CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

その男、不遜につき 11

2017年12月06日
奇跡のチカラ シリーズ(リーマンパロ) 2






どうしてこんなことになったんだろうと、ヨンファは疑問を感じずにはいられなかった。
自分たちが置かれている状況は朧げに見えてきたが、うまく呑み込むことができない。
あれだけ優しく触れられながら終わりが見えないくらい何度も口づけを交わし、互いに求め合っていたはずなのに、何か気に障ったのだろうか。
目の前で、一方的にドアを閉められたような気分だった。


ヨンファがそんなふうに思っているとは、ベッドの傍らに立って見下ろしているジョンシンは露ほども気づいていないに違いない。
デニム越しでも昂っているのは一目瞭然なのに、途中で中断できるものなのか。
いともあっさりやめてしまうなんて、この男とのこれまでのセックスではあり得ないことだった。
自分とは対照的にどこか平然とした顔を見て、なぜそんなに冷静でいられるのか不思議でたまらない。
いくら考えても答えが出るはずもなく、耳に残っているジョンシンの切り捨てるような言い方が、何だか行為自体を軽んじられているみたいに思えて胸が詰まりそうになった。
いつもはこちらが早く解放されたいと願っても、決して聞く耳を持たずに好き放題に振舞うのに。


一度にいろんな感情が溢れてしまい、混乱のあまりどうやって引き留めればいいのか皆目見当もつかず、ヨンファは小さく息を呑む。
たかがこれだけのことで、まるで親に見捨てられた子供のような心境になり、胸にぽっかりと穴が開いたようなひどい喪失感を覚えた。
先ほどまでふたりを取り巻いていた親密で温かな空気は一瞬にして消え去り、しんと冷え切っていくのが肌で感じられる。


自分とは、もう繋がる気がないのだろうか。
そう思った刹那、またしても、小柄な青年の守ってあげたくなるような繊細な顔立ちが脳裏を掠めた。
不意に込み上げてきた胸中のざわめきに、ヨンファはきつく奥歯を噛み締める。
どうしてもあの夜、ジョンシンと彼がふたり寄り添って立っていた様子ばかりが思い出され、その時の光景がいつまでも残像のように目に焼きついて離れないのだ。
途端に、心臓を抉られたような痛みが襲ってきて、息が止まりそうになった。


せっかく落ち着きを取り戻していた心は不穏に乱れ、瞬く間に複雑な思いに支配されてしまったようだ。
自分と付き合っているのに……、とひんやりした気持ちと嫌悪感にも似た感情がない交ぜになり、何か言おうと口を開けたが、喉の奥に貼りついたように声にならない。
なぜ、こんなに胸がつかえたように息苦しいのだろうか。
伝えたいことはあるはずなのに、うまく言葉にできなかった。


どことなくぎこちない雰囲気の中、淡々とした気配とともにジョンシンはすっとベッド脇から離れ、それ以上何も言わずに踵を返して背を向ける。
つい今しがたとは態度が一変し、急によそよそしくなったように感じられた。
鼓動が不規則に脈打ち始めたヨンファは、ベッドに横たわったまま、長身がドアに向かって歩いていくのを呆然と眺める。
何もできない自分がもどかしくて、待てよ……、と咄嗟に呼び止めたはずの台詞はやはり声にならなかった。


視線の先で、軽く身を屈めたジョンシンは、長い腕を伸ばして脱ぎ落としたチェックシャツを拾い上げる。
広い肩幅、肩甲骨が浮き出ている引き締まった背中、九頭身というモデル並みのスタイル。
自然と目を奪われてしまう均整のとれた後ろ姿からは、何を考えているのか窺い知ることはできなかった。


このままでは、部屋から出ていってしまう。
波立つ心情に揺さぶられて、突然、何かに急き立てられるような焦燥感が襲ってきた。
一方的に高められて自分だけが逐情させられるなんてフェアじゃないし、こんな展開を望んでいたわけでもない。
いまだにヨンファの身体の奥には行き場のない熱が燻ったままで、中途半端な状態で放り出されて自宅に戻っても、寝られるはずがなかった。
そんな考えに及んでしまった浅ましい自分が恥ずかしくなり、ヨンファは微かに震える唇を引き結ぶ。
でも、自分ひとりだけぽつんと取り残された気分を味わうなんて、それだけは絶対に嫌だ。
今、行動を起こさないと取り返しがつかないような気がして、湧き上がってくる衝動をどうにも抑えきれず、ベッドに手をついて身を起こす。


「……っ、い…や、だ……っ」


毛布がずり下がるのも構わずに、ヨンファは背中を押されるように口走っていた。
必死の思いで振り絞った声が耳に届いたのか、寝室から出て行こうとした長身の男が足を止めてゆっくりと振り返る。


「なんで……最後までしないんだ?」


考えるより先にこぼれてしまった問いが意外だったのか、ジョンシンは身体ごと向き直ってにわかに目を見開く。
上目遣いで見つめるヨンファに対し訝しげに片眉を上げ、何とも言えない気まずそうな表情で苦笑した。


「そりゃ、病み上がりだから、あんま無理しない方がいいだろ。最初からそのつもりだったしな」


感情を封じ込めたような歯切れの悪さで思いがけないことを言われて、ヨンファは言葉を失った。
ただ単に、自分を心配してくれていたから……なのか?
もともと男を受け入れるような作りではないので、身体を繋げた翌日は腰の奥に疼痛が残ることがあるのは事実だ。
いつも自分の性欲を発散させることばかりに終始して、こちらの体調を慮っていたとは知らなかった。
だから、途中でやめたというのか――。自分の欲求は後回しにして……?
今まで知らなかったジョンシンらしからぬ気遣いに胸が締めつけられ、勝手にひとりで勘違いしていたことに対して、ひどく決まりが悪くなった。
張り詰めていた糸がふつりと切れたように気持ちが緩み、半ば放心状態でジョンシンを見返す。
手加減するというのはこういう意味だったのかと、引っかかっていたものが胸にストンと落ちてきて、不思議なほど安堵している自分に気づいた。


