CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

Eternal Sky 2

2016年03月09日
DESTINY 0






「ヨンファヒョン、ピザ食べよー」


ドアホンの画面いっぱいに映ったミニョクの顔に、ヨンファはまたかとゲンナリした。





ヨンファとミニョクは徒歩3分の距離に住んでいるので、たまに時間が合えば一緒に食事を摂ることがある。
今日もミニョクから 『夕飯を買っていくから一緒に食べよう』 とのメールがあり、本人に任せていたのだが、蓋を開けてみればこれだった。
ミニョクが直接店まで取りに行ってくれたのか、それとも自宅で注文したのか、箱に入ったピザやその他諸々を両手に抱えていた。
それをヨンファは胡乱な目で見る。


「……またピザか」
「ヨンファヒョン、いろんなところに行って忙しいから、こっちにいる時くらいは一緒に食べたいじゃん。ヒョンの体重、まだ元に戻ってないでしょ」


―――話が噛み合っていない……。


ミニョクは勝手知ったる他人の家とばかりに、リビングのテーブルに買ってきたものを並べていく。
ピザ、フライドチキン、フライドポテト、ビール。……これでもかと言わんばかりの超高カロリー食にヨンファは絶句する。


「……逆に太るだろうが」
「ヒョン、ピザ大好物でしょうが」
「好きだけど、頻繁だとちょっとな……。あ、これピザ代な」


ミニョクにお金を渡すと、『えっ、こんなに貰っていいの?』 と嬉しそうに受け取ってくれた。
……兄貴だからこのくらいはしないとな。


ミニョクは一緒に共同生活を送っていた頃からジョンシンほどではないが、ヨンファを気遣って世話を焼いたりしてくれている。
徒歩圏内に仲間が住んでいるのは何かと便利で、とても有り難い。困ったことがあれば、お互いに助け合うこともできる。
今も、また明後日から東京へ行くヨンファのことを思って、夕飯を買ってきてくれたのだろう。
ミ二ョクはさらっとそういう心遣いができる、とても可愛い弟なのだ。


二人並んで座り、チーズが良い感じにとろーっと溶けている熱々のピザにかぶり付く。


「……旨いな」
「でしょでしょ」


ヨンファの言葉にミニョクが同調して、他の食べ物もどんどん勧めてくる。
油っこいから疲れている胃にどうかと思ったが、食べてみるとやっぱり美味しくて、ついつい手が出てしまう。


「最近、ジョンシナがすっごくご機嫌なんだけど、よく会ってんの?」


ミニョクの口からその名前が出てきて、ヨンファは思わずドキリとする。
……機嫌良いか?少なくとも昨日は不機嫌だったが。


「……よくってことはないぞ。仕事で一緒になったり事務所で…」
「そうじゃなくて、プライベートでってこと。ジョンシナと付き合ってるんでしょ?」
「グッ」


チキンを頬張っていたところにいきなり爆弾を投下されて、喉に詰まらせそうになり、慌ててビールで流し込む。
ミニョクが苦笑いしながら、「大丈夫?」 と背中を叩いてくれる。


「な、何でっ!?」
「あー安心して。ヒョニヒョンも知ってるから」


あっけらかんとして言うミニョクに呆然としながら、ジョンシンとのことを知られている事実に、ヨンファはかなり動揺した。
いつまでも隠し通せるとは思っていなかったが、まさか気付かれているとは思ってもみなかった。
心の準備も何もできていない状態で、突然言われて言葉が出ない。
……ホンギに知られていることは分かっていたが、ジョンヒョナもか!?


