CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

蒼き運命 -アオキサダメ- 69

2018年05月23日
蒼き運命 -アオキサダメ-(極道パロ) 2






突然の無茶ぶりに驚いたヨンファは、何度か瞬きを繰り返してしまった。


「ホストなんか二度とやらねぇだろ?金髪姿もこれで見納めだろうし」


その場にいた六人の視線を一身に集めているのもどこ吹く風で、堂々とのたまったジョンシンは意味ありげに唇の端を上げてみせる。
少し浮かれた感じの軽快な口調に、そういうことか……、と内心で溜息を漏らし、ヨンファはふたつ年下の男にちらりと胡乱な目を向けた。
その時、視界の隅でジョンヒョンが憮然とした表情を浮かべているのが分かり、どう答えていいものか判断に迷ってしまう。
それに気づいているのかいないのか、野性味のあるすっきりと整った容貌の持ち主はけろりとしたもので、こちらの返事を待っているばかりだ。


「写真くらい撮らせてやれよ、ヨンファ。代わりに引き受けてくれたんだから、こんなの安いもんだろ」


賛同するように真っ先に声を上げたのは、興味津々といった顔つきでこちらを眺めていたホンギだった。
真っすぐな性格をしているだけに良かれと思ったのかもしれないが、お節介な台詞に戸惑いながら「まあ……」と、グラス片手に言葉が中途半端に途切れてしまう。
   

「俺なんか、こんなホストスーツを着てても、写真撮らせてくれって弟分に言われねーぞ。ジョンシナにかなり懐かれてんだな」
「……そうか?」
「だってさ、ここに飲みに来てよく俺を指名してくれるんだけど、何が面白いんだか、俺たちの高校時代の話ばっかり聞きたがるんだ。ヨンファヒョンは?って」


ホンギが意外そうに言うのをさらりと受け流すと、今度はジョンフンが唐突に思いがけないことをあっさりと暴露してきた。
爽やかという言葉がぴったりの満面の笑みを浮かべ、半ば冗談めかした口振りでジョンシンを見たあと、再びこちらに視線を戻す。
妙な方向に話が転がっていくのをまずいと感じていると、ホンギにまで同じように交互にまじまじと眺められて、妙な緊張感を覚えるとともに何となく居心地が悪くなった。


「へぇ。どんだけヨンファが好きなんだよ。デカい図体してるわりに、意外と可愛いとこあるじゃん」
「言えてる。俺も一人っ子だから、こういう弟がいたらよかったな」


意気投合したとばかりに、おどけた目つきをしたホンギとジョンフンは揶揄混じりに呟き、互いに頷き合っている。
何か、勘づかれてはいないだろうか。
ヨンファはそれとなくふたりの様子を探ってみるが、含みのある言い方ではなく、これといって不自然さは感じられなかった。
一瞬肝を冷やしたものの、結局、それ以上深く追及されることはなく、普段通りの物言いや表情から他意はなさそうだと安堵する。
思い当たる節もあって、自分の知らないところでそんな話をしているのかと複雑な心境になりながらも、「そんなんじゃない」と首を横に振った。
もっと軽い調子でさりげなく躱すべきだったのかもしれないが、焦るあまりうまい言葉が見つからなかったのだ。


「ジョンシナが部屋住みをしていた頃は、まだ若も屋敷にいらっしゃいましたよね」


左隣から、タンブラーに口をつけていたグンソクにそう訊かれて、「ああ……」とすぐに頷き返す。


「ミニョクとふたりで家事全般をやってくれたから、いろいろと助かった。俺にとっては、実の弟みたいな存在だな」


ある程度のことは把握されているとはいえ変な誤解を招きたくないので、自分たちの関係性を皆の前で明確にしておいた方がいいと判断し、敢えて『弟』という単語を用いて強調した。
こちらの気まずい思いや取って付けたような牽制を感じ取っただろうに、ジョンシンは無言で聞いているだけでそれには答えず、別段気にした様子もない。
ひょいと片眉を上げただけで、口許には優然と笑みさえ浮かべていた。
そのどこか憎めないところに、仕方がない……、と踏ん切りがつかずにいたヨンファは小さく息を吐く。
幸いにも周囲は疑問を感じなかったようだが、少し苦い気持ちになった。


