CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

Manito 15

2018年09月18日
Manito 0






その日は、ことごとく目論見が外れる運命だったのだろうか。
ほぼ同時に達して、視界に入った白い天井を物憂げにぼんやりと見つめながら、ジョンシンの重みを全身で受け止めていた時だ。
心地よい温もりをそろそろ手放さないといけないと思い始めていたヨンファは、乱れていた呼吸が整う間もなく、いきなり唇を封じられて愕然とした。
抗議の声を発したものの、落ちてきたキスに呑み込まれているため、まともな言葉にはならない。
途方に暮れていたら、唐突に解放されるのと同時に低く掠れた声で二度目を求められて、大きく目を見開いたまま固まった。


「ねぇ……」


真っ白になった頭の中に、催促の声が届く。
じっと覗き込んできたジョンシンは、余裕ありげな大人びた表情をしていた。
ヨンファからするとまだまだ子供だと思っていたが、それは単なる思い違いだったらしい。
伸びてきた手にやんわりと脇腹の辺りを撫でられると、途端に腰の奥がぞくりと蠢くのが分かる。
どうしようかと考えるより先に頷き、上になっていたジョンシンの顔を両手で引き寄せて、応じるようにキスを仕掛けたのはヨンファの方だった。


なぜ、こんなふうに平然としていられるのだろうか。
思った以上に慣れているな……、とやるせない気持ちに捉われたヨンファは、ラグの上に仰向けになっている男からそれとなく視線を外した。
自分でも呆れるほどの躊躇のなさで高まっている下肢に触れ、煽るように指先で形をなぞり上げてから、屹立したものを狭い入り口にあてがう。
かなり無理をしている自覚はあったが、今度こそこれで最後なのだと思って、ヨンファがジョンシンの上に跨るという恥ずかしい体勢で求めに応じたのだ。
鈍い痛みが走ったものの、ゆっくりと腰を落としながら少しずつジョンシンがめり込んでくるのを意識していると、いつの間にかすべてを受け入れていた。


「ンッ、……あ、あっ……」


短時間のうちに身体が馴染んでしまったのか、先ほどよりも深い悦楽に包まれて声を抑えることができない。
さらに、何かに取り憑かれたように腰が勝手に動きだし、吐息を弾ませながらゆらゆらと上下に揺れるのを止めるすべはなかった。
緩やかな波の下で、ヨンファの行動を目で追っていたジョンシンは、眉間に皺を寄せて息を詰めている。
不思議な気持ちで見下ろしていると、伸びてきた両手に尖っていた乳首を左右同時に摘ままれて、捏ねるように弄られた。
断続的に濡れた喘ぎが口をついて出た途端、ひどく優しい手つきに腰を支えられてホッとしたのも束の間、狙ったように下から深々と突き上げられる。


「んぁ……っ、……や、だ……待っ――」


突然の衝撃に、目が眩みそうになった。
十分な角度と硬度に慄きながら、自分のものとは思えない切れ切れの嬌声が奔放にこぼれてしまう。
細い顎を反らし、ジョンシンの上で我を忘れて淫らに踊らされるうちに、限界が間近まで迫っていた。
それを察したらしく、急に絶え間なく責め立てられ、視界が白く霞んで大きな愉悦の波に呑まれる。
身体が浮き上がったような感覚に囚われたヨンファは耐えきれずに声を上げて逐情し、しなやかな背中を細かく震わせているところに、熱い飛沫が自分の中で迸るのを感じたのだ。


まるで潮が引くように強烈な快感の余韻が消え去ると、あとに残ったのは何とも言えない気まずさだった。
生活臭のないリビングで即物的かつ背徳的な行為に至ったのだから、当然の如く辺り一面にはよそよそしい空気が漂っている。
重苦しい沈黙にたまりかねたようにジョンシンがおもむろに立ち上がり、全裸のままふらっとヨンファの前から消えた。
きっと、嫌悪感と後悔が一度に襲ってきて、相当決まりが悪いに違いない。
衝動的な欲望が霧散すれば、誰だって冷静さを取り戻すだろう。
ヨンファが予想していた通りとはいえ、こんなにも呆気なく終わってしまい、ズキンと胸が痛くなった。