「……気持ち悪いだろ?」
「えっ、何で?僕、偏見なんて持ってないよ」


居た堪れない思いをしていると、フライドポテトを食べながらミニョクが不思議そうな顔をする。
ヨンファは自分たちがどういう経緯でこうなったかを掻い摘んで話すと、ミニョクは以前から事情を知っているようだった。
また、四人の仲がギクシャクしてはいけないと思い、自分たちがゲイではないことも伝えた。


「もちろん、そう理解してるよ。二人とも女の子と付き合ってたし、一緒に住んでいれば違うってことくらい分かるよ」


ヨンファの言葉に、ミニョクは苦笑いをする。


「勘違いしないで、ヒョン。僕もヒョニヒョンも二人のこと、本当に良かったと思ってるんだよ。一時期、二人の仲が変だったからすごく心配してたんだ」
「……ホント悪い。お前たちには迷惑かけないようにするから…」
「迷惑なんて、そんなこと思ってないっ。ジョンシナが自ら言い出したわけじゃないよ。何となく二人の雰囲気が良くなったから、僕が訊いたんだ。ジョンシナの機嫌もすこぶるいいしね。以前は本当にひどかったんだよ。練習しててもしょっちゅう音を外したり、ミスばっかりして…」


そんなことがあったとは知らなかった。
昨年の途中からヨンファがソロ活動に専念し始めて、三人とは少し距離を置くようになっていたから、まったく気が付かなかった。
自分のことばかり必死になっていて、弟たちのことを気にかけてやれなかったことに臍を噛む。


「……ごめんな。俺、自分のことばっかりで全然気付かなくて…」
「ううん。ヒョンは十分すぎるくらい僕たちのことを考えてくれてるよ。今までもずっと助けてもらってきて、すごく感謝してるんだ。
だからヒョンには幸せになってほしい。相手がジョンシナっていうのが癪だけどね」


ミニョクに笑いかけられて、ヨンファもつられて微笑む。
普通なら蔑まれて当然のことなのに、広い心で受け止めてくれるミニョクに頭が上がらない。
感謝してもしきれないとヨンファは心からそう思った。





「それにしても、やっぱりジョンシナって面食いなんだなぁ」
「……面食い?」


ポツリと呟くように発せられたミニョクの台詞に、ビールを飲んでいたヨンファの手が止まる。


「そう。アイツが付き合う相手って、昔から綺麗な子ばっかりだったらしいよ。だから、ヒョンの美貌にもやられたんだろうね」
「……ミニョク、詳しいんだな」


ベラベラ喋るミニョクを尻目に、ヨンファは初めて知る事実に衝撃を受けた。
『面食い』 という言葉だけを聞けばあまり悪い気はしないが、追い打ちをかけるように続いた言葉に耳を疑った。


「昔、僕たちが同じ英語塾に通っていたことは知ってるでしょ。アイツ、授業そっちのけで可愛い子に声掛けまくってたもん」
「ジョンシナが?まさか。何かの間違いだろ?」


真面目なアイツが声を掛けまくる!?……そんなこと信じられない。
一笑するヨンファに、ミニョクは真面目な顔で続ける。


「いや、マジなんだって。ジョンシナと同じ中学出身の奴から聞いたんだけど、学校でも相当モテまくりで、いろんな子と付き合ってたらしいよ」
「……へぇ」
「で、ジョンシナはたった一週間で英語塾を辞めちゃったんだけど、その理由が、声を掛けた女の子同士がジョンシナを取り合って揉めてさ。すごい大騒ぎになって大変だったんだよ」
「……………」


当時のことを思い出しながらミニョクは一人で笑っていたが、ヨンファがそれにつられることはなかった。
好きなだけ喋るだけ喋って、ようやくヨンファがドン引きしていることに気付いたらしい。


「あっ、まぁ…でも、それは昔の話だよっ。今はヒョン一筋だから大丈夫!」


―――取って付けたように、あとから何を言っても遅いな。覆水盆に返らずという言葉を知らんのか。
しかも、全然フォローになってないんだがな、ミニョク…。


「……男に一筋とか言うな。ゾッとする。……でも、いいことを教えてくれてありがとうな、ミニョク」


ヨンファの笑みにミニョクは全身が凍りついた。慌てて取り繕うが、ヨンファの機嫌はすっかり地の底まで落ちていた。





そう言えば、ジョンシンと初めて会った時、一般の学生とは随分様相が違っていた。
制服を着ていたものの、両耳にピアスをして髪の毛はオールバックだった。
自分よりデカイし、どことなく迫力のある高校生だと思って内心ビビりながら声を掛けたが、喋ってみると意外と緊張していて可愛いなと思ったものだった。
練習生として徐々に慣れてくると、実は真面目でとても愛嬌のある奴なのだということも分かった。


