CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

アイコトバ 前編

2017年08月09日
Everything シリーズ 2


『Everything』 続編



「あ、ヨンファか。俺――」


十コール目にしてやっと繋がったと思って話し出した途端、プツッと通話が切れたのが分かる。
ジョンヒョンはスマートフォンを耳にあてたまま毒気を抜かれた気分になり、自分の顔が中途半端に固まったのを感じた。


「……一体、どうなってるんだ?」


事務所の作業室で椅子に凭れながら苦々しくひとりごち、またしても溜息がこぼれる。
いずれ再始動することになるソロ活動のための楽曲制作をしていて、ちょうど一段落ついたところだった。


バラエティ番組の撮影を終えたヨンファが今日の夕方、牛耳島から戻ってきたのは知っている。
事前に本人から聞いていたし、すれ違いで会えなかったが、事務所に一旦顔を出したあと車で自宅マンションに送り届けたと、マネージャーから聞き及んでいたのだ。
疲れていると思い、ジョンヒョンがおかえりという内容のメールを送ったものの、返信はなかった。
てっきり寝ているのだろうと我慢していたが、どうにも声が聞きたくなって、そろそろ起きている頃だと四時間後のたった今電話をかけたら、いきなり切れてしまったというわけだ。


とても、誤ってそうなったとは思えない。
余程のことがなければコールバックがあっていいはずなのに、いくら待ってみても、かかってくる気配はなかった。
仕事に集中していればこういった懸念は排除できるところだが、それはあくまでも一時的なものだ。
どうしてもヨンファのことばかりが頭の中を占め、作業中に幾度となくスマートフォンを眺めてしまい、作曲どころではなくなった。
そんな自分にうんざりして、こんな日は何をやっても駄目だと、デスクの上を片付け始める。


ただでさえ、ヨンファは個人活動でもかなり忙しく動き回っているので、ふたりでゆっくりと過ごせる時間は限られているのだ。
しかも、来月からソロカムバックが控えているだけに、自宅の作業部屋に籠ってしまうと仕事に没頭して、ジョンヒョンが訪ねてもなかなか出てこない時もある。
近くに気配を感じていても、甘いひとときを過ごすことさえ困難な状態だった。
だから、余計に落ち着いてはいられない。
認めたくはないが、普通に考えてもかけてきた相手がジョンヒョンだと認識した上で、故意に電話を切られたとしか思えなかった。


睡眠を妨害されるのが嫌だったのか、それとも創作中で煩わしかったのか。
今までこういうことがなかったから、ヨンファの気持ちが読めないのだ。
それでなくとも撮影中は遠慮して、電話だけでなくメールまで送らなかったというのに。
牛耳島へ行く前日に電話で話をした時は特におかしい様子は見られなかったから、さすがのジョンヒョンも焦りや苛立ちを隠せなかった。


ひとつ年上のヨンファが時としてものすごく扱いづらくなるのは、これまでの付き合いから身をもってよく知っている。
綺麗な貌とは真逆で、性格は非常に男っぽい。
年長者としてのプライドや意地がある上、生真面目で呆れるほど頑固な一面もあるので、譲れない場面ではまずあとには退かない。
正直、面倒だと思うこともしばしばだ。


ずば抜けた容姿や音楽のセンスは目を瞠るものがあり、仕事に取り組む姿勢も非の打ちどころがないくらい完璧なのに、それに反して驚くほど無防備で不器用な面も持ち合わせている。
変に何かを計算していない素の行動に振り回されながらも、いろんな引き出しを持っているヨンファの新たな顔を見つけるのを、ジョンヒョンもどこか楽しんでいた。


そういえば、過去付き合ってきた女性たちにはこんな感情は抱かなかったなと、今頃になって気づく。
行動の端々に何かを期待するような含みが感じられ、かなり辟易していた思い出しかない。
わがままも多少は可愛く思えても、度が過ぎれば嫌気が差すし、過剰に甘えられるとかえって迷惑だった。
愛情を試そうと下手な駆け引きをしてみたり、情に訴えかけようとして泣きつかれるのも、独占欲丸出しで勝手に所有物扱いされるのも煩わしいことこの上ない。
当然、長続きするはずもなく、すぐ次の相手に切り替わっていた。