「屋敷は姐さんがいらっしゃった頃から我が家みたいな温かい雰囲気があるんで、よっぽど楽しかったんでしょうな。当時の話題が出るたびに、ミニョクも実に嬉しそうな顔をしますよ」


先ほどまでとは打って変わっておとなしくなっていたハンは腕を組んだままソファの背凭れに寄りかかり、感慨深げな声を漏らす。
どうやらまた昔に思いを馳せているらしく、遠くを見つめるようにじわりと目を細めた。
VIP席がどことなく穏やかな雰囲気に包まれる中、ハンの言葉に同調して、「そうですね……」とグンソクがおもむろに頷いている。
たかが写真ごときで拒むと一気に場がしらける可能性もあって、ここはうまくやり過ごすしかないようだ。
しかも、ひとりの男を除き、許容するような空気になっていたため、はっきり嫌だとはもはや言えなかった。


変な展開になってしまったが、自分にとってジョンシンが気安い相手であることは確かなので、右隣を向いて平淡に「分かった」と承諾する。
途端に、ニッと笑い返されるのとほぼ同時に、それまで黙って傍観していたジョンヒョンの気配が一段と尖ったように感じた。
そっと斜向かいを見ると、真っすぐにヨンファへと視線をあててきて、ゆったりと構えていた男のポーカーフェイスが不快そうに歪められている。
この成り行きには納得がいかないようで、真一文字に引き結ばれた口許からも、明らかに難色を示しているのが分かった。


どうしたものかと躊躇った一瞬の隙を突き、いきなり横から大きな手が伸びてきて、ヨンファから取り上げたグラスをテーブルに置く。
勢いに呑まれたまま鼻筋の通った端整な顔立ちに視線をやれば、シルクストールの乱れを目敏く見つけたのか、長い指先で形を整え始めた。
あまりの手際の良さに感心しながら、そこまでするか?と表情を曇らせている間に、ジョンシンはしれっとした態度で長い腕を回して、強引に肩を組むように抱き寄せる。
身構える暇もなく、触れられただけでじっとりとした熱が伝わってきたような気がして、ヨンファはソファの上でわずかに身じろいだ。


「ちょ……っ、何だよ」


どうしても密着した箇所から内に秘められたものが絡みついてくるような錯覚を起こしてしまい、振り払いたくてもびくりともしない腕に戸惑いを覚える。


「いいから、いいから。すぐ終わる」


離れるつもりはないらしく、焦るヨンファに構うことなく飄々とした口調で軽く言いながらジョンシンの手にぐっと力が籠もった。
まるで有無を言わせぬように。逃すまいとするかのように。


カシャッというシャッター音がすると、肩に乗っていた重みがすっとなくなり、ヨンファはするりとジョンシンの腕の中から抜け出した。
ホッとしていると、もう自分自身は写る気はないようで、スマートフォンを掲げてまたしてもこちらにレンズを向けてくる。


――なんで、こんなに撮りたがるんだよ……。


ヨンファが怪訝そうな表情をしても、気に留める素振りもなく妙に楽しげだ。
数回シャッターが切られ、時間にしてみればほんの一分も経っていないかもしれないが、不思議と長く感じられた。
ある程度気が済んだのか、ジョンシンはひどく満足そうな顔で撮ったばかりの写真を確認している。


「ほら、こんな感じ。よく写ってるだろ」


低い声とともに機嫌よく差し出されたスマートフォンの画面に視線を落として、ヨンファはリアクションに困ってしまった。
ただでさえ正視にたえない状態だと自覚しているのに、改めて別人のような自分の姿を見せられて、余計に憂鬱な気分になる。
すっと目を背けながら、これを一体どうするつもりだ?と、訊いてみたいようなみたくないような思いで顔を上げたものの、口にする勇気はなかった。