それなのに、まさかそんな裏の顔を持っていたとは。高校生の分際で有り得ない……。
ジョンシンのルックスならさぞモテるだろうことは想像に難くないが、正直ヨンファにとってあまり気分のいいものではなかった。







*********************************************************************







今日は練炭奉仕活動に参加して、ヨンファはかなり疲れてクタクタになっていた。
マネージャーに車で送ってもらってから、何をするのも面倒で、リビングのソファーに寝っ転がりテレビを観ていた。





昨日、ミニョクに言われたことがずっと心の中で引っかかっていた。
ジョンシンの今までの言動から、軽はずみな気持ちで自分に気持ちを告げてきたとは思ってはいない。
お互い難しい立場にあるのだから、その程度のことで敢えてリスクを背負うような馬鹿な真似はしないだろう。


もし見た目を重視して相手を選ぶのであれば、何も男じゃなくても綺麗な女性は世の中にごまんといる。
だから、ミニョクはああ言ったが、ジョンシンが自分を好きになってくれた理由は他にあると思いたい。
しかも、顔ばかり好きになられても嬉しいことなどない。


学生時代からずば抜けた美貌で釜山中有名だったヨンファは、容姿に釣られて言い寄られたことは数えきれないほどある。
そんな経験を持つヨンファにとって、上辺だけ好きになられても鬱陶しいだけだった。
だから、ジョンシンも同じだとしたら――。


CNBLUEに入ってからのジョンシンは、そんなに派手に遊び回っている感じは見受けられなかった。
噂になったエギョンともただの友人同士のようだし、ヨンファの心配するような相手がいるとは到底考えられない。
ただ、身体を慰め合う相手ぐらいはいたのではないかと思う。それが今も存在するのかはヨンファの知るところではない。
いくら同じグループのメンバーだからと言って、プライベートをすべて把握しているわけではないのだから。


そのジョンシンとは昨日、一度キスを交わしただけで、結局自分のマンションに戻ってきてしまった。
それが何とも不服そうだったが、身体の負担が大きいのは明らかに自分の方なので、会う度に毎回というのは承服できない。
だから、ジョンシンに会いたい気持ちはあるものの、ヨンファから連絡することを躊躇していた。





テレビに目を向けても気分がモヤモヤして内容に集中できないでいると、突然スマホが鳴り出した。
見ると、まさにその張本人からだった。


『ヨンファ、今、どこ?』
「……家にいるけど」
『何か食べた?』
「……食べてない」
『じゃあ、適当に買って行くから待ってて』


ジョンシンの声を聞いて嬉しいはずなのに、何故か苛立ちに拍車をかけるだけだった。
ヨンファの喋る声がぶっきらぼうだったことにジョンシンは気付かず、また世話を焼いてくれるらしい。
自分から歩み寄れずにいたので、連絡をもらって渡りに船だった。
気遣ってもらうのは嬉しいが、それとこれとは話は別。何よりまず問い詰めたいことがあった。










そして、ジョンシンの顔を見た途端、ふつふつとしたものが一気に噴き出してきた。


「……どうかした?」


いつもと雰囲気の違うヨンファにジョンシンもただならぬ何かを感じたようだが、お構いなしにヨンファは口火を切った。


「ジョンヒョナとミニョクが何で俺たちのことを知ってんだよ。それとホンギも。どういうことか説明してもらおうか」


冷たく言い放つヨンファに、ジョンシンは 『あ、まずい…』 という顔をした。


「まさかと思うけど、吹聴して回ってんのか?」
「……そんなわけないだろ。三人にいろいろ聞かれたから答えただけだ」
「何を?」
「付き合ってるのか?って」
「それで?」
「……そうだって言った」
「……………」


