CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

Manito 16

2018年09月26日
Manito 4






身体の相性がいいというだけで今は珍しい玩具を見つけたような感覚なのだろうが、気まぐれはそう長くは続かない。
ジョンシンとの新たな関係は一過性のものに過ぎず、どのみち飽きれば他に興味の対象が移るに違いない。
だから、そのうち目が覚めるだろうと、ヨンファは高を括っていた。


ジョンシンと肌を合わせた日を境に、罪悪感に苛まれながら身体込みの付き合いが始まったものの、いきなり予想を裏切られることとなる。
心が通い合っているというわけではないので、非常に割り切った、ある意味、殺伐とした雰囲気になると思っていたのに、これまでの関わりに時折セックスする機会が加わっただけで、拍子抜けするほどあまり変化がなかったのだ。
プライベートと仕事をきっちり分ける男だったため、表情や態度に出ることもなかったし、頻度も常識の範囲内だった。


むしろ、仕事で会う時はヨンファの方が意識しないように徹底するのに苦労したものだ。
身体を繋げた当日や翌日だと、どういう顔をしていいか分からなくて、咄嗟に目を逸らせてしまったこともある。
だが、ジョンシンはどんな時も自然体で、気にしている素振りはまったく見られなかった。
当然ながら、こちらの複雑な心境に気づくはずもなく、ヨンファは何事もなかったかのように平常心を保って、目の前の仕事に集中するしかなかった。


手を伸ばせば届く距離なのに、手に入らない。
焦がれているのは自分だけで、相手にとっては遊びの範疇。
相反するふたつの感情が決して混じり合うことはない虚しい関係だと知りつつも、ジョンシンとプライベートで共有できる時間はヨンファにとってこれまで以上にかけがえのないものになった。
ひとり暮らしを始めて以降、自宅は唯一素に戻れて、誰にも遠慮することなく自由を満喫できる空間である反面、すべてをひとりでこなさなければならないのが難点だったのだ。


ヨンファも多少は自炊するようになったが、仕事で余裕がない時は外食等で済まし、寝に帰るだけの日々が続くこともある。
また、数少ないオフの日は自宅に籠もって、友人たちと会うよりもひとりで過ごすことの方が多かった。
そんな侘しい独身男の生活が、目に見えるほど一変したのだ。
共同生活時代、ジョンシンは手料理を作るなどいろいろと世話を焼いてくれたが、その時の風景が再現されたみたいな日常となった。
違っている点といえば、そこに触れられるという行為が増えたことくらいだろうか。


仮に仕事帰りでも、短時間でさくさく作っていく手際のよさには舌を巻くばかりだ。
いつの間に腕を上げたのか、以前にも増して手慣れた様子で、もたつきながらキッチンを右往左往するヨンファよりも余程素早く完成させた。
見るからに食欲をそそられる料理が並べられたテーブルを挟んで向かい合わせに座り、ひと口食べてみてあまりの美味しさに自然と頬がほころぶ。


「口に合う?」
「ああ、どれも俺好みの味付けで、すごく旨いよ」


文句なしの出来栄えにヨンファが素直に感想を述べると、「よかったぁ」とジョンシンは満足そうに目尻を下げて、人懐こい笑みを浮かべた。
子どもがはしゃぐみたいに無邪気な顔を見せられ、たったそれだけのことで心底愛おしいと思ってしまう。
ガタイがいいだけあって驚くほど食欲旺盛で、気持ちいいくらいの豪快な食べっぷりを眺めながら、呆気に取られていたヨンファも慌てて箸を動かした。
よく太らないな……、と感心するくらいの量をペロリと平らげていくさまは、まさに圧巻だ。


「そんなにお腹が空いていたのか?」
「昼もがっつり食ったけど、なにせ育ち盛りだからさ。数時間後にはもうペコペコ」


成長期をとうに過ぎた年齢なのに、あまりにも言い得て妙でヨンファは声を立てて笑ってしまった。
まるで共同生活を送っていた頃に戻ったような錯覚に陥り、懐かしさに思わず目を細める。
ジョンシンがそばにいてくれるだけで空気が和らぎ、仕事の疲れが一瞬で吹き飛ぶのと同時に心からリラックスできた。


