CNBLUEのBL小説ブログです。ヨンファ溺愛主義で、シンヨン&釜山ズ&ミニョヨンの話を書いています。

Eternal Sky 1

2016年03月09日
DESTINY 0


『DESTINY』 続編



インターホンを鳴らすとすぐさまドアが開き、目の前の姿を確かめると、ジョンシンはヨンファをきつく抱き締めてきた。


「……おかえり」


ヨンファが本当に来るのか半信半疑だったのか、心なしかホッとしたような顔をするジョンシンに、ヨンファは笑いながら「ただいま」 と言った。





数日後に、ヨンファのソロコンサートの東京公演が迫っていた。
東京の次は大阪でも行われるので、内容を日本仕様に変更することにして、いつものスタジオでリハーサルが行われた。
楽曲の一部を日本語で熱唱し、MCも日本語バージョンにして繰り返し練習した。
ヨンファバンドとの呼吸も一層良くなってきて、忙しくて多少の疲れはあるものの、ヨンファは心地良い充足感に包まれていた。





リハーサルが終了した後に、ジョンシンのマンションへ行く約束をしていたので、マネージャーに車で送ってもらった。
ヨンファに気付いたシンバが奥からやってきて、構ってくれと言わんばかりに擦り寄ってくる。


「シンバ、元気にしてたか?」


少し屈んで頭を撫でてやると、尻尾を振って嬉しそうにする。
ジョンシンが愛情をたっぷり注いで育てて、しつけもきちんと行き届いているのだろう。
シンバはとても頭が良い犬で、自分たちの言葉も分かっているようだった。





リビングに行くと、先程出迎えてくれたジョンシンが隣接しているキッチンで何かを作っていた。


「ヨンファ、もうちょっと待てる?俺、帰ってきたばっかりだから簡単なメニューになるけど」
「ああ。何か手伝おうか?」
「いや、すぐできるから、テレビでも観てて」


ジョンシンも仕事で疲れているはずなのに。
ヨンファは申し訳なく思ったが、ジョンシンの好意に甘えることにして、広々としたリビングのソファーに座る。
すると、シンバが側に来てくれたので、じゃれ合って遊んでいた。





美味しそうな匂いが漂ってきて、空腹と闘っていたヨンファは倒れそうになった。


「ヨンファ、できた」


ジョンシンに呼ばれてテーブルを見ると、キムチチャーハン、野菜サラダ、ワカメスープが並んでいた。


「うわっ、これ、めちゃくちゃうまいな!」


ヨンファが夢中で食べ始めると、向かいに座ったジョンシンが目を丸くして驚いている。


「そんなにお腹が空いていたのか?」
「さっきまではそうでもなかったけど、匂いで一気に食欲が出てきた」


キムチが程よい辛さで、どんどん食が進む。サラダもスープもヨンファ好みの味付けだった。
本当にジョンシンの作る料理は何を食べてもおいしい。
いつにも増して食欲旺盛なヨンファをジョンシンが微笑ましく見つめてくる。


「お前の料理ってすごく美味しいよ。俺…好きだな…」


思っていたことがついポロッと口から出ると、ジョンシンがいきなり噎せた。
ヨンファが驚いていると、たった今飲んでいた烏龍茶のグラスをテーブルに戻しながら言う。


「ヨンファって、いきなり爆弾を投下するようなことを言うよな」
「えっ?俺、今なにか変なこと言ったか?」
「……分かってないのかよ。無自覚ってのは一番タチが悪いな…」


低い声でぼやいたあと、ジョンシンはまた食べ始めた。
せっかくジョンシンの料理を褒めたのに、微妙なリアクションをされてヨンファはいまいち納得がいかなかったが、 気にせずにスプーンを動かす。


「東京に行くのは明後日だっけ?」
「そう。お前もあとから来るんだろ?」
「ああ、ミニョクと一緒に行くから」


ヨンファの東京公演の翌日、同じ東京でCNBLUEとしての雑誌撮影の仕事が入っていた。
そこで、他の三人とは現地で合流することになっている。


「ジョンヒョンは結局どうするんだ?」
「俺たちとは別に一人で日本に行くってさ」


ジョンヒョンは東京で別の仕事が入っていて、それが終わってから落ち合うことになりそうだ。
四人ともそれぞれ個人活動の場を広げてけているので、何かと忙しかったりする。


