CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

Manito 2

2017年06月26日
Manito 5






ジョンシンは高校在学中に事務所の練習生になり、ふたつ年上のヨンファと出会った。
まず整った容貌に瞠目し、長身のジョンシンよりも頭半分ほど低い、彼の醸し出す洗練された雰囲気に惹きつけられた。
あまり人見知りをしない性格なのか、何かの拍子に話しかけられ、はにかんだような表情と八重歯をちらっと覗かせた口許に視線を持っていかれ、ひどく緊張してしどろもどろになった記憶しかない。
変に威張って先輩風を吹かせることもなく、厳しいトレーニングの苦労話をあれこれと話して聞かせてくれ、思いがけない優しさに驚いた。


綺麗な顔立ちをした、黒目がちの大きな双眸が印象的のヨンファは、その時点では磨かれる前の原石のように控えめではあったが、すでに選ばれし者としての輝きを放っていた。
誰とでも気さくに接し、飾り気のない笑顔があどけなくて、あまり年上には見えなかった気がする。


初対面の印象が強すぎたのか、彼の存在はジョンシンの心をとらえて離さず、その後も会うたびに言葉を交わし、いろいろと教えてもらうようになった。
世間話をする時は非常にフランクなのに、ギターの話題に移ると途端に真剣な顔つきになり、この人は根っから音楽好きなのだと感じ取れて、微笑ましく思ったものだ。
数年後、ヨンファがリーダーを任されたCNBLUEは武者修行のため日本へと旅立ち、その三ヶ月後に自分が加入することになるとは、この時はまだ知る由もなかった。


そして、異国の地でバンド文化に触れた四人は、そこでの生活に別れを告げて帰国し、本格的なデビューに伴い、約五年近くに渡って共同生活を送ることとなる。
当初は意見が衝突して喧嘩になることもあったが、長い年月とともに四人の絆は深まり、今では家族同然の間柄だ。


中でも、ヨンファとはお互いについて知らないことがないくらい、メンバーの中では一番の仲良しになった。
いつも皆を導いてくれる頼もしい彼が自分に気を許し、少し甘えるような素振りを見せてくれるのは純粋に嬉しい。
どこか気が合うから、一緒に過ごすのはとても居心地がよく、ひとり暮らしを始めても自宅を行き来するなど、泊まり合う機会も多かった。


誰よりも信頼がおけて、先輩であり、時には兄のような存在のヨンファに、それ以上の感情を抱くようになったのはいつからだろうか。


付き合いが長くなるにつれ、いろんなものが見えてきて、屈託のない笑顔の裏で、ふとした瞬間に見せる脆い表情が気になるようになった頃ではないかと思う。
リーダーとしてメンバーの盾となり、常に重圧と隣り合わせの日常は、想像を絶するほど心労が重なっていたに違いないが、ヨンファは決して不平不満を口にすることも、自分たちに当たり散らすこともなかった。


ひとりで気丈に振る舞っているのを目の当たりにして、もう少し寄りかかってくれればいいのにと、ジョンシンとしては寂しさを感じずにはいられない。
だが、それは年長者としてのプライドがあるからに他ならないだろう。
彼の背負っているものを少しでも軽くしたいと感じるようになった時には、きっと尊敬や友情以上の想いが芽生え始めていたのかもしれない。










「ヨンファヒョンは、付き合ってる相手っているの?」


そんな突っ込んだ質問をしたのは、ジョンシンがCNBLUEの一員となって六年目の初夏だった。
ふたりの間に確固たる信頼関係が築けていたからこそ、年上相手でも臆することなくプライベートの話題もできるようになったのだ。


「今はいない。なんか、あんまり長続きしなくてさ。――ジョンシナは?」
「デビューする時に彼女と別れてからは、見事に何もないよ。たまに誘われて、遊びにいくことはあるけど」
「……そっか。やっぱりこういう立場だと、なかなか難しいよな」


諦めにも似た物言いはどこか寂しさが滲んでいて、なぜか胸の底がズキッと疼いた。
事務所から、デビュー後三年間は恋愛禁止という確約があったが、それ以降は自分の置かれている立場を自覚し、節度を保つのであればという条件付きで認められている。
ジョンシンの言う「遊び」とは、いわゆるその手の店のことだ。


