CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

気ままなFisherman 前編

2019年05月15日
Pretty Baby シリーズ 2


『Big Baby Returns』 続編



連日慌ただしく駆けずり回っていたカムバックが終了し、ようやく訪れた貴重なオフ日。
ジョン・ヨンファはスイッチが切れたようにリビングの黒い革張りソファの定位置に寝転がり、大好きな格闘技番組を観るなど、まったりと過ごしていた。
日頃の睡眠不足がたたってか、テレビ画面に向けていた目がとろんとしかけた時、不意にカカオトークの着信音が鳴る。


「――ん?」


肌触りのいいクッションに頬を埋めていたヨンファは「誰だよ……」とぼやきながら、サイドテーブルに置いていたスマートフォンに手を伸ばした。
途端に、ぎょっと固まる。
表示されている名前を見たのと、ささやかな休日が呆気なく終わりを告げたのだと理解したのは、ほぼ同時だった。
なぜならば、発信者があの男だからだ。
非常に嫌な予感がしつつも開いてみると、メッセージではなく、何やら写真が添付されている。


「げっ……、マジか」


認識するなり、溜息が漏れた。
そこには、キャップを頭に被って防寒ウェアを身に着けたメンバー兼恋人のイ・ジョンヒョンが鼻に思い切り皺を寄せて、『どうだ』と言わんばかりに自らが釣ったと思われるボラを前に突き出している。


「なんだ、このドヤ顔。ムカつく」


目の前に本人がいないのをいいことに毒を吐くと、まるでこちらの様子をどこかで覗き見しているかのようなタイミングで電話がかかってきた。


『もしもーし、写真見てくれた?』


のろのろと起き上がってスマートフォンを耳に押し当てた途端、馴染みのある美声が聞こえた。
一連の行動が計算し尽くされているものなのか、それとも単なる自由人だからか、いまいちよく分からないし分かりたくもないが、案の定、ジョンヒョンだ。


「……見たけど」
『五分後に着くから、よろしく』
「え……、おいっ、ちょっと……っ」


渋々返事をすれば、一方的に言いたいことだけ言って、そこで通話はぷっつりと切れた。
「またかよ……」とがっくりと項垂れたヨンファは、ぎりりと歯噛みする。
ジョンヒョンが釣りに行った日は、大抵このパターンだ。
そう――明らかに、こちらの反応を楽しんでいるような抜き打ち訪問。


多忙なヨンファにとって、誰にも邪魔されずにひとりで過ごす時間は、頭の中を空っぽにするという意味においても必要不可欠なのだ。
何げないひとときにふとインスピレーションが湧き、突然メロディが思い浮かんだりするのだが……。
そんなことを言っていると、あの男とプライベートで会うのがままならなくなるので、こういう機会は素直に喜んだ方がいいのかもしれない。


「はい、お土産。今日も大漁だったよ」


それから、きっかり五分後にやってきたジョンヒョンは、爽やかな笑みを浮かべながら開口一番にそう言った。
先ほど送られてきた写真と同じ格好をして、有難くもなんともない土産という名のクーラーボックスをぬっと差し出され、その厚かましさに多少イラッとする。


「……頼んでねーし」


精一杯の反抗で、むっつりと唇を尖らせていたヨンファと目が合うなり、ジョンヒョンは笑いを噛み殺したような表情になった。


「そうやって憎まれ口を叩く割には、『旨い、旨い』って俺よりたくさん食べるよね」


しれっと投下されるもっともな台詞に、ぐうの音も出ない。
確かに、新鮮な刺身はヨンファの大好物だ。
魚によっては、釣りたてではなく一日置いた方が美味しいという話も聞くが、あまり気にしたことはなかった。
何も言い返せないでいるヨンファをよそに、さっさと靴を脱いだ男は涼しげな顔をして、クーラーボックスと紙袋を抱えたまま大股で奥へと入っていく。


アウトドア派なのに日に焼けない体質だからか、年がら年中色白のジョンヒョンは掴みどころがないというか、どことなく飄々とした雰囲気の持ち主だ。
韓国人離れした彫りの深い甘めのマスクに美声も加わって一見優男風なのだが、幼少時代から武道で鍛えている身体は筋肉質で均整のとれたスタイルをしている。
そのため、機能性を重視した釣り人特有の服装でありながらも、妙にさまになっていて格好いいのだ。
しかし、それとこれとは話が別。
不意の訪問に対し、腹の虫が収まらないヨンファは唾を飛ばしそうな勢いで、目の前の背中に向かって声を荒げた。


「いつも、いつも、いつも!うちに来る時は、前もって連絡しろってあれほど言ってるだろうがっ」
「だから、さっきしたじゃない」


渋面のヨンファを物ともせず、フローリングの上に荷物を置いたジョンヒョンは相変わらずの鷹揚な態度であっさりと返してくる。
どういう屁理屈なんだと、ふざけた即答にくらくらと目眩がした。


「五分前に電話してきても、意味ないんだよっ。しかも、釣りなら釣りって、あらかじめ教えておけよ。いきなり魚を持ってこられても部屋は生臭くなるし、俺だって困る」
「じゃあ訊くけど、ヨンファの『前もって』っていうのはいつ?」
「一週間前」


軽く腕組みをしたジョンヒョンはケホッと噎せてから、「あのねぇ……」と溜息混じりに口を開く。


「仕事のアポじゃあるまいし。急に誘われることもあるから、そんなの無理だって」


呆れ声を出すジョンヒョンに、一週間前はちょっと言い過ぎだったかな……とちらりと思ったが、すぐさま気を取り直した。
それなら、せめて当日早々にでも連絡すべきなのだ。
五分前になって行動を起こすのはヨンファが慌てふためくのを楽しんでいるからであって、意図的なのは明白だった。


