか、愛を確かめ合ってから、自分の気持ちをあまり隠さなくなった。
照れたような表情に自然と口許がほころんで、ジョンシンは落ち着かない気分にさせられる。


三日と置かずに抱いているからか、ヨンファは以前に比べてゾクゾクするような妖艶な雰囲気を纏うようになった。
寝乱れた髪や、白い滑らかな肌を目にするだけで、鎮まっていた欲望に再び火がつき始める。
俯いて伏し目になった顔を見ていると堪らなくなり、ジョンシンはヨンファの肩を抱き寄せ、寝乱れた髪に頬ずりした。


「あ……」
「どうした?」
「服が当たると、擦れて痛いんだ」


最初、ヨンファの言っている意味がよく分からなかったが、どうやらジョンシンの着ている服がヨンファの乳首に触れてしまったようだ。見ると、それは赤く色づいている。


セックスの時、ジョンシンが頻繁に弄り回しているため、何もしていない時でも乳首はツンと勃っている状態で、赤いのは吸いすぎて充血している証拠だ。
それが白い肌に映えて、何ともいやらしい感じがする。
ジョンシンが指で摘むと、ヨンファが頭を振った。その刺激に困惑しているようだ。


「……触るな…よ」


聞く耳を持たず、顔を下げてヨンファの乳首を舐めると、舌を押し返すほどの弾力があり、全身がビクンと大きく揺れる。


「すごく敏感になってるな」
「も……やめろ…って……」


口に含んで味わうように吸うと、ヨンファは仰け反るように顎を上げ、鼻にかかった甘い声を漏らす。


「んっ……」


その反応に気をよくして、軽く歯を立てて、押し潰すように舌で転がすと、引っ切り無しに可愛い声が零れだす。
ジョンシンのテクニックでヨンファの身体がどんどん開発されて、感じやすくなっている。
強い情欲が湧いてきて止まらなくなったジョンシンは、「エロいな…」と低い声で感嘆するように囁いた。


「お前の…せい…だろ…」


息を乱して睨むように見つめられて、胸がカッと熱くなる。
ヨンファの痴態の数々で、ジョンシンの欲望はすっかり形を変えていた。


ヨンファの身体の奥深くに入りたいという欲求が一度芽生えてしまうと、もう止まらなくなる。
思う存分突き上げて、吐き出さないことにはおさまらない。


一瞬だけ身体を離し、身に着けていた服を脱ぎ捨てて裸になると、ジョンシンの目的を理解したヨンファは、慌てたように顔を背けた。
ベッドに上がり、邪魔な毛布などをすべて取っ払うと、ヨンファの美しい肢体が目の前に現れる。


「……寒い」
「今、あっためてやるから」


ジョンシンが唇を求めて顏を近づけると、ヨンファが瞳を閉じる。
唇を重ねて舌を絡めると、ヨンファも自ら動かしてきて、お互いを貪るような濃厚なキスになった。


ジョンシンはすぐにでも繋がりたくて、もう我慢できなかった。
後ろに指を入れてヨンファの感じる部分を押すと、ビクッと全身が震える。
数度に及ぶ行為の名残で、中はしっとりと温かくて柔らかかった。
寝る前にバスルームで白濁を掻きだして綺麗にしたから、ジョンシンの残滓は残っていない。


前立腺に近いところをゆっくりと擦ると、「あっ、あっ」と声が零れる。
普段の時とはまったくの別人で、自分しか知らないもう一人のヨンファが現れる。
そのギャップに、ジョンシンは完全にノックアウトされていた。


ジョンシンは夢中で柔らかな唇を貪り、優しい手つきで激しく求めた。
長い指で抽挿を繰り返すと、ヨンファが身体を細かく震わせてすすり泣く。


「あっ…や……アァッ…」


鼻から抜けるような声や官能が滲んだ掠れ声に煽られ、頭がどうにかなりそうだった。
ヨンファを俯せにさせ後ろを露わにすると、その可憐な小さな蕾が健気に淫らにヒクついているのを見て、堪らなくなった。


