CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

Manito 13

2018年09月06日
Manito 8






誰にも気づかれてはいけない想いをひとりで抱えていたヨンファは、共同生活を解消したことによって、安堵を覚えるのと同時に多少の寂しさも感じていた。
物理的な距離が生じることで、ジョンシンに対する気持ちも若干薄れるのではないかと期待していたが、今のところあまり変化は見られない。
なぜならば、ひとり暮らしを始めてからも、ジョンシンとは互いのマンションを行き来する仲だったからだ。


その日も、雑誌の取材と撮影の仕事が終わったあとに、「今日、行ってもいい?」と高い位置から見下ろしながら尋ねてきた。
タイミングのいいことに翌日はちょうどオフだし、断る理由もないので、ふたつ返事で了承する。
ジョンシンにとってはただの暇潰しかもしれないが、ヨンファにしてみれば自分の本音を押し隠さなくてはいけないため、忍耐を試される時間でもある。
さすがに慣れたとはいえ、ふたりきりの場になると、どことなく修行僧になったような気分になるのだ。


どちらかというと、ヨンファの自宅にジョンシンが訪ねてくる方が多いだろう。
いつもと同じようにリビングで、ふたりは横並びのままラグの上に脚を伸ばして座り込み、ソファを背凭れにした体勢で寛ぐ。
ビールを飲みながら他愛のない雑談に興じ、ひどく気分がよかったところに、ドキリとする質問を投げかけられた。


「ヨンファヒョンは、付き合ってる相手っているの?」


敢えて隠す必要もなかったので、「今はいない」と正直に答える。
実際、芸能界に身を投じていると、いろんな業界人と知り合いになる機会は多く、ヨンファがその気になりさえすれば、相手に不自由することのない環境ではあった。
だが、仕事が多忙で、最近はいっそひとりでいた方が却って気楽でいいと開き直っている。
これまで何人か彼女はいたものの、そのうちタイミングが合わなくなってすれ違いが生じ、どれもいつの間にか終わっていたパターンだ。
互いに嫌な思い出や気まずさがないだけに、ばったり仕事場等で再会しても、挨拶くらいは交わすようにしている。
見た目は華やかで可愛い子ばかりだったが、心が伴っていないとやはり長続きしないらしい。
その原因となっている男を前にして、何とも言えない気分になった。
急に間が持てなくなってしまい、ヨンファは追加のビールを冷蔵庫まで取りにいく。


驚いたことに、問いかけてきたジョンシンには特定の彼女はいないようだ。
本人がそう言っているのだから、間違いないだろう。
メンバーのひとりが不祥事を起こすと、グループ自体のイメージが悪くなり全員が連帯責任を負うことになるため、案外、スキャンダルを恐れて慎重になっているのかもしれない。
どこか強がっているみたいに思えて、もっと肩の力を抜いて気軽に考えてもいいのにと、ヨンファは元気づけるようにアドバイスした。
羽目を外しすぎるのは考え物だが、まだ若いのだから、もう少し自分を解放して恋愛を謳歌したらいい。
結婚に関してはすぐに無理でも、ジョンシンにはいい相手と巡り会って、ずっと幸せでいてほしいと願っている。


それが伝わったのかどうか分からないが、「リーダー、優しいー」とおどけた口調で言いながら、デカい図体が隣から思いっきり寄りかかってきた。
途端に、焦がれてやまない相手とふたりきりだということをいつになく意識してしまい、急に落ち着かなくなる。
ヨンファの気持ちを知らないとはいえ、無邪気に慕ってこられるのはある意味、残酷だ。
何とか気を逸らそうと注意しても、すっかりリラックスモードのジョンシンはどこ吹く風で、いたく機嫌がいい。
わざと毒を吐けば、仕返しだと言わんばかりにくすぐられて、次第に甘えモード全開で絡んできた。
逃げようとした途端、今度は手首を掴まれたまま攻撃を仕掛けられ、ヨンファはたまらずラグの上に倒れ込む。


体格がいいだけあって、捕らえられた手首に込められた力は思いのほか強く、容易に振りほどけなかった。
それが、わずかにヨンファを怯ませる。
突き飛ばしてでも、逃れるべきだろうか。
鼓動はますます速くなる一方で、今にも心臓が飛び出しそうだった。