今すぐここから逃げ出したい気持ちになったが、他に行くあてなどない。
だったら、これ以上惨めな思いをしないためにも、一刻も早く服を身に着けて情交の跡を隠さなければならなかった。
だが、節々に軋むような違和感と、下半身に引き攣れたような鈍痛が残っている状態では、身体が言うことをきくはずがない。
浅い呼吸を整えながら上気した頬を毛足の長いラグに埋めていると、腰にバスタオルを巻いたジョンシンが濡れタオルらしきものを手に戻ってきた。


「勝手に借りたよ」


低い声音とともにそっと差し出されて、放心したように横たわっていたヨンファは力の抜け切った気怠い身体を叱咤し、ゆっくりと上体を起こす。
肌のそこかしこにはジョンシンの手や唇の感触が残っているし、腰の奥を穿った熱はいまだに燻ぶり続けているのだ。
身の置き所のなさに、目の前の男と視線を合わさずに「サンキュ」と礼を言って受け取り、できるだけ明るい口調で先にシャワーを勧めてから、痕跡を拭き取るべくのろのろと重い腕を動かしていく。
ジョンシンが少しでも後ろめたい気分にならないように、ヨンファなりに精一杯気を使ったつもりだった。


ひんやりとしたタオルが火照った肌に心地いい反面、抱き合った事実すら一緒にリセットされるようで、どことなく寂しいような感傷的な気持ちになる。
しかし、いくら後ろ髪を引かれる思いであっても、引き際は潔く――と決めていたのだ。
馬鹿げた行為はこれで懲りただろうと微かな落胆を覚えながらも、目を伏せたまま黙々と機械的な動作を繰り返していた時だった。


「これっきりじゃないよね?」


思いも寄らない言葉に、え……、と耳を疑う。
半ば呆然と顔を上げると、こちらを見ていたらしいジョンシンと真っ向から目が合った。
初めて同性と寝た直後に、こんなふうに戸惑いもなく明け透けに口に出してしまえるものだろうか。
心臓を素手で掴まれたような衝撃が走ったが、あまり悪びれていない様子を前にして、危機感がないのかと驚きを隠せなかった。
先ほどの行為は、もののはずみだったはずだ。
欲望を吐き出したから、もう終わったものだと思っていた。
それなのに、どうしてこんなことを言いだすのかが分からない。
予想外の展開に困惑してしまい、しばらく言葉が出なかったものの、沈黙の重さに気圧されて口を開いた。


「――なんで?」


小さく息を吐いて、平静を装ったヨンファがようやく発したのは、そんな間の抜けた問いだった。
それほどまでに、頭の中が混乱していたのだ。
喉の奥に張りついたような掠れ声で力なく理由を尋ねると、追い打ちをかけるような台詞が返ってきた。


「すごく……よかったから」


まるで何でもないことのようにあまりにもさらりと告げられて、頭から冷や水を浴びせられた気分だった。
たちの悪いジョークでないことは理解しているし、そもそも駆け引きのできる男ではない。
その毒気のなさに戸惑いつつも、端正な貌や低音の声がいつもと同じだけに、言葉の中の淡々とした響きが余計にショックだったのだ。
ひとつに溶け合うようにあんなに触れ合ったのに、ふたりの心情にはあまりにも温度差がありすぎて、その事実が刃となってヨンファの胸に突き刺さる。
自業自得だと分かっているが、決してこんな結末を望んでいたわけではなかった。
手軽に性欲処理できる相手という位置づけに成り下がってしまったのなら、その手の店の女の子と何ら変わらない。
身近にいる分、ジョンシンにとってはより好都合だろう。
考えれば考えるだけ、ひどく惨めな気持ちになった。