ゴクリと喉が上下し、ジョンシンはむしゃぶりつくようにそこに口づけて、濡れた音を立てて舐め始める。
両手で中を広げると綺麗な色をしていて、ジョンシンは吸い寄せられるように舌を差し入れた。


「駄目っ……やめ……っ」


嫌がって逃げようとする細い腰を押さえつけ、繰り返し執拗に責めると、身体をビクビクと震わせ、ヨンファはすぐに息が絶え絶えになる。ジョンシンは右手で素早くジーンズの前を寛げると、熱く滾ったものを取り出した。


余裕のない声で「今から入れるから…」と耳許で囁き、ヨンファを四つん這いにさせると、背後から重なり、昂ぶりを蕾に押し当てた。


「あっ…ン……ああっ……」


グッと奥まで押し込むと、ひと際高い嬌声が断続的に零れだす。
すでに十分に蕩けていたそこは、何の抵抗もなく受け入れて、ジョンシンの形を覚えているかのように貪欲に絡みついてきた
強烈な締めつけにジョンシンが息を呑むと、ヨンファの口から甘ったるい声が漏れ、身体を大きく震わせて喉を反らせる。
その瞬間、シーツがパタパタと濡れた。


「……入れただけでイッたのか?」
「ごめ……っ」


ベッドに突っ伏して小刻みに震えている身体を抱き締めてやり、あまりの可愛さに眩暈がしそうになった。
ジョンシンの指と舌によって、限界近くまで身体が高められていたのかもしれない。
いつもなら少しインターバルを置くところだが、我慢できなくなり、ジョンシンは深く挿入したままゆっくりと腰を回し始めた。


「あぁ……っ」
「いいよ。何度でもイカせてやる」
「あっ……まだ…駄目だ……動くな……っ」


内壁が強すぎた絶頂で過敏になっているらしく、少しでも刺激を与えると、ヨンファが嫌だと首を振る。


「悪りぃ。待てないから動く」
「あ、ん……っ」


腰を掴んで中を擦り上げると、粘膜が熱く纏わりついて離そうとしない。
壮絶な色気を放ちだしたヨンファに煽られて、ジョンシンの質量が増していく。


「……え…ちょ……また…大きく…?」


ヨンファが唖然として、後ろを振り返ってくる。


「弟のくせに…どこもかしこも…デカく…なりすぎ……」


真面目なヨンファの口からストレートに告げられて、ジョンシンはグッと詰まった。
思いきり頭に血が上りそうになり、クラリとした眩暈を覚える。もう手加減はできそうになかった。


「小さいよりはいいだろ。アンタの奥まで擦って、いっぱい感じさせてやるから、もう少し腰を上げて」


目の前の綺麗な背中に夢中で口づけると、ヨンファは戸惑いながらもジョンシンの要求に応えてきた。
素直な恋人に喜びを感じ、ジョンシンは背後からヨンファを責め立てる。
明るい日差しの中で激しく乱れるヨンファは、この世のものとは思えないほど美しく、抜けるような肌の白さに見惚れた。


こんな風にヨンファが羞恥に身を震わせながらも、ジョンシンの好きにさせてくれるのは、それだけ愛されている証拠なのだろう。
自分もそうだが、ヨンファはずっと女性と付き合っていてゲイではない。


抱かれる側は身体に負担はかかるし、男としての矜持も関わってくるから、すんなりと消化できる問題ではないのだ。
見た目に反して性格が男らしいヨンファからすると、尚更堪えているはずなのに、それでも、ジョンシンを受け入れようとしてくれる。