「手首、マジ痛いって。早く放せ」


これ以上の接触はまずいと思い、うんざりしたように見せかけて降参すると、呆気なく解放される。
ところが、ホッと胸を撫で下ろした瞬間、ふざけるように上から圧し掛かってきた大柄な体躯の重みに、心臓が大きく跳ね上がった。
反射的に文句を言ったにもかかわらず、聞く耳を持たないだけでなく、折り重なってじっとしている。
密着する肌の温もりに気後れしてしまい、思うように力が入らない腕でジョンシンを押し返してみたが、体重をかけられているせいで身じろぎひとつできなかった。
規格外の男に敵うはずもないと早々に諦め、ヨンファはおとなしくされるがままになる。


この状態でまたくすぐられたら全力で抵抗しようと身構えたところで、予想に反してピタリと静かになった。
ヨンファの胸許にやや横向きで頬と顎を埋め、甘えたがりの大きな子供にしがみつかれているような気分だ。
ジョンシンは見かけによらず、意外と人見知りで用心深い一面がある。
あまり表には出さないものの、周囲にとても気を使っているのが分かるので、その反動で疲れが出ることも多いのではないかと容易に想像がついた。
いつもではないが、たまにこんなふうに気弱になって凭れかかってくれば、内心の動揺を押し隠しながら好きなだけ甘えさせるようにしている。


この時もそっと手を伸ばして、よしよしといった感じでゆっくりと頭を撫でてやった。
不自然でぎこちない空気になるのを防ぐために、意図的にジョンシンの母親愛の話題を持ち出して、砕けた調子を前面に出しながら――。
意識を他に逸らしたいと思えば思うほど、ヨンファはいつにもまして饒舌になった。
何かしゃべっていないと、辛うじて均衡を保っているふたりの距離感が変わりそうな気がするからだ。
兄が弟を構っているふうな仕草で、余計な感情が混じらないように細心の注意を払って、ジョンシンの広い背中にも触れた。
以前よりもがっしりとしてきた身体つきは、骨格ごと着実に大人へと変貌を遂げ、華奢だった高校生の頃の面影は微塵もない。


少しでも慰めになればと思いながらポンポンと軽く叩いてから撫でさすっていると、ヨンファに覆い被さっているジョンシンは急に黙り込んだ。
まるでここだけ、時間が止まってしまったかのような静寂が落ちる。
その時、ジョンシンの微かな息遣いがヨンファの薄いシャツ越しに伝わってきた。
しかも、触れ合っている箇所からこれまで感じたことのない熱が生まれるような錯覚を起こしてしまい、非常にまずい状況だと頭の中で警鐘が鳴り響く。
目には見えない何かに引きずり込まれ、取り返しのつかない事態になりそうだと急に怖くなり、たまりかねたヨンファはジョンシンの下から抜け出そうと身を捩った。


「あ、ごめん……」


息苦しく感じていると思われたのか、突然すっと重みが消えた。
上半身を起こしながら謝られて、至近からジョンシンがこちらを覗き込んでくる。
整った顔立ちに目をやると、ヨンファの胸許辺りにじっと視線を注がれているのに気づいた。
やけに強い眼差しに狼狽えてしまい、どうしたんだろう……、とヨンファは何度か瞬く。
突如、ふたりの間の空気がどこか張り詰めたものに変わった気がして、思わず息を呑んだ。
呼吸をするのも躊躇われるような距離で、奇妙な沈黙に困惑しながら見上げる。
無言で見下ろしてくるジョンシンはどこか苦しげで、その表情は今まで見たことのないほど表現しづらいものだった。
ヨンファは息を凝らしたまま、金縛りにあったように動けなくなる。
少しでも動いたら、得体の知れない何かに呑み込まれそうな気がしたのだ。


「……どうかしたのか?」


何か言わずにはいられなくて言葉をかけてみたが、食い入るような眼差しはいつの間にか熱の籠ったものに変わっている。
一気に鼓動が早まるのと同時に、まさか……、と言葉を失ってしまった。
当惑したヨンファが身を起こしたかけたところで、端整な貌がゆっくりと近づいてくる。
明らかに、メンバー同士のボーダーラインを越えているのではないか。
咄嗟に身体を退いたのに間に合わず、吐息が掠めるのを感じた瞬間、唇を塞がれていた。
そのまま食らいつくように激しさを増すキスに、ヨンファの頭の中が真っ白になる。
思いも寄らない行動に狼狽えてしまい、初めは何が起きたのか、すぐには理解できなかった。