リビングに微妙な空気が流れた。
ヨンファは耳を疑ってしまった。馬鹿正直にもほどがある。男女の恋愛とは違うということをこの男は分かっているのだろうか。
大手を振って触れ回るようなことでは決してない。ヨンファは思わず頭を抱えそうになった。
それが顔に出ていたのか、どうやらジョンシンに伝わったらしく面白くなさそうな顔をする。


「余計なことをしゃべるなよ。もし噂になったらどうするんだ」
「なったら、その時考えればいい」


子供のような無責任な答えに眩暈がする。本気で言っているのだろうか。


「……あのな、俺たちの立場を考えろよ。バレたらただじゃ済まないぞ」
「嘘はつきたくなかったから、正直に言ったまでだ」


真っ直ぐにヨンファを見つめる目には、一点の曇りもなかった。
ジョンシンの実直なところは好きだが、時に一本気すぎて怖くて不安に感じることがある。


「だからって……そのまま正直に答える必要はないだろ?」
「誰彼構わず言いふらしているわけじゃない。三人には以前からいろいろ気付かれていたから仕方がなかったんだ。ヨンファは人に知られたくないのか?俺たちのこと」
「当たり前だろ」
「……俺は誰に知られても構わないけど」


不貞腐れた顔に少し傷付いたような色が混じったが、ヨンファはそれを撥ね除けた。


「いいか。俺たちは一般人じゃない。そこをちゃんと理解しろよ。軽はずみな行動一つで周りの人たちに多大な迷惑をかけることになるんだぞ。それだけは絶対にしてはならない。だから、もっと自分の立場を自覚しろよ」


ジョンシンは黙って聞いていたが、その顔を見る限り、恐らく完全には納得していないだろう。
ヨンファと違って、自分たちの関係にまったく後ろめたさを感じていないようだし、誰に知られてもいいなどと言うくらいだ。
それが正直、ヨンファには重荷に感じるところがあった。


それでも、年上の自分が繰り返し諭していかなければならない。
普通の男女の恋愛とは違うのだから、常に危機感を持っておかないと身の破滅を引き起こす恐れもある。
自分たちはどこで誰に見られていてもおかしくない立場にあるのだから、不用意な発言や行動は慎まないといけないのだ。


気が付くと、部屋中が剣呑な雰囲気に包まれつつあった。


「……もうやめよう、この話は」


ヨンファは軽く溜息をつくと、ソファーにどっかりと座り足を組んだ。
ただでさえ疲れているのに、こんな話を続けていても、また堂々巡りになるのは分かりきっている。
二人の意見が交わらなくて議論がエンドレスになるだろうことも。


同性と付き合うということは常にリスクと隣り合わせで、相応な覚悟が必要なのだと肝に銘じた。
好きという気持ちだけで楽しく浮かれている手軽な恋愛とは訳が違う。
でも、それを覚悟してジョンシンを選んだんじゃなかったのか――。
ヨンファの心の中にはいろんな感情が渦巻いて、考えれば考えるほど答えは何一つ出なかった。





「せっかく来てくれたのに悪い。何か買ってきてくれたんだろ?」
「……ああ。ヨンファが好きそうなものをいくつか選んできた」


気まずくなった空気を払拭しようと努めて明るい声を出すと、ジョンシンが袋の中から買ってきたものをテーブルに置き始めた。
その横顔を見ていると、一方的に言いすぎた自分に後悔の波が押し寄せてくる。


―――俺のためにわざわざ買ってきてくれたのにな……。


いつもヨンファのことを大切に想ってくれているこの愛しい存在に、こんな顔なんかさせたくないのに。
リーダーとしての責任感からか、素直にその腕に飛び込めない自分が歯痒くて仕方がない。





ソファーに並んで座って、バラエティー番組を観ながらヨンファはマッコリを飲んでいた。
所々面白い場面で一緒に笑い合っていると、いつしか空気も和らいできて、いつもの二人に戻っていた。