「深いのと浅いの、どっちがいい?」
「分か…ない……っ」
「じゃあ、最初は浅くな」


前立腺の辺りを集中的に突くと、ジョンシンの動きに合わせてヨンファの腰も揺れ始める。


「んっ…あ……はぁっ……ジョンシナ……っ」


ヨンファの甘い声が、ジョンシンの興奮を誘う。
自ら快感を貪るヨンファはとても淫らで、控え目ながらジョンシンを感じさせようとしてくれていることが分かり、何とも言えない恍惚とした気分になる。


今度は奥深くまで沈めて抜き差しをすると、打ちつけるたびに感じて仕方ないのか、堪らなさそうに腰がくねる。
それは眩暈がするほど扇情的で、ジョンシンは無我夢中でヨンファの中を味わった。


「あっ……またイキそう…っ」
「ヨンファの中、蕩けてて……たまんねぇ……っ」
「……すごっ……奥に…刺さる……」


律動によってヨンファの艶めかしい喘ぎ声とともに、何度もジョンシンの名を口にされ、歯止めがきかなくなる。
まるで一つに溶け合っていくようだった。
こんなに乱れているヨンファは、自分以外に誰も知らない。
そう思うと、胸の奥底からどうしようもなく愉悦が込み上げてくる。


―――俺だけのものだ。絶対、誰にもやらねぇ。


ずっとこのまま繋がっていたかったが、そろそろ限界が近づいていた。
ジョンシンはヨンファの前を手で扱きながら、力強く腰を使い、中を抉るようにして快感を引き出していく。


「……ああっ……ん……あっ……い……っ」
「……くっ」


絶頂の波が押し寄せるのに声を上げ、ヨンファが背中を反らして吐精する。
そのきつい締めつけに引きずられるように、荒々しく息を吐きながら、ジョンシンはヨンファの中に思いの丈を迸らせた。


終わってもすぐまた次の快楽を得たいと思ってしまうが、さすがにこれ以上はヨンファの身体に負担がかかる。
明日も休みだから、焦ることはない。
あの夏のように、一週間しか期限がないという不安に苛まれることはないのだから。


ヨンファがぐったりとベッドに倒れ込み、激しく息を弾ませている。
その背中に覆い被さって、ジョンシンも呼吸を整える。


「ヨンファ……」


ジョンシンが覗き込むと、ヨンファは顔だけ後ろに向けて、唇を合わせるだけのキスをした。


もう何度も抱いているのに、ヨンファは昔と変わらない。
ジョンシンが今まで出会った相手は我儘や不満を言ったり、束縛して変に恋人ヅラをする奴が多かった。


でも、ヨンファはまったくそういうことがない。駆け引きする必要もないし、自然体でいられる。
もう少し甘えて気を許してくれればと思うこともあるが、そんなところがヨンファらしくていいと、ジョンシンは思っている。










ジョンシンがシャワーを浴びて戻ると、ヨンファは相変わらずベッドの上に突っ伏していた。
身体が辛いのかと、そっと髪を撫でてやると、ごろりと仰向けになった。


「ジョンシナー、腹空いた」


しまった。朝食のことをすっかり忘れていた。


「準備だけはしてるから、すぐ食べれるぞ」


ジョンシンがそう答えると、ヨンファは弾かれたように起き上がった。


「ありがとう。じゃあ、シャワー浴びてくる」


ヨンファは汚れたシーツを腰に巻きつけてベッドから下りた。
そのまま洗濯するつもりなのだろう。
何度も抱き合って、身体の隅々まで知られているのに、未だにあけっぴろげにしないところがヨンファらしい。


「手伝おうか?」
「いいっ」


後ろから声をかけると、ジョンシンの意図することが分かったようで、ヨンファは顔を真っ赤にして、そそくさとバスルームに消えた。










幾分さっぱりとした面持ちでリビングに入ってきたヨンファは、ざっくりとした大きめのケーブルニットとジーンズ姿だった。
腰の位置が高く、脚が細くて綺麗だから、スリムタイプを履くとラインがはっきりと分かり、つい視線が釘付けになる。
髪の毛はドライヤーをかけておらず、濡れたままだ。