「俺はな、普段忙しいからオフの日はゆっくり、まったり、だらりと過ごしたいわけ。人に会って気を使いたくないし、突然ドタバタするのが苦手なのは、お前だってよく分かってるだろ。嫌がらせかよ」
「恋人の俺には気を使わないでしょ」
「だからってなぁ……」
「ヨンファでも知らないようなところまで、ぜーんぶ暴いてる仲なのに?」


無遠慮な目つきでルームウェア姿のヨンファを上から下までじと~っと舐めるように見つめられて、ベッドの中で後ろから奥深く呑み込んだジョンヒョンをきつく締めつけながら、嬌声を上げている自分のあられもない痴態がフラッシュバックする。


「夜でもないのに、下ネタはやめろっ」


頭を大きく振って忌まわしい場面を追い出すと、「あ、夜ならいいんだ?」と、転んでもただでは起きない男はしっかり揚げ足まで取る始末だ。


「しかも、用事がある時はいきなり俺を呼び出すくせに。今すぐ来いとか」
「……………」


はて?言われてみればそれもそうだなと思ったので、無言のまま明後日の方を向いておく。
すると、ジョンヒョンは聞えよがしの溜息をついた。


「都合が悪くなると、すぐだんまりになるんだから」


まったく気にした素振りのない男はひょいと軽く肩を竦めてみせ、「それより、今日の収穫を見てよ」と、ヨンファの手首を掴んでクーラーボックスの傍らに屈み込まされる。
ジョンヒョンが蓋を開ければ、中には五十センチ前後のボラが二匹、氷と一緒に収まっていた。
すでに血抜きとはらわた取りは済ませてあり、ご臨終なのは間違いないのだが、じっと見つめられているような気がするのだ。


「……魚の目が怖すぎる」
「また、そんなことを言って。虫も全般的に苦手だし、本当に怖がりだよね」


あっけらかんと笑うジョンヒョンに、「悪かったな」と横目でぎろりと睨みつけてやる。


「刺身と鍋にしようと思って、食材も買ってきたよ。あと、ヨンファの好きな生マッコリも」
「なに、マッコリもあるのか。気が利くじゃないか」


急にころりと機嫌が直ったヨンファを見てふっと唇の端を上げたジョンヒョンは、「食べるまで冷やしておこう」と言いながら、紙袋から取り出した生マッコリをいそいそと冷蔵庫へ入れ始めた。


「鍋は俺が担当するから、ヨンファはボラを捌いてくれる?」
「お、おう」


何もかも見透かされ、手のひらで転がされている気がしないでもないが、美味しいものを食べるためには致し方ない。
釣ってくるのはこの男で、捌くのはヨンファという役割がいつしか定着しているのだ。
一瞬、亭主が持ち帰った魚を、家で待っていた嫁がぶつぶつ文句を言いつつ三枚におろす絵面が頭をよぎったものの、すぐさま打ち消した。
不本意ながらそのお陰もあって、まったく魚に触れることすらできなかった自分が、今では主婦のような腕前になっている。
しかも、キッチンには調理器具だけでなく、鱗取りや刺し身包丁などの道具も一式揃っているほどだ。


「うっ……、きっつー。マジで嫌だ……」


ボラをシンクへ移動させたヨンファは生臭さにオエッとなりそうになるのをこらえて、必須アイテムを取りにその場を離れる。
初めての時は勝手が分からなくて、ジョンヒョンに教えてもらいながら素手で捌いてみたのだが、スキンケアに余念がない自慢の手が魚臭くなってしまい、その後ハンドソープで入念に洗ってもなかなか匂いが消えなくて大変だったのだ。
正直、自ら進んでやりたいわけではない。食べるために、だ。
両手にゴム手袋を嵌め、黒マスクを着用した完全防備姿になったヨンファは早速作業を開始した。
ボラの鱗は固くて大きいため、専用の器具を使い、周囲に飛び散らないように用心しつつ取っていく。


「いくらなんでも、その格好は大袈裟すぎるよ。下処理をしてるから、匂いはそんなに気にならないと思うけど」


防寒着を脱いたジョンヒョンが、フーディーの袖口を肘まで捲り上げながら覗き込んできた。


「なら、お前がやれよ」
「だって、魚を捌くのは嫁の仕事でしょ。俺、釣る専門だから」


捌くことに関して今さら異論はないものの、『嫁の仕事』ときっちり線引きする態度はいただけない。
いつにもましてニヤニヤと相好を崩すのも妙に癇に障り、ヨンファは眉根を寄せた。


「何が専門だ。お前だって、ちゃんと捌けるじゃないか」
「そうだけど、やってもらった方が嬉しいからさ」
「けっ」
「まあ、そうピリピリしない。今日のヨンファ、なんか変だよ。すごく気が立ってるけど、もしかして生理?」


横から伸びてきた手に腰を抱き寄せられ、「ん?」とわずかに首を傾げる仕草に思いっきりイラッとして、ジョンヒョンの脇腹に容赦なく肘鉄を食らわせたのは言うまでもなかった。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(2)

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2019/05/18 (Sat) 21:33
haru

haru

ふ*******さん

こんばんは♡

極道の話が続いたので、気分を変えるために、この画像がアップされた頃にざっくりと大まかに書いていたものを今回形にしてみました。
私にとって、釜山ズはほぼ夫婦のようなイメージでして(笑)
浴衣の二人も、ものすごく楽しみながら書いた記憶があります。
読んで下さって、どうもありがとうございます♪

あと、長い間手つかずだったヴァンパイアの話を何とかしようかなと。
釜山ズが続きますが、いろいろとやってみますねv(。・ω・。)

2019/05/18 (Sat) 23:59