缶ビールを早々に空にしたヨンファは、冷蔵庫から新たに何本も取り出してきてローテーブルに置き、「もっと飲め」と勧めてくる。
ちょうど翌日がオフという気楽さもあり、ほとんど入り浸り状態の彼のマンションで、ふたりは寛いだひとときを過ごしていた。
ソファには直接座らず、ジョンシンと同じように背凭れにしてラグの上に腰を下ろすと、ヨンファは早速プルトップを開けて二本目に口をつける。


国内では数少ないバンドとして人気を博し、ようやく手に入れた芸能界でのポジションを熱愛報道などで失いたくはない。
昔に比べると多少は寛容になっているかもしれないが、こういったプライベートが発覚すると、ファン離れはどうしても避けられないだろう。
そんな気持ちをメンバー全員が抱いているので、幸いにも今までスキャンダルで足許を掬われたことはなかった。


「でも、今は仕事が楽しいから、別にこれでもいいんだけどね」
「お前ならモテるから、その気になれば相手くらいすぐ見つかるだろ」


不意に目を細めて、ヨンファがジョンシンを見つめてくる。


「それでなくても、普段から人一倍気を使い過ぎてるんだから、多少は羽目を外して恋愛を謳歌するのもありだと思うぞ」


その台詞に、胸を衝かれた。
ジョンシンはよく社交的に見られがちだが、少し人見知りで疑り深く、慎重な面があるのだ。
表には出さないものの、他人と接するのがそれほど得意ではないため、どうしても気疲れしてしまうことが多い。
リーダーはメンバーをよく見ているんだなと、心底感心した。


「外しちゃっていいの?」
「まあ、常識の範囲内ならな」
「本当に?リーダー、優しいー」


アルコールのせいで普段よりも口が滑らかになり、気が大きくなっていたのかもしれない。
突如、悪戯心が湧き起こり、ジョンシンは隣に座っているヨンファにわざと寄りかかった。
その衝撃で身体が揺れ動き、慌てて体勢を立て直そうとしているのが分かったが、どこ吹く風といった調子で重心をかけたままにしておく。


「こら、ビールを飲んでる時にやめろって。零れるだろ」
「ちょっとくらい、いいじゃん」


咎めるような声音を完全に無視すると、悪乗りモードのジョンシンは長い腕を伸ばして、ローテーブルに飲みかけの缶ビールを置くや否や、今度はヨンファの肩に頭を乗せる。


「……ったく。俺で遊ぶなよ」
「だって、ちょうどいい位置にあるからさ」
「うるせ。最近、また無駄に上に伸びやがって。お前の成長期はエンドレスか?高校生の頃はもっと可愛かったのに」
「あ、そういうことを言う?」


ヨンファの持っていたビールを奪って遠くに避難させたジョンシンは、くすぐり作戦に出ることにした。
相手の弱点は知り尽くしているので、まず無防備な脇腹をターゲットにすれば、予想通り身を捩ってじたばたと暴れる。


「くそっ、やめろよ……っ」


後ずさりする彼を逃すまいと、左手首を掴んで動きを封じ込め、追い打ちをかけるように隙だらけの脇をくすぐった。
途端、大きな声で笑いながら毛足の長いラグの上に倒れ込み、堪りかねたように脚をバタバタさせて早くも白旗を掲げる。


「手首、マジ痛いって。早く放せ」
「降参?」
「ギブギブ。お前には力じゃ敵わないよ」


わずかに綺麗な眉を寄せ、ヨンファは軽く右手を挙げて観念したようなポーズを取った。
もっと遊んでいたかったが、仕方なしにほっそりとした手首をそっと放すと、手に馴染みかけていた温もりがすっと消える。
なぜか物足りなさを感じてしまい、ジョンシンはダイブするように思い切り体重をかけて、彼に圧し掛かった。


「ちょっ……、ジョンシナ、重いってば!」


抗議の声も何のその。
共同生活を送っていた頃によくふざけて、じゃれ合うようにプロレスごっこをしていたこと思い出し、ふと懐かしさを覚える。
楽しいだけでなく辛いこともあったが、お互いを思いやり、時には慰め合って一緒に立ち向かってきたから、それが大きな力となり精神的にも強くなれた。
あの頃は四人一緒で本当に楽しかったなと、しみじみ思う。


急に大人しくなったのを不思議に思ったのか、ジョンシンの下敷きになっていたヨンファが抵抗しなくなった。
そのまま身を任せたようにじっとしたまま動かないでいると、何かを感じ取ったらしい。