今も時々ジョンシンが乾かしてやるが、ヨンファは自分のことに結構無頓着なところがある。
せっかくの美貌をしているのだから、もっと身なりを構えばいいのに、性格が男っぽいというか雑というか、ジョンシンのように拘りはないようだ。


ダイニングテーブルの上に用意された朝食を見て、ヨンファは感嘆の声を出して喜んでくれた。
向かい合わせに座り食べ始めるが、目の前にしたヨンファを改めて見ると、相変わらず現実離れした容貌をしていて、もう何度も触れ合う仲なのに未だに心臓の鼓動が早くなる。


セックスをしたあとだからだろうか。いつもより格段に色香がダダ洩れ状態だ。
気怠いのか、動作がいつもよりゆっくりめだが、全身から事後感が漂っていてひどく美しい。
ヨンファをこんな風に変えることができるのが自分だけだと思うと、妙にゾクゾクしてくる。


「ジョンシナの料理は本当に美味いな」


そんなことを考えているとは露ほども思っていないヨンファは、嬉しそうに食べてくれる。
余程空腹だったのか、見ていて面白いぐらいに、次々とヨンファの胃袋におさまっていく。


「しっかり食えよ。また最近、痩せただろ」
「それは違う」
「え?」
「食欲が落ちたわけじゃない。ちゃんと食べてる」
「あぁ?じゃあ、何だよ?」


ヨンファの顔を窺うように見ながらジョンシンが首をひねると、意外な言葉が返ってきた。


「お前が……しすぎるから……」


恥ずかしそうに目を伏せて、オムレツをフォークに乗せようとしている。


―――今日は一体何なんだ。俺の理性を根こそぎ崩壊させる気かっ。


普段、凛とした雰囲気を纏っているだけに、ちょっとしたことで照れる姿はどうしようもなく可愛い。
ヨンファが時折見せるこの手のリアクションは、ジョンシンのツボを刺激しまくるのだ。
本当に年上かと疑ってしまうほどに。
思わず手に力が入って、ジョンシンは皿まで貫通しそうな勢いで、ソーセージにフォークをブスッと突き刺してしまった。


「体力も消耗するし……もうちょっと手加減しろよ」


そう言いながらこちらを見てきて、ジョンシンは胸の奥から込み上げてくるものを感じた。
ヨンファは分かっているのだろうか。
顔を赤らめながら上目遣いをすることが、どれほど相手を煽っているのかということを。


一緒に暮らしていて、数えきれないほど愛の言葉を囁き合っている仲なのに、こういう純粋なヨンファをジョンシンは堪らなく愛しいと思う。
自分の顔がだらしなく緩んでいることに気づき、ジョンシンは慌てて真一文字にして口許を引き締めた。


「まぁ……加減するよ」


素直に言うことをきいたジョンシンを、ヨンファは意外なものでも見るように目を大きくした。






雑談をしながらすべての料理を食べ終わりコーヒーを飲んでいると、ヨンファが「ご馳走様」と労ってくれ、別の話を始めた。


「お前には叶わないよ。料理はできるし英語もペラペラ。見た目もそうだから、俺の方が弟みたいだな」
「んなこと、あるかよ」
「ジョンシナって、高校に入学する頃、急に背が伸び始めただろ?あっという間に追い越されて、体つきも逞しくなった」


昔を思い出しているのか、どこか懐かしそうな口調で言い、ヨンファは眩しそうにジョンシンを見つめる。
突然、何を当たり前のことを言い出すのかと思っていると、ヨンファは想定外の言葉を口にした。