「なんか、こういうのっていいよな。個人の仕事をやりつつ、また四人で集まってさ。しかも、それが東京でって……」


ヨンファは今のこの現状を昔と比較して、できるだけ初心を忘れないようにしている。
5年前、武者修行していた頃はまだ自分たちは無名で、ライブをやっても最初は数人しか集まらず、暗い日々を過ごした。
それが同じ東京で、今ではやりがいのある大きな仕事をやらせてもらえるようになった。
あの当時は、自分たちがこれほどまでに有名になって活躍できるなど、微塵も思っていなかった。


途中でジョンシンが加入し、ヨンファは初めてのドラマ出演で俳優デビューし、それから数ヶ月後に本国デビューできたのだ。
それから四人で今までやってきて、今年、ヨンファはソロデビューもできた。
自分の夢が次々と実現していくことに、本当に恵まれているのだと感謝してもしきれない。


昔を懐かしく思い出し、つい笑みが零れてしまう。
ふと視線を感じて顔を上げると、ジョンシンがじっとこちらを見ていた。


「それは、ヨンファが人を惹きつける力も持っているからだ」
「え?」
「一度でも一緒に仕事をした人間は皆、アンタに吸い寄せられる。だから、俺たちは活躍していけるんだ」


思いがけない言葉に、ヨンファは大きな瞳を見開いた。
強い意志を持った真っ直ぐな眼差しから目が離せない。自信に満ち溢れた口調で言われて、温かいものが胸に広がってくる。


「お前たちがいてくれるからだよ。そうでないと俺は輝けない。……お前がいないと……」


ポツンと呟くと、スプーンを置いた手にジョンシンの大きな手が重なってきて、ギュッと握り締められた。


「ずっと側にいるから……」
「…ああ……」


慈しむような瞳で言われて、ヨンファは胸がいっぱいになった。










「俺、明日早いからそろそろ帰ろうと思うんだけど…」


食べ終えた食器を洗ってから、ソファーに座ってスマホをいじりながらヨンファが言うと、テーブルを拭いていたジョンシンの動きが止まる。


「……明日は何時から仕事?」
「7時にマネが迎えに来ることになってる」
「……………」


急に黙ってしまったジョンシンを不思議に思い、声を掛ける。


「ジョンシナ…?」
「……あとで俺が車で送るから、もう少し一緒にいたい」
「え?」
「……ダメ?」


じっとヨンファを見つめてくる静かな瞳には、情欲が滲み出ていた。
『一緒にいたい』 というのは言葉どおりではない。その先の行為を意味することはヨンファにも分かった。


初めて身体を繋げてから、まだそんなに日は経っていない。
ジョンシンの経験値が高いからなのか、それとも優しく扱われたからなのか、傷になることもなかった。
同性の仲間に組み敷かれて征服されることに、まだ少し躊躇いや罪悪感はあるが、後悔はしていない。
むしろ、これほどまでに好きな相手から求められて、嬉しいと思う自分がいた。


「……ダメ…じゃない…」


いつの間にか目の前に来ていたジョンシンの指が、頬に触れてくる。
それから、ゆっくりと顔が近付いてくるのが分かり、ヨンファが瞳を閉じると唇が重なってきた。










ジョンシンは寝室の電気を暗めに調節して、そのままヨンファの腕を引いてベッドに縺れ込む。
吸い寄せられるように何度もキスを繰り返しながら、ヨンファが縋りつくように両腕を回すと、強い力で抱き締められた。


「……ヨンファ、愛してるよ」
「あ…俺も……」


包み込むような優しい眼差しで見つめられ、愛情が滲み出た声で言われて切なくなってくる。
それに答えようとすると、再び唇を塞がれ、ヨンファの言葉は喉の奥に飲み込まれた。