「――どうした?ママでも恋しくなったか?」
「違うよ。第一、そんな呼び方しないし」


苦笑混じりに「世話が焼けるな」といったふうに、綺麗な手に頭を撫でられた。
何だか母親にされているみたいで、くすぐったい気分になる。


「……しょうがないな。甘えん坊なんだから」
「マンネの特権」
「まったく……。一番デカい図体してて、よく言うよ」
「体型は関係ないの」


ヨンファの胸許に頭を乗せ、触れた箇所から伝わってくる体温がひどく心地よいと感じた。
身体の線の細さがありありと伝わってきて、この人が自分たちを背負って立ってくれているのだと、改めて認識する。


「ジョンシナ、マザコンだもんな。毎日電話して、よくそんなに話すことがあるよな」


ジョンシンがまめに母親に連絡を取っていたのは事実だが、マザコンと断定されるのは心外だ。
ヨンファの軽口にムッとして、思わず言い返した。


「違うって、それ昔の話。今は時々しか電話してないし……。そもそもヒョンだって、お母さんのことが大好きじゃないか」
「そりゃあ、大事にはしてるけど、お前ほどじゃない。電話だって、ほとんどかけないぞ」
「失礼な」


不満そうに嘆息するジョンシンを見て、ヨンファがさも可笑しそうにプッと噴き出した。
年長者を敬い、家族を大切にする風習は、儒教の教えからきている。
韓国人なら誰しもそういう考えを持っていて、単にメンバーの中で自分が一番突出していたというだけだ。


そんなジョンシンを宥めるように、「よしよし」と言いながら頭だけでなく背中まで撫でさすられる。
揶揄われている気がして素直に喜べなかったものの、こんなふうに甘えさせてくれて、自然と心が癒されるような気がした。


どのくらい、そうしていただろうか。
重さに耐えかねたのか、ヨンファがジョンシンの腕の中でもぞもぞと身じろぎする。


「あ、ごめん……」


傍らに手をついてヨンファから身を離した時、大きく開いた襟元からなめらかな胸許が見えた。
初めて目にするわけではないのに、ボタンをいくつか外した白いシャツ姿の、綺麗な鎖骨や色白の肌が妙に艶めいているように映る。
思わず手を差し入れてしまいそうになり、ジョンシンは狼狽した。


こんな感覚は、中学生の頃を思い出す。
制服姿の女子生徒をつい目で追ってしまい、華奢な襟足や眩しい胸許ばかり見ていた思春期の淡い記憶。
普通の男なら、誰だって経験したことはあるだろう。
そんな理性を必死に抑え込んでいたのとどこか似ている感覚は、ジョンシンをひどく落ち着かない気分にさせた。


さりげなく視線を逸らすと、赤みを帯びた唇が視界に入る。
ふっくらとして、キュッと上がった口角は、そこだけ見ていると女の子とあまり大差はなかった。


「……どうかしたのか?」
「……………」


いつもと様子が違うと気づいたのか、ヨンファの声色に案ずるような響きが入り混じっている。
わずかに開いた唇はまるで誘っているように見え、やけに扇情的で艶めかしいと思った。
咄嗟に答えられないでいるジョンシンの顔を、ヨンファは怪訝そうに見上げてくる。
ゆっくりと瞬き、物言いたげな表情で――。


ジョンシンが食い入るように目を凝らすと、何かに怯えるかのように息を殺し、大きな目許や頬はアルコールのせいでほんのり薄桃色に染まっていた。
真っ直ぐに向けられる澄んだ瞳は、無防備に何かを語りかけているようで、どうしてか苦しいほどに胸が締めつけられる。


得体の知れない熱が全身に絡みついてきて、急にリビングの温度が上がったような気がした。
不穏な空気を、瞬時に察知したのだろうか。
慌てて起き上がろうとヨンファが動いた途端、ジョンシンの中で何かが音を立てて崩れ去った。
それは、ほんの一片の理性なのか、何なのか。


無言のまま顔を寄せると、ヨンファが驚いたように目を見開く。
突如、すべての動きがスローモーションのように映し出され、どことなく頼りなさげな表情で長い睫毛を震わせているのを見下ろしていたはずなのに、気づいた時には唇を合わせていた。


自分でも訳の分からない激しい情動に駆られて、ひたすら本能に身を任せる。
「んっ……」と鼻にかかった声が耳に入った瞬間、ヨンファにキスしていると初めて意識したが、その時には体重をかけて、柔らかな唇の感触に夢中になっていた。
我に返って身を捩る彼を両腕で抱き留め、噛みつくように貪る。
突然の荒々しい口づけに観念したのか、ジョンシンの二の腕に触れていた指の力が弱くなるのを感じた。