「その頃なんだ。お前を意識するようになったのは」


思わぬ台詞に驚いてジョンシンが固まっていると、ヨンファは口許に笑みを浮かべた。


「だから…今が信じられないな。一緒に暮らして、お前の手料理を食べてさ。罰が当たらなきゃいいけど」


マグカップを持ちコーヒーをフーフー冷ましながら飲むヨンファに、言葉にならないほど愛しさが込み上げてくる。
どれだけ惚れさせれば気が済むのだろうか。


「……ヨンファ」
「ん?」


ジョンシンはヨンファを手招きして顔をこちらに近づけさすと、自分も身を乗り出して、テーブル越しにキスをした。
軽く触れ合わせすぐ離したが、違和感を覚えて指でヨンファの唇をなぞる。


「ジョンシナ…なに…?」
「また赤く腫れてるな」


キスをしすぎると、腫れることがある。
ヨンファの唇が柔らかくて、つい夢中になって貪った結果だから、ジョンシンも多少は反省している。
バツが悪くなったので、気を落ち着けようとコーヒーカップを口許に近づけた。


「昔も同じこと言ったぞ。ぷっくりって」
「!」


邪気のない顔で喋るヨンファに、コーヒーを飲んでいたジョンシンは思わず噎せてしまった。


「ジョンシナって、時々、気障な言い方をする時があるよな」
「……そういうことを、面と向かって言うんじゃねぇよっ」
「覚えてるのか?」
「当たり前だろ。アンタに関することは全部覚えてる」


自分が言った台詞をそのまま返されることが、これほど恥ずかしいとは思ってもみなかった。
ますます居心地の悪くなったジョンシンの視線の先で、ヨンファははにかんだ笑みを見せる。


楽しそうな顔でこちらを見つめるヨンファは、本当に綺麗だった。
澄んだその瞳に自分だけが映されていると思うと、あまりにも幸せすぎて胸が震えた。






食事が終わって、ヨンファが食器を洗いながら突然、「そうだ!」と言い出した。


「あとでドライブでもするか?俺もたまには運転しないと、ペーパーになりそうだからな」


思いがけない誘いに、ジョンシンは目を見開く。
今までデートらしいことをしたことがなかったから、たまにはこんな休日もいいかもしれない。
食器を流しに置いて、その意見に賛同する。


「ああ。そうしよう。帰りどっかで飯でも食うか?」
「いいな、それ」
「何が食いたい?」


ヨンファは、「焼肉もいいし、ハンバーグもなぁ……」とぶつぶつ呟いている。
眉間に皺を寄せてしばし思案したあと、ジョンシンに向かって言う。


「お前と一緒なら、何でも良いよ」


ヨンファがこの上なく幸せそうにふわりと笑うと、ジョンシンはヨンファを後ろから抱き締め、こめかみにキスをした。
そして、万感の思いを込めて、「愛しているよ」と囁いた。





End





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(5)

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2016/03/13 (Sun) 17:06

haru

どうもありがとうございます♡

こんばんは。はじめまして♡haruと申します。
コメントをいただきまして、どうもありがとうございます。
お名前、存じ上げております♪
ヨンペンさんで、ブログをされていらっしゃるんですよね?
拙い話ですが、読んで下さりとても感謝しております♡♡
こちらこそ、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。


2016/03/13 (Sun) 19:09

토끼

沼?

はじめまして。昨日こちらの小説を発見し、思わず最初から最後まで全部一気に読んでしまいました☞ ☜

元々人より読書はする方で、ジャンル問わずだったのですが、CN堕ちしてからは多忙であまり「読む」という行為から遠ざかっていました。
それでもたまに時間が空けばCNで検索してBLも目を通したり…。

けれどどれを読んでもディテールが甘い。文章が拙い。キャラ設定に納得がいかない等など。
惹かれる書き手さんに出会えなかったので、そんなもんなのかとこちらも遠ざかり…。

なのにharuさんの小説は!!! 設定がリアル。ディテールに齟齬が無い。キャラ設定に不自然な所が無い。そして何より文章が上手い!!!
思わず惹き込まれましたヽ(;▽;)ノ

私はジョンシン推しなので、CP問わずジョンシンのキャラ設定に無理があるともう読めなくなるんですが、そのジョンシンが…かっこいい!! 切ない!! 愛おしいㅠㅠㅠ

もちろん実際のジョンシンのキャラとは全く別物なのでしょうけれど、するっと感情移入させられてごはん食べるのも忘れて、ドキドキしなが泣きながら読破してしまいました。
これぞ二次小説!! と感度しました!!!