「ジョンシナは飲まないのか?」
「車で来てるから、今日はいいよ」


ヨンファばかり飲んでジョンシンはまったく口にしないので、不思議に思って訊いた。
ジョンシンは下戸ではないが、昔からヨンファに比べてあまり飲む方ではなかった。


「明日はまた東京だな」
「ああ…今月は忙殺されて死にそうだ…」


珍しくぼやくヨンファに、ジョンシンはクスリと笑い、優しく髪の毛を梳いてくる。
サラサラと触れてくる気持ち良さと、全身に浸透してきたアルコールが相まって、疲弊した身体が癒されていく。
だらっとソファーに凭れかかっていると、睡魔が襲ってきて瞼が重くなってくる。
それに気付いたジョンシンが、側ににじり寄ってきた。


「……眠いのか?」


距離を詰められてジョンシンの方を向くと、食い入るようにヨンファを見つめてくる。


「眠いんだったら俺、帰った方がいい?」


吐息を感じるほどの距離からジョンシンが囁いてくる。
その飢えたような眼差しを見た瞬間、ヨンファの身体に震えが走って、そのまま視線が外せなくなった。
ずるい訊き方だった。口ではそう言っているが、ジョンシンが本気で帰ろうとしていないのは明白だった。
しかも、その選択権をヨンファに委ねてくる。


もし素面だったら、意地っ張りなヨンファはその誘いに乗らなかったかもしれない。
でも、疲れとアルコールがヨンファのガードをいつもより緩くさせていた。
相手の術中にまんまとはまるのが癪で目を伏せると、ヨンファの細い顎を掴みジョンシンが無理矢理視線を合わそうとする。


「……ヨンファ?」


余裕のなさそうな声に促され、ヨンファが憂いを帯びた長い睫毛をゆっくりと上げると、欲望を露わにした熱っぽい瞳と再び真っ向からぶつかる。
仕方がなくヨンファは陥落した。


「ジョン…シナ…」


上目遣いでその名を口にすると、目の前の喉がゴクリと大きく上下したのが見えた。
そこを細い指でスルリと撫で上げると、ヨンファの甘い毒牙に煽られて共に墜ちるだけの一人の囚人ができあがっていく。


「……帰るな…」


今にも飛びかかってきそうなジョンシンの首に腕を絡めて自分の方に引き寄せると、目の前の薄く開かれた口にヨンファは唇を重ねた。


触れ合ったと同時に骨が折れてしまうんじゃないかと思うほど強く抱き竦められて、唇を蹂躙される。
今までにないほどの勢いで、ヨンファのすべてを喰らい尽くそうとする年下の男に怖気づいてしまう。


ジョンシンはまるで嵐のような男だ。荒々しく覆い被さってきて、激しく乱され、すべてを奪い去ろうとする。
一度捕らわれてしまうと、逃げも隠れもできやしない。その魅力に引きずられて欲望の渦に巻き込まれ、ただ落ちていくのだ。


痺れるような息もつかせぬキスから解放されると、ヨンファは逞しい両腕に抱き上げられてベッドルームに連れて行かれた。





リビングにいた時の明るい雰囲気が一変し、ヨンファの寝室は濃密な空気に支配されていた。
聞こえるのは布ずれの音と吐息と喘ぎ声。
ヨンファの身体に乗り上がって覗き込んでくるジョンシンの整った顔は、より一層、淫靡な雰囲気を纏い始めた。


いきなりセーターの上から胸の先端を探り当てられ、甘い吐息が零れた瞬間、唇を塞がれた。
互いに舌を絡め、何度も角度を変えて口付けを交わしていると、すぐに息が上がってくる。


「……ずっとアンタに触れられなくて死にそうだった」


ピアスごと耳朶にキスをされながら甘く囁かれると、背筋がゾクゾクとして、身体の芯が熱くなる。
震える喉元に柔らかく噛みつかれて、思わず仰け反る。
二週間もの間、触れ合っていなかっただけなのに、どうしようもなく身体が疼いてくる。 


―――俺の身体は一体どうしてしまったのか…。


男に抱かれて気持ちが良いなんて、以前の自分からは考えられないことだ。
日を追うごとに身体がふしだらになっていくような気がする。
ジョンシンと触れ合う度に、自分でも知り得なかった細部に至るまで暴かれ、どんどん感じやすい身躯に作り変えられていく。