何度か抱き合えば自然消滅するだろうと踏んでいたのだが、一向にその気配はない。
恋人同士というわけでもないのに、抱き締められてキスをされたり、身体のそこかしこに触れられるのは何とも不思議な感覚だった。
日を追うごとにジョンシンが持ち込んだ私物が増えていき、この歪な関係が続くことを嬉しいと思う一方で、罪悪感は積み重なっていくばかりだ。
同じベッドで寝て、温かい胸の中で眠りに落ち、長い腕に抱き込まれたまま目を覚ましたこともある。
だからといって、何かを勘違いしたり期待することはなかったものの、知らぬ間にヨンファの生活の中に完全に溶け込んでしまった男の存在は、もはや計り知れないくらい大きくなっていた。


親密な時間を共有するのが長ければ長くなるほど、恋人ごっこをやめなければならない時にかなりのダメージを受けるのは必至だ。
そのため、心地いい温もりを手放したくないと思う傍ら、いつ終わりを迎えてもいいように常にこのことは念頭に置いている。
だが、待てど暮らせどジョンシンの方から何も言ってこないし、誰かと交際している素振りもない。
これ以上深入りする前に再度確認しておこうと、ある日、ヨンファからさりげなく尋ねてみた。


「なあ、新たな出会いとかあったか?」
「――出会い?」
「誰か、気になる子でも見つかったかなと思って……」


食後のコーヒーをドリップしている間、リビングのソファに横並びで座り、ジョンシンと当たり障りのない会話をしていた時だ。
それまで笑顔だったのに、ヨンファがこの話題を出した途端、急に声のトーンが変わる。


「……また、その話?」


どうやら気に入らなかったらしく、隣で長い脚を組んでリラックスしていたジョンシンが眉根を寄せて、むっつりと口を噤んだ。
ふたりの関係が始まって間もない頃に、探りを入れるつもりでそれとなく訊いたことがあったのだ。
その時は、こんなふうに不機嫌にはならず、『残念ながら、いないよ』と苦笑混じりの声が返ってきた。


「言っとくけど、女の子なら誰でもいいってわけじゃない」
「そりゃあ、確かに好みもあると思うけど、いい子がいれば紹介してもらうとかさ」
「それ、本気で言ってる?ヒョンは、俺がここに来たら迷惑なのか?」


会えること自体は嬉しいので、迷惑なはずはない。
ただ、このまま続けていくとなると、どうしても罪の意識に苛まれてしまうのだ。


「そういうことじゃなくてな……」


それをはっきりと口にしていいものか憚られて、ヨンファは曖昧に言葉を濁した。
真意が読めないままのジョンシンは何やら物言いたげな顔になったが、お互いが核心に触れるのを避けるように会話が途切れ途切れになる。


「別に、今のところはいないよ」
「……そうか」


年上のこちらから離れなくてはいけないと思いながらも、好意を寄せる対象がいないという事実を知り、どことなく安堵している自分がいた。
つくづく矛盾しているな……、と心の中で深々と溜息をつく。


「そう言うヒョンこそ、好きな相手ができたんじゃないの?ショートカットのスタイリストと、いっつも親しそうにしゃべってるけど」


どこか問い詰めるような尖った響きに加えて、あまり向けられたことのない能面のような表情に、ヨンファは即反論した。


「彼女はそんなんじゃない。俺の実家の近くに住んでたことがあるって聞いたから、地元の話をしていただけだ」
「ふーん。だったら、このままでいいじゃない。焦って探さなくても、俺にはヒョンがいるし」


その台詞を額面通りに受け取るほど、自分は馬鹿ではない。
逆から言えば、都合のいい抱き人形――ということなのだろう。
言葉の裏を読みすぎるのは考えものかもしれないが、概ね当たっているとヨンファは思った。
同時に、胸の奥がギシギシと軋むように痛み始める。


ジョンシンと目線を合わせていられず、居たたまれなさに俯いたところで、ちょうどコーヒーメーカーのアラーム音がした。
息苦しい気持ちで顔を逸らしたまま立ち上がり、逃げるようにキッチンへ向かう。
こんな不毛な関係なんか早く終わらせた方がジョンシンのためだと思い、親切心からそう言っただけなのに、ヨンファの胸中は複雑だった。
抽出が完了したばかりのコーヒーをマグカップに注いでいると、いきなり後ろから長い腕に抱き竦められて慌てふためく。


「こらっ……、こぼれるから、やめろよ……」
「ねぇ、身体、つらい?」


耳許で低く囁かれ、思わずヨンファは身を硬くした。
気遣わしげではあるが、妙に熱っぽい両腕と声のトーンで、何を求めているのかが分かる。
昨夜も、この男に抱かれたばかりなのだ。
突然の誘いに言葉を失ってしまい、そのまま固まったように動けなくなった。
また、繰り返すつもりなのか。応えたら駄目だと必死で自らを戒めていると、ヨンファを閉じ込めた両腕にぐっと力が籠もる。
さらに、うなじから首筋に沿って口づけられ、コーヒーどころではなくなった。