長々と申し訳ありませんが、どうしてもこの感動と色っぽく切なくおもしろい小説のお礼が言いたくてコメントをしてしまいました。
ちなみにこの陽だまりが一番すきなので、新しい作品ではなく敢えてのこちらに (〃ω〃)♡

もちろん他の作品も全部すきです。続きが読みたくて仕方ありませんヽ(;▽;)ノ

年末年始のお忙しい、寒さ厳しい折ではありますがどうかご自愛の上、新しいお話を創作して下さるのを楽しみに待っています。

思わず検索したツイでなんと私をフォローして下さっている事に気付き、失礼ながら無言でフォロバさせて頂いてしまいました☞ ☜
更新情報はツイにもあげられますでしょうか?本当に楽しみにお待ちしています♡♡♡

2016/12/21 (Wed) 10:04

haru

토끼さん

こんばんは♡
改めまして、この度はこのようなブログを見つけて下さり、本当にどうもありがとうございます(〃ω〃)
私、昨日から心臓がバクバクしていて、何からお話していいやら、かなり動揺しております!

昨年の夏にCNくんの存在を知りまして、週刊アイドルのりんごゲームでジョンシンとヨンにドハマリしました。
やはりこういう内容ですので、常に罪悪感を感じつつ、でも欲望には勝てずといった理由で書いております。
CNペンの大半の方がBLは苦手でいらっしゃるだろうと思いまして、できるだけ目につかないように心掛けて、ツイもほとんど呟くことなくRTするばかりです。
一時期、更新するたびにツイでお知らせしていたこともありますが、上記の理由から今は何もしていません。
ただ、週に一度は話をアップしていますので、お手数ですが、たまに覗いていただけると嬉しいです♪

私は四人の中でジョンシンが一番好きでして、特に今の短髪黒髪がものすごく格好良くて、もうメロメロになっています♡♡
いつもハッピーウイルスを撒き散らす笑顔の素敵な優しい彼ですが、バニと絡んだ時の無遠慮な態度や、時折ヨンに対して面倒くさそうな憮然とした様子を見ていると、もう俺様で不遜なタイプで書きたくて堪らなくなり、あのような感じにしています。
性格を完全無視して、私好みにやりたい放題に書いているにもかかわらず、身に余るお言葉をたくさんいただきまして、本当にありがとうございます(≧ω≦)
なかなか自分の書くものに自信が持てないので、あまりに嬉しすぎて気を失いそうです(´;ω;`)
ジョンシンを男前に書いていけるように精進しますので、今後ともどうぞよろしくお願いします(*´ω`*)

今年も残りあと僅かで慌ただしい時期ですが、くれぐれもご自愛下さいね♡♡

2016/12/21 (Wed) 21:06

토끼

ありがとうございますヽ(;▽;)ノ

あんな荒ぶったコメントに丁寧にお返事下さりありがとうございます♡♡♡失礼ながら…返信を書いてる暇があったら続編を~!!と思うくらいハマりました←

ご本人様は「拙い妄想」と仰いますが、読み手にとってはこれらは立派な作品であり、haruさんは創作者です!!!

じょんしんが一番すきでかっこよく書きたいなんて、同ペンとしてはうれし過ぎるお言葉ヽ(;▽;)ノ不遜じょんしんの続きも期待してます♡♡♡

Twitterでの告知はされないそうですが……☞ ☜ haruさんが仰るより、BLに対してのキャパはみなさん大きそうですけれどwww

もちろん続編も新作も楽しみなので、こちらもマメに拝見させて頂ければと思っています。どうぞよろしくお願いします♡

2016/12/21 (Wed) 23:03