セーターをたくし上げられ、現れた素肌に唇が落ちてくる。胸の尖りを優しく舐められたあと、強く吸われて吐息が漏れる。
ヨンファが感じているのを見て、ジョンシンは夢中で貪ってくる。


「あっ、あ……っ……」
「……いつもより身体が熱いね。アルコールのせい?」


乳首に軽く歯を立てられると痺れるような感覚が背筋を這いあがっていき、自然と喘ぎ声が出る。
慣れた手つきで服を脱がされ、ジーンズのベルトを外す音がしたかと思うと、手が奥まで入り込んできて直に触れられた。
長く骨張った指先に形をなぞられ、ヨンファは触れていたジョンシンの肩口に知らず知らず爪を立てる。


敏感な部分を擦られながら固くなった乳首を舐められて、強すぎる快感に身も心も翻弄される。
手の動きは次第に大胆になり、強弱をつけて揉みしだかれて嬌声を上げていると、ジョンシンの顔が下がっていくのに気付いた。
その瞬間、いきなり温かい口腔内に含まれた。


「えっ……やっ……っっ」


自然と潤んでいた双眸を大きく見開き、ヨンファは半ばパニック状態になる。
有り得ないことが自分の身に起こり、力の入らない両腕でジョンシンを引き剥がそうとした。


「ちょっ……ジョンシナッ……やめろって……っ」


ヨンファの制止にまったく聞く耳を持たず、先端を奥まで含み強く吸い上げる。


「あぁ……っ」


目も眩むような悦楽に身悶えていると、熱い舌を絡みつかせ、ヨンファから滲み出てくる蜜を舌で舐め取っていく。
激しく乱れ始めたヨンファに煽られて、ジョンシンも張り詰めてくる。


「は…なせ……っ……もう……ダメッ……っ」


全身がビクビクと震え、頭まで沸騰するような感覚に訳が分からなくなってきた。
軽く歯を立てられながらきつく先を吸い上げられて、腰の奥から蕩けていくような感覚が沸き起こり、背中を弓なりに反らす。
一向に離れようとしない唇にどんどん追いつめられて、ヨンファは堪え切れず高い声を上げると、ジョンシンの口の中に放っていた。


荒い呼吸を繰り返していると、気遣おうとしたジョンシンが手を伸ばしてくるのをヨンファは思わず振り払い、ベッドの端まで逃げていた。


「来んなっ。馬鹿っ。変態!」
「……ヨン、そういう色気のない言葉をベッドでは言わない」
「うるさい…っ」


目の前のジョンシンを睨みつけても、目元を赤く染めた潤んだ瞳ではまったく効き目はなく、逆に煽ってしまうことにヨンファは気付いていなかった。


「……そんな顔すんなよ。アンタを気持ち良くさせたかったんだって」
「頼んでないだろっ。馬鹿っ……俺、嫌だ……」
「そんなに馬鹿馬鹿言うなよ。凹むだろ」
「一生凹んどけ」
「もう分かったから。ヨンファはチョディンだもんな」


嬉しそうな顔とその言い方に腹が立つ。
ジョンシンは動じることすらなく手慣れた大人みたいに余裕すら感じて、逆に自分の方が子供扱いされていてまったく面白くない。


「ほら、こっち向いて」
「嫌だ」


自分の方に引き寄せようとするのを頑なに拒んでいると、腕を強く引かれてジョンシンが再び圧し掛かってくる。


「……俺、こんな状態なんだけど。もう嫌嫌言わないで」


ジョンシンは既に昂ぶりきっていて、ヨンファの入り口に張りつめた先端を擦りつけてくる。


「あ……っ」


いきなり硬いものを押し付けられて無意識のうちに身体が強張る。
少しずつヨンファの中に潜り込んできて奥まで収まると、ジョンシンが大きく息を吐いた。


「くっ……ンッ……あっ…あぁ…」
「……相変わらず…きついな……。ん…、息を吐いて楽にしてて」


ジョンシンが額にキスをしてきて、ゆっくりと身体の中で動き出す。
熱い高ぶりで何度も同じところを行き来されて、ヨンファの腰が自然と揺れてくる。
その反応を見て、抜き差しする動きが激しくなってきてヨンファを追い詰めていく。