それに対して、ヨンファにはそういったものが一切ない。
真っ直ぐで純粋で、生き方が常に前向きなのだ。
文句どころか愚痴すら言わず、周囲の人間に気を配ってばかりいる。
相当強い精神力を持っていないと、彼のように振る舞うことは不可能だろう。
ジョンヒョンにはその存在自体が眩しくて、恋人になってからも憧れの眼差しで見てしまい、尊敬せずにはいられなかった。


今を遡ること約十年前。
ジョンヒョンが高校二年生の秋、事務所のオーディションを受けることになったのだが、関係者から同じ釜山出身の男がいると事前に聞き、ソウル駅で待ち合わせた相手がヨンファだった。
これがふたりの初対面で、同郷にこんな綺麗な男がいるのだと、つくづく驚いたのだ。


今年、デビューして八年目を迎えたが、練習生時代を含めて目まぐるしく変わる環境の下で、本当にやっていけるのだろうかと、見えない先行きに不安を覚えたことは多々あった。
チャートのランキングに一喜一憂し、目先の結果で挫折感や屈辱感を散々味わったものだ。
そんな時はいつもリーダーのヨンファが「大丈夫だ。きっと報われる時が来る」と柔らかな笑顔で励まし続けてくれた。
彼の優しさに癒され、少しずつ溺れかけていることを、この時はまだ意識はしていなかったに違いない。


常に先を見据えた考えを持っているヨンファに倣うように、いつしか数字だけにとらわれるのではなく、自分たちの好きな音楽を続けていけばおのずと結果はついてくると思えるようになった。
何事にも真摯で一生懸命な彼は、自分たちメンバーにとって大きな心の拠り所であり、支えでもあった。


ヨンファは決して弱音を吐かず、弟たちには悟られないように平然と振る舞っていたが、ジョンヒョンはとうの昔に気づいていた。
口には出さずとも、些細な身体の動きや表情の変化で必死に重圧と闘っているのだということを。
それだけ、自分がヨンファばかりを見つめていたともいえる。
目が離せなくなると、今度はなぜか胸がひどくざわついて、口では説明できない感情が自分の中に芽生えてしまったことをある日、自覚したのだった。


メンバー四人での共同生活という、おいそれと女性と交際しづらい環境になったのも要因のひとつかもしれないが、同性に対して性的なものを感じたのは初めてだ。
今に始まったことではないのに、彼の顔のパーツのひとつひとつがやけに扇情的に見え、ほっそりとした指が視界に入ると、思わず口づけたい衝動に駆られる。
欲求不満なのかもしれないと、プロの女性相手に発散したこともあったが、異常なまでの関心は高まる一方だった。


何年もの間、メンバーかつ友人という関係を保ちながら、彼に惹かれる気持ちを抑えることができず、随分と悩んだものだ。
仕事に邁進する日々の中で、いつしか心を揺さぶられるほどの存在になっていても、そのことを言えるはずがなかったので、プライベートでは極力ふたりきりにならないようにしていた。


ところが、そんなジョンヒョンを嘲笑うかのように、絶妙なタイミングで向こうから近寄ってきたのだ。
抜き打ちのようにいきなり自宅を訪ねてくるヨンファに苛立ちを覚え、わざと不機嫌な態度で接したこともある。
それが度重なり、あの日、酒が入っていたのもあって半ば言い合いのようになった。
まさか両想いだったとは知る由もなかった。
――お互いに、自分の気持ちを伝え合うまでは。


嘘みたいな展開だが、その直後に身体でも確かめ合い、晴れて恋人同士になった。
だからといって、何かが大きく変化したということはない。
こちらが拍子抜けするくらいヨンファは自然体のままで、いい意味で変わらないでいてくれて嬉しいと思っている。
欲をいえば、もっと甘えて寄りかかってくれればいいのに、そんなところがいかにも良識派のヨンファらしい。
どこか放っておけない気分にさせられて、たまらなく愛おしいのだ。