誘惑に勝てなかった結果の交歓と引き替えに、失ったものの大きさは計り知れない。
息苦しいほどに恋い焦がれている相手からぶつけられるにしては、無情にも残酷な一言だった。
まるで鋭利な抜き身のナイフのようで、ヨンファの胸を深く抉るには十分すぎる。
欲望に負けて過ちを犯してしまったという罪の重さがずっしりとヨンファの肩に圧し掛かってくるのと同時に、やはりこれは罰だと思った。
同性と遊び慣れている振りをしてまで己の歪んだ欲求を満たしたばかりに、とんでもない形で自分に跳ね返ってきたのだ。
こんなことになるくらいなら応じるんじゃなかった……、とヨンファは心底自分が愚かだったことに気づき、自己嫌悪に陥った。


ジョンシンが悪いわけじゃない。
まだ若いし、裏を返せば、自分の欲望に素直で忠実だということだ。
それに、悪気がないのもちゃんと分かっている。
嘘をつくという選択肢がない、正直すぎるその純朴さが、どうしようもなくヨンファを打ちのめすのだ。
自分の馬鹿馬鹿しさに対して思わず失笑が浮かんでしまうと、言いようのない虚しさまで加わって、もはや我慢できないくらいに笑いが込み上げてきた。
ぎこちなさしかなかったリビングにヨンファの笑い声だけが響き渡る光景は、さぞかし異様だっただろう。
こんな自分が滑稽でみっともなくて、ジョンシンに咎められるまで一向に笑いが止まらなかった。


「……そんなに笑うこと、ないと思うけど」


自虐的な苦い笑いをおさめて顔を上げると、微妙な表情のジョンシンと視線がぶつかった。
どうやらこちらの態度が気に入らなかったらしく、あからさまに眉を顰めている。
自分の感情とは決して噛み合わないことに一抹の寂しさを感じながらも、その時のヨンファの心は大いに傷ついていたのだ。
ひとりで空回りして、一体何をやっているんだろうか。
それを誤魔化すために、なけなしのプライドを総動員して演技をしてみれば、このざまというわけだ。
流れに逆らっても仕方がないと、年齢相応の健全な生理的欲求なのだと納得のいく理由を見つけて、ヨンファは自分の想いを断ち切るように思考を切り替えた。


同じバンドクループのメンバー同士なので、躊躇しなかったといえば嘘になる。
あまりにも身近すぎる相手だからこそ危険性も大きいし、一瞬、ジョンヒョンとミニョクの顔が頭に思い浮かんだ。
ふたりには、顔向けできないことになる可能性だってある。
問題が生じれば連帯責任は免れないと重々承知しているのに、結局は惚れた弱味で、ジョンシンを突っぱねることができなかった。
顔つきは穏やかなものに戻っていたが、断ることを許さないような、どこか有無を言わせぬ強い視線に引っ込みがつかなくなったともいえる。


苦い感情はヨンファの心に影を落とし、泣きたいような気持ちをぐっとこらえながら、「好きな相手ができるまで」という条件付きで道化じみた行為を継続することを了承したのだ。
その際、敢えて線引きするために、自嘲混じりに「セフレ」という言葉まで用いて。
本当はそんな言い方はしたくなかったのに、半ば自暴自棄になっていたのだろう。
絶対に本心を見せたくないという、ヨンファなりの精一杯の自己保身だったのかもしれない。


どうせ、元には戻れないのだ。
何も知らなかった頃の、兄弟のような関係には……。
一時の気の迷いには違いないのだから、ジョンシンの気が済めばすぐに終わる。
腹を括ったヨンファはその日から、仕事に支障をきたさない程度に恋人ごっこの相手をつとめることにした。
狂おしいまでのジョンシンへの想いを押し隠したまま――。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

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