「これ、絶対に誰にも見せるなよ」
「分かってる。そんなことはしねぇって」


しっかりと釘を刺したヨンファに対し、ジョンシンは安心していいと言わんばかりに軽く片目をつぶって見せる。


「若のプライバシーに関わるものだ。漏えいしないように十分注意するんだぞ」
「何かあってからじゃ遅いからな」
「それは、もちろんっす。気をつけます」


やや真顔となったハンが念押しするのに続けて、畳みかけるようにグンソクが追従するのをものともせず、ジョンシンは臆面もなくニヤリと笑った。
スマートフォンをさっと引っ込めて、無造作にポケットに押し込む様子を眺めていたジョンフンがここぞとばかりに突っ込みを入れる。


「あれ、俺らには見せない気か?ケチいな」


肩を竦めて軽口を叩く悪友に目を向けると、その隣からじっとこちらを見つめているジョンヒョンと視線がぶつかった。
苦虫を噛み潰したような顔で、面白くないと言いたげに持っていたロックグラスの中身をぐいっと呷る。
目の前で一部始終を目撃されて、何となくばつが悪くなった。
「フニさんでも駄目です」と、相好を崩しつつもきっぱりと言い切るジョンシンの声で我に返ると、横合いから切り替えが早いホンギが口を挟む。


「明日は、逆にお前の写真を撮ってやるよ。スーツはこっちで適当に見繕っていいんだろ?サイズ合わせしなきゃなんねぇから、早めに来てもらうようになるけど」
「うっす。ホンギさんに任せます」


あからさまに眉を顰めているジョンヒョンの不機嫌の矛先が、ホンギと遠慮のないやり取りをしているジョンシンに向いているのは一目瞭然で、ヨンファに対してもとんでもないお人好しだと呆れられているに違いなかった。
このくらい大目に見ろと訴えたかったが、刺すような視線を受け止めるのが精一杯で、ここでは言えるはずがない。
どうにも間が持てなくなって、ヨンファは動揺を誤魔化すように中身が少なくなっているグラスに口をつけた。


「だけど、さっきの写真、どうすんだよ?たまに思い出したように取り出して見るとか、そんなわけねぇよな?」


ヨンファが疑問に思ったことを揶揄い半分で不思議そうに問うホンギに、珍しく至極真面目な顔をしたジョンシンが口を開く。


「まあ、ぶっちゃけ目の保養と、あとは……オカズっつーか」


全員の視線が集まる中、嫌味なほど長い脚を組み替えた男は、空気をまったく読まずにとんでもないことをのたまった。


――こいつは今、なんて言ったんだ?


聞きたくない内容になると、人間の脳は自然と拒否反応を示すらしい。
呆然としながら右隣に目をやると、発言した当の本人はあっけらかんとしている。
咄嗟に反応できなかったが、言葉の意味をじわりと理解した瞬間、ヨンファは飲みかけのリシャールに激しく噎せてしまい、危うく噴き出しそうになった。
その場は水を打ったようにしんと静まり返り、奇妙な沈黙が垂れ込める。
それから、ちょっとした騒動に発展したことは言うまでもなかった。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(2)

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2018/05/27 (Sun) 15:59
haru

haru

は*さん

こんばんは♡

ジョンシンに会ってパワーをもらえたので、少しは話に反映できているのかな?
本当にヨンに対して健気でね、幸せにしてあげたいんだけども…。
ジョンシンとミニョクの想いにも向き合いながら話を進めていくので、徐々にシリアスモードに戻していく予定です。

こんな展開のあとだからか、バニを書いているとどうしても頭の中にダース・ベイダーのテーマ曲が流れてきます(笑)
は*さんの疑問は次回の話以降で解消されるのではないかと。やっとです(〃ω〃)

2018/05/27 (Sun) 21:26