――な、んで……。嘘……だ……。


これまでの長い付き合いから、ジョンシンが完全なノーマルなのは知っている。
それなのに、どうしてこんなことになっているのか。
そんなはずはない。何かの間違いだ。
自分の身に降りかかっている現実が信じられなくて、思考回路だけでなく、全身が硬直したように動けなくなった。


「んっ……」


しゃべろうとすると濡れた舌がするりと忍び込んできて、鼻から抜けるだけの音にしかならない。
嫌悪感を見せる様子は微塵もなく、執拗に追われながら貪られるばかりだ。
歯列の奥を探ろうとするジョンシンに頭が混乱してしまい、どうしていいのか分からない。
再び上げかけた声は甘い舌先に搦め捕られ、身体の力が抜けかけていたヨンファは制止の意味を込めて、微かに震える指で男の腕に縋った。
だが、ジョンシンはやめる気配を見せないどころか、それが煽る結果となったらしく、先ほどよりも強引に吐息を封じられる。
遊び慣れているのか、特定の相手がいないとは思えないくらい手練れていて、経験値の高さに目を瞠った。


唇が離れて、信じられない思いでジョンシンを見返したが、呆然と固まっている間に長い腕の中に閉じ込められて、またしても唇を合わせてくる。
次第に甘さを帯びてくる口づけに酔いそうになったヨンファは、息苦しいほど口内を蹂躙されているうちに誘惑に勝てなくなった。
気がつけば、薄く開かれたジョンシンの唇を軽く啄んでいる自分がいて、互いに引き寄せられるように重なり合う。
自然とふたりの舌が絡み合い、深まっていくキスに翻弄されながら、上になっている男のカットソーの裾をギュッと掴んでいた。


こんなことが、本当にあるのだろうか。
恋い焦がれていた相手なのだと改めて認識するだけで、閉じていた瞼の奥がじわりと潤んでいくのが分かる。
都合のいい展開がいまだに信じられなくて、夢でも見ているのかと思った。
性に奔放な年頃でもあるため、触れ合っているうちに自然とそういう気分になってしまったとしか考えられない。


本来なら、リーダー兼年長者としてはっきりと拒むべきなのに、どうしても突き飛ばせなかった。
自分の心を偽っても、身体は嘘がつけない――ということか。
おもむろにジョンシンの長い指がヨンファのシャツのボタンに触れてきて、理性が崩壊する音が聞こえたような気がした。


こんな機会は、もう二度とない。
それなら、一度くらい夢を見ても許されるだろうか。
ずっと抑え込んでいた感情が心の奥底から溢れ出し、完全に抑制がきかなくなった。
恋愛感情を抱かれているなどとまったく思っていないし、ただの成り行きだということもちゃんと分かっている。
いくら願っても想っても決して手に入らないので、ヨンファにとって理由なんかどうでもいいのだ。
欲求不満でも、興味本位でも、何でもいい。
今この瞬間、ジョンシンが自分を求めてくれているのは紛れもない事実なのだから――。
それに背中を押される形で、様々な逡巡は一瞬にして決心へと変わった。


「……ジョンシナ」


発した声は緊張のあまり見事に掠れてしまい、気恥ずかしさを必死に抑える。
この先をもっと続けてほしくて、すっかり全身から力が抜け落ちてしまったヨンファは、縋るような思いで目の前の首に腕を回した。
すると、ジョンシンが息を詰めるのが分かり、慣れた手つきで白いシャツのボタンがひとつずつ外されていく。


身体の熱が完全に退いてしまえば、ジョンシンはこの行為に至ったことをきっと後悔するに違いない。
ぶつけられる言葉を想定して一瞬怯みそうになったが、それも仕方のないことだ。
罰はすべて、自分が甘んじて受け入れよう。
その時のヨンファは、まるで悪魔と一夜限りの取引をするような心境だった。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(8)

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hoshi

ちょこっと、バタバタしていて遊びに来られない淋しい日々を送っていたのですが、今日お邪魔をしたら、ふたつも更新されていてとてもうれしい私です!
12~13。
彼らの少し前のお話を読ませていただいて、ドキドキしっ放しです。(最近、過去の番組やらライブのDVDを観ているからより一層ドキドキ感が増している感じです!)
ヨンファの心の変化が物凄く丁寧に描かれていて私・・・頭の中がずっと沸騰中です。ヨンファが本当に其処にいるなと思ってしまっています。