「あ、あ、あっ、ンッ」
「中もいつもより熱くて蕩けそう……。ここ…ヨンファのイイところだよね」


熱に浮かされたようなジョンシンの声から、自分の身体で快感が得られているのだということが分かる。
突如その唇に口付けたい衝動に駆られて、両腕を回しジョンシンの顔を引き寄せると、それが伝わったのか唇が重なってくる。
差し入れられた舌に応えるように自分のそれを絡ませると、口付けがより深く濃厚になってくる。
角度を変えながら何度も貪られ、身体の奥を穿つ力強い腰は休むことなく動き続け、ヨンファは快楽の波に溺れ始める。


「あっ……ジョン…シナ…も、ダメッ……」


ヨンファが夢中でジョンシンに縋り付くと、強い力で抱き締められ、何度も揺さぶられる。
その間も乳首を吸われ続け、そこはジンジンと赤く膨れていた。
深く腰を打ち付けながら、自分の上で奥歯を噛み締め、男らしい顔つきが歪んでいるのが見える。


「中に…出していい?」


ヨンファの耳朶を軽く噛みながら、荒い息とともに囁いてくる。
どうしていいか分からなくて何も答えずにいると、勝手に肯定したものと判断されてますます動きが激しくなってくる。


「…ん…あ……あっ…あ、あ……っ」
「…ヨンファ…っ」


更に深く抉るように腰を入れられ、濡れた欲望を手で擦り上げられると、もう我慢できなかった。
ヨンファが全身を震わせて絶頂を迎えると、内壁が収縮し、それを追うようにして身体の最奥で熱いものが弾けた。
息を整えながらまだビクビクと痙攣している身体を休ませていると、ジョンシンが再び圧し掛かってきた。


「もう一回…いい?」
「えっ…ちょっ…と、嘘…だろ?」


今しがた達したばかりなのに、信じられないことにジョンシンはほぼ回復していた。


「嫌…だ…もう…やめろ……」
「やめない」
「ダメ…だって…」


荒く息を吐きながらヨンファが睨むように見上げるが、ジョンシンの顔は未だに欲にみまれていた。


「そんな潤んだ瞳で言われても、説得力ないから」


身体を俯せにされ腰を高く持ち上げられたかと思うと、ジョンシンが後ろから重なってきた。


「……ン…ッ、……あぁっ!」


ジョンシンの放った白濁でスムーズに一気に奥まで深く入り込み、あまりの刺激にヨンファはシーツに額を擦りつけて身を震わせた。
取らされた体勢に羞恥が沸き起こり居た堪れなくなるが、ガッチリと楔を打ち込まれて動くことすらできない。


息が整わない状態でガツガツ貪ってくるジョンシンの動きは、達したばかりで敏感になっている身体には刺激が強すぎて、
シーツについた両腕と両膝がガクガク揺れる。
それに構うことなく、ジョンシンはがっしりとした手で腰を強く掴み、硬く大きなもので中を擦り上げてくる。


「すげ…気持ちいいっ……。ん…もっと奥まで入りたい…」
「あっ……もう…無…理……っ」


熱い屹立で最奥を繰り返し突き上げられて、ヨンファの弱いところに当たると、徐々に快感の波が押し寄せてきた。
切羽詰まった声が引っ切り無しに上がり、それに誘われたのか中の質量が前より膨れたように感じて、大きく胸を喘がせる。
ヨンファの前を弄りながら速くなる律動に全身から汗が滲み出てきて互いの身体が一層熱くなってくる。


「あっあ……っ、ん……っ」


二人が絶頂を迎えるまで責め立てられて、ヨンファは甘い悲鳴を零しながらシーツを掻きむしった。










嵐のような時間が過ぎ去ったあと、ジョンシンは嫌がるヨンファを強引にバスルームに連れて行き、中に出したものを指で掻き出した。
事後処理中に思わず漏れたヨンファの艶めかしい声にジョンシンの欲望が即反応し、そのままもう1ラウンドいこうとして、頭を叩かれてしまった。