「遠慮するなんて、お前らしくないだろ。万年発情期のくせして」


よもやそんな言葉が返ってくるとは、予想すらしていなかったのだろう。
ヨンファの大きな瞳を揺るぎなく受け止めていたジョンシンが、真意を読み取ろうとわずかに目を眇めながら、ドアの前から引き返してくる。
そして、ベッドのそばで立ち止まると、困ったような表情を浮かべて、起き上がっていたヨンファをじっと見下ろした。


「すげー言われようだな。いくらなんでも万年はねぇだろうが」


憮然とした口調から、普段のジョンシンと何ら変わりがないことが分かり、じんわりと嬉しくなる。
正面に立つ長身をちらりと見上げれば、さも心外だと言わんばかりに大袈裟に溜息をついて、短い黒髪をがしがしと掻き乱した。
その憎めない仕草に、口許が危うく緩みそうになったのをプライドで抑え込んだヨンファは、「ほら、肩が出てるぞ」と指摘されて、何げに自分の姿に視線を落とす。
腰の辺りまで毛布がずり落ち、露わになった上半身のそこかしこにうっすらと鬱血の痕がつけられているのを知り、ギョッとした。
戸惑ったように瞬いて居たたまれなさに俯くと、伸びてきた大きな手に肩を抱き込まれてベッドに横にならされ、再び全身をくるむように上から毛布を被せられてしまう。
ヨンファは硬直したように動けなくなりながら、世話好きな男から目を逸らすことができなかった。


しばし見つめ合ったままふたりして黙り込んでしまい、会話の糸口が見つからない。
毛布にすっぽりと包まれた身体は確かに温かいのに、心の中にまで染み入らないのはなぜだろう。
せっかく掴みかけていたぼんやりと靄がかかったものが、また遠くなっていく。
このまま終わられても困るのだと訴えたくてもプライドが邪魔をしてしまい、どうしても肝心なところで一歩引いてしまうのだ。
だが、そのうち喉許を行ったり来たりしていた言葉に急かされるかのように、はっきりと口に出さなければ相手には伝わらないのだと思い直した。


「中途半端は……俺だって辛いのに……」


自分でも気づかないうちに、縋るような表情をしていたのかもしれない。
驚くほど気弱な声がぽろりとこぼれた途端、目の前の男が虚を衝かれたように瞠目した。
告げた直後、女みたいな真似をしてしまったと悟り、頬に血が上る。
無理に奮い立たせた気持ちが竦み上がるように震えてしまい、臆病にもまずかったかもしれないと今さらながらに思った。
複雑そうに押し黙ったままだったジョンシンはややあって、少し躊躇いがちに口を開く。


「――本当にいいのか?途中では、絶対にやめられないぞ」


感情を押し殺したような低音で、微塵も動じることなく言い切ったジョンシンは、怖いくらい真顔だった。
至近距離から怜悧な視線を向けられ、ドクリと激しく心臓が跳ねる。
何も言えないでいると、おもむろに手にしていた濡れタオルを無造作にヘッドボードに放り投げ、ベッドに片膝をついて端正な貌が覗き込んできた。
まだ迷うような素振りで横たわるヨンファの脇に手を置き、どこかがひどく傷むのかと思うほど苦渋に満ちた面持ちでじっと見据えられる。
何かをぐっとこらえているような強い眼差しを真っ向から受け止めて、返答の代わりにヨンファは自分の身体にかけられていた毛布をバサッと引き剥がした。


「寒い……」
「!」


その時、どうしてそんな真似をしてしまったのか、自分でもよく分からない。
薄暗い照明の下で白い肢体を晒すと、ジョンシンは不意を衝かれたように目を見開き、息を呑む気配がした。
いまだに身体の奥で熱く滾っているものをどうにかしてほしかったのもあるが、もっとこの男の安らぐような体温を感じていたかったのかもしれない。


ヨンファの遠回しな誘いに深い色の双眸をゆっくりと細められ、ぞくりとする震えが背筋を駆け上っていく。
囚われてしまったかのように冴え冴えとした瞳から視線を逸らすことができず、ヨンファの心から何かが溢れ出しそうになった。
今度こそその正体とちゃんと向き合って見極めようとした次の瞬間、規格外の長身がいきなりベッドに乗り上がってきて、勢いよく圧し掛かられる。
同時に、大きな手のひらに両頬を挟み込まれながら、息もつかせぬほどの激しい口づけが降ってきた。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(2)

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2018/03/06 (Tue) 23:15
haru

haru

i*****さん

こんにちは♡
わざわざ感想を下さって嬉しいです♪感謝♡
萌えポイントがありましたか。
気持ちが揺れ動いて徐々に変化していく過程がすごく好きなので、言葉で表現するのは難しいんだけど、伝わってて良かった。
「寒い」はね、まだ自分の気持ちを認めたくないし、でも、このままやめてほしくないってことで、こんな感じに。
私個人としては「抱けよ」とかストレートに言わせてみたい気もするけど、うちのヨンはプライドが高いので、口が裂けても言わない(笑) 煽って、ジョンシンを惑わすというね。で、敢えてそこに乗っかるジョンシン。
ヨンがこんなんだから、ジョンシンにはいつも申し訳ない気持ちでいっぱい。
いつになるかは未定ですが、いずれこれも続きをお届けしたいです(*´ω`*)

2018/03/07 (Wed) 12:48