切ない。

だけでは、言い表せない気持ち、感情。
一生懸命に取り繕っていたヨンファが、どういう風になっていくのか、心配で。
・・・今の自分の気持ちを上手く言葉に出来なくて物凄く歯痒いですが、続きを楽しみにしていますね♡
さて、最初から読みたくなってしまったので、行ってきます!
haruさん、いつもありがとうございます♡

2018/09/07 (Fri) 15:18

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2018/09/07 (Fri) 17:06

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2018/09/07 (Fri) 17:25
haru

haru

hoshiさん

こんばんは♡

読んで下さった上に、心温まるコメントをどうもありがとう♪
どちらも文字数が少なかったので、いつもよりは早かったかな。
心情を表現するのはなかなか難しいんだけど、少しでも伝わっていれば嬉しいです。
TLでシンヨンの仲睦まじい動画を観ていたら、自分の妄想がすごく小っ恥ずかしくなってしまって。
もうじきラストなので、ムズムズを抑えながら形にしてみるね。
読み返してもらって、感謝です♡

また来週でもDMします(。・ω・。)ノ

2018/09/07 (Fri) 20:59
haru

haru

i*****さん

こんばんは♡

ジョンシンの軍服姿の数々、送ってもらって嬉しかったです♪
Twitterは決めた時間以外に開くことがほとんどなくて。ごめんなさいっ。

「最近してなかった」のくだりの「自分で」ってところで大爆笑!何度も笑っちゃった。
さすがi*****さん♪私もそこまでは思いつかないわ~。

萌え禿げてもらって、すごく嬉しいです。
葛藤とか苦悩するヨンが大好物で、心の揺れ動きとかもね。
「揺れに揺れる男心」でまた爆笑。←え、ここ笑うところじゃない?
ヨン視点で書いていると、なんかヨン子が降臨してきたように錯覚しちゃいました( ̄ω ̄;)

この話はもうじき終わるので、後日談って言い方はおかしかったかな。
続編っていうほどのものじゃないけど、短編で書きます。
ドン引きなんてとんでもない!逆に大喜び♡♡
再来年、形にするのを忘れずにおきますね。

マニトの次は、豪華10点SMセットの続きに取りかかります(´・ω・`)b

2018/09/07 (Fri) 21:37
haru

haru

M*****さん

こんばんは♡

M*****さん、お久しぶりです♪
四人が入隊して、TwitterのTLもすっかり寂しくなったね。
今のうちに未完の話を何とかしようと書くことに集中しているので、リツイするばかりで絡まなくてごめんなさい。

マニトを読んで下さって、どうもありがとう♡
ヨンにちょっと乙女が入っているかも。
ジョンシン脳、分かるわ~。
私もヨン視点でジョンシンを表現する時は、私情が入りまくり(笑)

サイコパスのジョンシンには驚いたけど、どんな役でも素敵すぎる♡♡
ロスがきちゃったのね。それだけ、好きってことだもの。
軍服姿を見て、いかにジョンシンが超絶イケメンなのか再認識しちゃいました。
年齢を重ねるごとに魅力的になっていくので、先々がすごく楽しみです。

釜山ズの話も書いたりですぐには難しいけど、年内中には不遜を再開させるつもりでやってみます。
いつでも覗きにきてね(*´ω`*)

2018/09/07 (Fri) 22:09

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2018/09/09 (Sun) 12:58
haru

haru

は*さん

こんばんは♡

本当は2話一緒にアップしたかったんですが、長くなると頭の中がこんがらがるので、ぶつ切りにしました( ̄ω ̄;)
読んで下さって、ありがとうございます♪
当初はずっとジョンシン視点だったのでヨンの気持ちが見えなかったと思いますが、ラストに向けて種明かしみたいな感じで書いています。
読み返して下さって嬉しいです♡

392?392とは何ぞやもし?と思いながら調べまして。←困った時のYou Tube(´・ω・`)
Twitterで何度も目にしたことのある頃の四人ですね。無知でお恥ずかしい・・・。
皆若いから、フレッシュでピチピチしてる♪
ジョンシンが見違えるほど大人びて猛烈男前になってくれて、私も嬉しい限りです。
昔からCNを追っているは*さんからすると、四人の成長っぷりに感慨もひとしおなのでは。
今日はリフレッシュできて何よりでしたね(*´ω`*)

2018/09/09 (Sun) 21:23