「……ごめん。ちょっと無理させすぎた?」


ぐったりとベッドに横たわるヨンファに毛布を掛けて、ジョンシンが遠慮がちに声を掛けてきた。
立て続けに挑まれて身体に力が入らないヨンファを気まずそうな顔をして覗き込んでくる。
それにヨンファは憮然として溜息をつく。


「……ごめんじゃねーよ」
「……悪かったよ」
「お前の前で酒を飲むとこういうことになるんだな。良い教訓になったよ」
「そんな嫌味言うなよ。悪かったって」


ベッドに腰を掛けてヨンファの髪の毛を優しく撫でてくるが、恨みがましい目で見返すとわざとらしく咳払いをする。


「ずっとアンタが欲しくて堪らなかったから、抑えが利かなかった」
「……んなこと、知るか」


散々ヨンファを好き勝手にして相当満ち足りているのだろう。
いくら素っ気なくしてもめげる様子がない。しかも、怠そうなヨンファとは真逆で、ジョンシンは妙にスッキリとした顔をしていて、それがひどく癇に障る。


ジョンシンはヨンファの隣で一夜を明かしたかったようだが、それをヨンファは拒否した。
仕方なく服を着て帰り支度をしているジョンシンをヨンファはベッドからじっと眺める。
長身でモデルのようにスラッとしているが脱ぐとしっかりと筋肉がついていて、正直、隣には並びたくないタイプだ。


そんな男が何故自分を選んだのかがいまいち良く分からない。
年下の分際で女性の経験数では圧倒的にヨンファを上回っているだろうし、同性に興味があるわけでもない。
それなのに、どうしてこんなゴツゴツした身体の自分を抱くのか不思議で堪らない。


「お前さぁ、俺のどこがいいわけ?」
「へ?」
「ジョンシナなら女にすごくモテるのに、何で俺なんだ?」
「……今更何を言い出すんだよ。俺の気持ちは伝えてるだろ」


分かり切ったことを聞くなと言わんばかりに、小さく息をついてこちらを不機嫌そうな顔で見てくる。
そう言われても、ヨンファの気分は晴れなかった。
確かに今までジョンシンの気持ちは何度も言葉にして告げられてきた。それを嘘だとは思っていない。大事にされている自覚もある。
それが、ミニョクの話を聞いてから、どうしても心の中に目に見えない棘のようなものが刺さってしまったのだ。


「そんな顔するなよ。せっかくの綺麗な顔が台無しだろ」


無意識のうちに顔を歪めていたらしく、それを指摘してきたジョンシンの言葉に引っかかるものを感じた。
ヨンファがこれだけ悩んでいてもそれには気付きもせず、どうでもいい顔のことにはすぐ反応してくる。それが何だか無性に嫌だった。
ヨンファは自分の頬に触れようと伸ばしてきた手を、咄嗟に振り払っていた。


「……やっぱり顔なんだな。よく分かった」
「は?」
「早く帰れよ。明日も仕事だろ」
「何だよ、いきなり」


ヨンファの剣幕に押されつつも納得のいかない顔をしてジョンシンが食い下がってきたが、一切取り合わなかった。
なかなかその場から動こうとしないジョンシンにムカムカして、ヨンファはだるくて重い身体を引きずりながら、ジョンシンを玄関まで追い払う。


「俺、しばらくの間忙しいから、当分そっちに行かないからな。だから、お前もここに来るな」
「えっ、嘘だろ?一体、どういうことだよっ」


ギョッとしたような顔で焦り始めるジョンシンをドアの外に追い出して、鍵を閉めた。


「ちょっとヨンファ、開けろって!」


外から声が聞こえたが、無視して再びベッドに横になる。
すぐさま電話がかかってきたが、ヨンファはマナーモードにして出なかった。
今はジョンシンとは顔を合わせたくなかったし、話もしたくなかった。





そして翌日、ヨンファは東京プレミアムライブのため、日本に向けて出発した。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

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