ジョンヒョンを避けているのが事実ならば、ヨンファが島に滞在中、何らかの問題が生じたとしか思えない。
この数日間に、変わったことでもあったのだろうか。仕事絡みか、それともプライベートか。
心当たりはこれといって――と考えたところで、ふとあることに気づいた。
そういえば、ジョンヒョンが出演したウェブドラマがインターネット上の動画配信サービスで全世界に公開されたのは、偶然にもヨンファが牛耳島へ出発した日ではないか。


ファンタジー青春時代劇でラブコメディという訳の分からない内容だが、相手役の女優は、かつてバラエティ番組で仮想カップルとして共演したこともあるコン・スンヨンだ。
この中でのジョンヒョンの振る舞いが誤解を生んで、ヨンファと恋人になるきっかけとなったので、番組さまさまだと一応感謝はしている。


ただ当時、スンヨンとは実際に付き合っていると、まったくのでたらめの熱愛説が浮上したことがあったのだ。
ジョンヒョンとしてはバンドの名をより世間に知らしめようという思惑があり、今思い返せば、本物のカップルに見せようと、多少サービス精神が過剰だったかもしれない。
今回のドラマでも到底言い訳できないようなシーンがあったため、その噂が再燃しているような動きはSNSなどからも感じ取っていた。
実際、ミニョクやジョンシン、その他の友人たちが公開早々、冷やかしのメールを送ってきたのだ。
……ということは、ヨンファが目にしていないとは言い切れない。


その答えに辿り着いた瞬間、ジョンヒョンは椅子から立ち上がった。
言いたいことがあるなら、はっきり言ってほしい。
ヨンファの子供っぽい真似に愕然としながらも、一度気になると居ても立ってもいられなくなった。
確信は持てないが、直接会って真相を確かめ、推測通りなら一刻も早く誤解を解かなければならない。
ジョンヒョンは再度こちらから電話するつもりも、向こうからかかってくるまで待つ気もなかった。
場合によっては、ある程度の実力行使もやむを得ないだろう。


パソコンや機材の電源を落とし、慌ただしく作業室をあとにしたのは、午後十時に差し掛かろうとしていた頃だった。
通用口から出て、隣接している駐車場へと向かう。
ヨンファが嫉妬してくれたのかもしれないと思っただけで、どうしようもない喜びが胸の奥から込み上げてきて、自然と足許が軽やかになった。


「まったく世話が焼ける」


大股で歩きながら愛車に乗り込んだジョンヒョンは、あからさまな溜息とともに呟く。
若干、眉間に皺が寄っていたものの、恋人に会える嬉しさもあり、その口許は微かに綻んでいた。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(2)

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2017/08/12 (Sat) 17:55

haru

ふ*******さん

こんばんは♡
初釜山ズの話を時々読んで下さっていたのですね。その上、拍手までどうもありがとうございます♪
これは、CNの小説をアップするようになって四ヶ月くらい経った頃に、Twishortで試しに書いたものなんです。
読み返すと、青いといいますか、クサいといった方がいいかな。突っ走ってるって感じで、会話とかなんかもう恥ずかしくて、とても全部は読めませんでした。
この時は釜山ズのイメージがまだ確立できていなくて、これが精一杯だったんですけれども、ふ*******さんのお言葉がとても有難いです(TωT)
あの頃とは二人の雰囲気が若干違うかもしれませんが、最後まで形にしてみます(。・ω・。)ゞ

バニの髪形がまともになってきて良かったですよね♡
スポックとかブロッコリーね(TωT) いろいろTwitterで見かけましたが、カプリコ、あと個人的にツボったのが、嶋大輔と渥美清!!
渥美清に似てると気づいた方、マジで天才だと思いました。一時期どのバニもすべて渥美清に見えてしまい、ちょうど極道を書いていた時だったんですが、笑い死にしそうで妄想するのが大変でした(笑)
髪の毛伸ばしてって大勢のファンに言われても、また短く切るのがバニらしいというか、こういう自分を曲げないところがすごく好きですね。
ファンには手厳しくて塩対応なのに、ヨンに甘いところとか♪
それと、寡黙で落ち着き払っていて、グループで最も存在感があるように私の目には見えます。
そういう男前なところを話の中で出せればなと思っています。
残暑厳しいですが、ふ*******さんも夏バテにはお気をつけて下さいね(*´ω`*)

2017/08/12 (Sat) 22:01