「あ、……っ、駄目……だ、って……」
「欲しくなった。いい?」
「……………」


一応その都度、ヨンファの意思を確認してくれるので、これまで求められて断ったことは一度もない。
だからといって、まったく躊躇しなかったわけではないし、今もせっかくの決心が揺らいでしまい、正直迷っている有様だ。
何も答えずにじっとしていると、了承したものと受け取られてしまったのか、驚くほど強い力でぐいと腕を掴まれて、キッチンから連れ出される。
引っ張っていかれた先は、つい今しがたまで座っていたソファだった。
ベッドに行く時間すら惜しんだジョンシンと、何度かここで抱き合ったことがある。
精力的でタフな男は場所にはあまりこだわらずに、どこででも散々ヨンファを啼かすのだ。


倒れ込むように組み敷かれながら、わずかでもジョンシンの胸の内が分かればと、こちらに注がれる熱を帯びた眼差しを下から覗き込んでみた。
ヨンファのよく覚えている高校生の頃とは違い、格段に大人びて男らしくなった風貌からは何も読み取ることができず、結局分からないまますぐに唇を塞がれる。


「……ンッ、……っ……ぁ」


こうなってしまうと、もうお手上げとしか言いようがない。
巧みなキスに翻弄され、ヨンファは何かに引き寄せられるように両腕を伸ばしてジョンシンの首を掻き抱いた。
いかなる理由でも、欲してくれるのがどうしようもなく嬉しいと思う気持ちを諌めながら、深く合わさってくる唇に逆らうことなく、その動きを追いかける。
実際の恋人同士のような甘い雰囲気とは異なるものの、お互いに求め合っているのは紛れもない事実なのだ。
瞬く間に嵐のような激しさに呑み込まれたヨンファは、我を失ったようにジョンシンの愛撫にただ溺れていくしかなかった。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(4)

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2018/09/26 (Wed) 21:25
haru

haru

は*さん

こんにちは♡

いろいろ感じてもらって嬉しいです♪
この時点でジョンシンはヨンへの想いを自覚し始めているはずですが、分からないだけにあれこれ葛藤してしまうんでしょうね。
本物のヨンファはここまで悩まないと思いつつも、勝手に私好みにしてます( ̄ω ̄;)
次回をアップしたら、極道の寸止めの続きでも書こうかな。

涼しくなると、夏の疲れが出るっていいますよね。
は*さん、体調はいかがですか?
私はDからもらった風邪が手強すぎて、昨日あたりから復活し始めました。
気温の差が激しいので、お互い気をつけましょうね(。・ω・。)ノ

2018/09/27 (Thu) 12:34

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2018/09/30 (Sun) 10:59
haru

haru

i*****さん

こんばんは♡

この話ではこんなヨンなんです~。
こういう胸が引き絞られるような切ない系に目がないんで、喜んでもらえれば私としては嬉しいな。
「最近してなかったから」は、あまりにも捻りのないオチだったから、書くのが恥ずかしかったです…。
恐らく、大半の方に読まれていたのではないかな( ̄ω ̄;)

i*****さん、やっぱり気が合いますね。私もヨンはK-POP界の最強受けだと思ってます♡♡
それで、こんなのを書き始めたんですよね。
私も無意識に煽るヨンが大好物(〃ω〃)
ジョンシンは正直、極道くらい強引なのが好みなんですが、この話ではやや抑え気味にしてて。
そしたら、フラストレーションが溜まってしまい、衝動的にあんなシーンを書いてみました。ちょっとスッキリしたかな。
釜山ズとシンヨンでは、カラーが違いますよね。
i*****さんにシンヨン好きになってもらって、すごく嬉しいです。
釜山ズは不動の一番人気なので、その次にシンヨンがくるように今後も布教活動を続けていきます(笑)

今年は台風の当たり年ですけど、そちらは大丈夫でしたか?
今日は家族水入らずで過ごされたんですね。
私も自宅にこもっていたかったんですが、急な用事でDと一緒に実家に帰ってきました。
悪天候で交通量が少なかったからか、高速に乗らずに一時間以内に辿り着いたという…。ビックリ仰天でした。
また、お忙しい日々を送られているんですね。お疲れ様です♪
萌え禿げてもらえるように、私もしっかり絞り出してみます。
急に寒くなってきたので、お互い身体を労わりましょうね(。・ω・。)ノ

2018/09/30 (Sun) 21:15