徐々に落ち着きを取り戻した頃、自然と唇が離れたが、考えるより先に再び吐息を奪っていた。
当惑しながらも逃げる気配がないのをいいことに、もっと甘美な唇を味わいたくて、角度を変えて執拗に舌を搦め捕る。


「……ん、っ……」


奥深く探るとヨンファもおずおずと応えてきて、絡み合った甘い舌先と彼のくぐもった声に何も考えられなくなり、背中にたとえようのない痺れが走る。


ふとした弾みで始まった口づけは次第に熱を帯び、いつしか男とキスをしているという感覚は、どこかに消え去っていた。
突発的な行動にジョンシンは内心で狼狽えていたが、頬を上気させて上目遣いに見つめてくるヨンファに嫌悪感はないようで、もはや拒む素振りすらない。
そのことに安堵して、一瞬どうしようかと迷いはしたものの、ここでやめてしまえば必ず後悔しそうな気がした。


「……ジョンシナ」


どこか遠慮がちに名を呼ばれながら縋るように首に腕が回されて、胸の鼓動が跳ね上がる。
この時、すでに後戻りできないことを自覚し、目の前の妖艶な表情に誘われるように、ジョンシンはヨンファのシャツのボタンに手をかけた。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

Comment(5)

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haru

り*さん

こんにちは♡はじめまして♪
コメント、どうもありがとうございます。
こちら以外にお返事する場が思いつかなかったので、人目につくことをお許し下さいm(__)m

読みに来て下さっているそうで、とても嬉しく思います(〃ω〃)
ファン歴は半年くらいなのですね。私は二年近くになります。
ヨンの声は本当にセクシーですよね。私も初めて聞いた時、あの甘く掠れたような声にやられました。
そして、ジョンシンのファンに!お気持ち、すごくよく分かります。
私もあの超絶イケメンっぷりに完全ノックアウトされ、ヨンと二人で仲良くしている姿は大好物です♪

このマニトは過去のシンヨン話とは少し違った感じでシリアス色も強いですが、今しか書けないと急に思い立ちました。
いろいろと温かいお言葉をどうもありがとうございます♡とても励みになります。
何とか私の思い描いているものを言葉で表現して、お伝えできればと思っています。
り*さんもBLがお好きではないにもかかわらず、シンヨンにハマって下さったのですね(TωT)
本当にごめんなさい。そして、ありがとうございます(TωT)
最近、そういうお言葉を頂戴することがあり、書いていて良かったなとしみじみ感じております。
この話が完結したら、「その男、不遜につき」の続きに取り掛かります。長いこと放置していて申し訳ありませんm(__)m
遅筆でお待たせしてしまいますが、今後ともどうぞよろしくお願いします(*´ω`*)

2017/06/30 (Fri) 12:54

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2017/07/06 (Thu) 00:31

haru

i*****さん

こんにちは♡
このシンヨンはまだ核心に触れていないので、今の時点では予想がつかないと思います。
分かっていて、そういう始まりにしました(笑)
やはりいろんな特色の話を書きたいという気持ちがあるので、「どうしちゃったの?」ってお言葉ににんまりです♪
i*****さんはいつもドキッとするほど鋭いですもんね(〃ω〃)

極道は19話の時に、ホストクラブでの話を書きたいと思っていました。←一年前です(-ω-;)
なので、今回リクエストしていただいた時、「そうきたか(笑)」とものすごくビックリしたんですよ。
でも、話をアップする前にネタばらししたらマズいかなと、内緒にしてました。ごめんなさい!
同じホストクラブの話でもそんなには内容が重ならないだろうと判断したので、お引き受けした次第です。
i*****さんとはシンクロする部分が本当に多いですよね(笑) 嬉しい限りです♡
当分の間、この二つの話をお届けしていきますね(*´ω`*)

2017/07/06 (Thu) 12:52

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2017/07/10 (Mon) 06:04

haru

奏*さん

こんにちは♡
いつも読んで下さり、どうもありがとうございます♪

奏*さんはミニョヨンだけでなく、シンヨンもお好きですか?
私はこの二人が一緒にいるところを見ただけで、顔がヤバいくらいにデレ~っとなってしまいます。
徐々に気持ちに変化が生じる過程が好きなので、こんな感じに書いてみました。
続きは今日中にアップできるかな?と思います(*´ω`*)

2017/07/10 (Mon) 12:30