ジョンシンが身に着けていたものを脱ぎ捨てて裸身を露わにすると、ヨンファもセーターを脱いでその下のシャツに手を掛けた。
それを横から強引な手に止められる。


「ダメだ。俺が外す」


否応なしにボタンを一つずつ外されながら、唇に啄ばむようなキスをされて、ヨンファの身体に火がともり始める。
はだけたシャツの隙間から手が差し入れられて、ヨンファの胸の先端を指先で弄りながら、食むように唇が重ねられた。


ジョンシンの動きは無駄がない。的確なポイントをついていて、途中でまごつくことなく、流れるような動作で欲望の赴くままに行動していく。
それがまるで経験の違いを見せつけられているようで、ヨンファは戸惑いながら昔の知らない相手に面白くない感情を抱いてしまう。


自然と深くなる口付けに応えていると、ジョンシンに衣服のすべてを奪い去られ、首筋に唇を這わせてきた。
それが少しずつ下方へと移動し、鎖骨を通りすぎていった唇がぷっくりと主張している乳首を見つけ、甘噛みするように口に含む。
ツキンとした快感がヨンファの胸から身体中へと駆け巡っていく。
ジョンシンは味わうように吸い付きながら、手を下げていきなり脚の間に触れてきた。


「…あっ……あぁ…っ」


大きな手の平で優しく中心を包み込まれ、ゾクゾクとした痺れが身体の隅々まで支配する。
ジョンシンは執拗に胸への愛撫を繰り返しながら、右手を擦り立ててヨンファを硬く育てようとする。
濡れそぼった括れを揉み込まれると、それだけで達しそうになり、ヨンファは思わず嬌声を上げた。


「ん、んっ……あっ……」
「…いいよ、我慢しなくて。…先にイって……」


興奮を滲ませた低い声で言われて、カッと全身が熱くなる。
だんだんと何も考えられなくなり、息が絶え絶えの状態で身を任せていると、いつの間にか別の指が後ろを探り当ててきて、ビクンと身体が跳ねる。
不安を感じるヨンファを落ち着かせるように、優しいキスが繰り返される。
身躯から力が抜けると、ヨンファの先走りで濡れた指がゆっくりと奥まで入ってきて、中を開こうと抜き差しを始め出す。


「やっ……あぁっ……」


いつの間にか、ヨンファの表情を見逃すまいとじっとジョンシンに見つめられていることに気付き、居た堪れなくなって目を閉じる。
指で奥を馴染ませながら、次第に右手の動きが早くなり瞬く間に追い上げられ、シーツを掴む指に力が入る。


「あっ…んっ、は……っ」


腰から下が蕩けそうなほど気持ち良くなり、限界の近付いていたヨンファは耐え切れずにジョンシンの手に放っていた。
切れ切れになる息を整えながら大きく胸を喘がせていると、奥に押し込んでいた指を再び動かし、ヨンファの感じる部分を執拗に嬲っていく。
怖いくらいに感じすぎて、ついていくのがやっとだった。


「もっと感じさせてあげるから、力を抜いて」
「う……あ、っ、……ぁっ……や……っ」


増やした指で中を掻き回すと喘ぎ声がひっきりなしに漏れ始め、ジョンシンの屹立は限界になるほど膨れ上がっていた。
ヨンファの左足を抱えて自分の欲望を押し当てると、ジョンシンはゆっくりと腰を進めていった。


「あ、あぁ……っ!…ん……ンッ」


ヨンファは喉を震わせながら涙目でジョンシンを見上げる。
目尻に溜まった滴を唇で吸い取られ、そのままどちらからともなく唇を重ねる。
熱い塊は大きくて、奥まで挿いるのに時間がかかり、ヨンファは咄嗟に抱き付いたジョンシンの背中に爪を立てていた。
内壁がその形に広げられ、猛った高まりに絡みついて離すまいとする自分に恥ずかしくて唇を噛む。


「………はあっ……ヨン…締めすぎ…っ」


ジョンシンが大きく息を吐き、満足そうな顔をしながらゆっくりと味わうかのように腰を動かし始める。


「あぁ……っ…ん……っ」
「痛い?前回よりは入りやすくなったけど」
「……へい…き…っ…」


思ったより痛みはなかったが、圧迫感がすごくて、胸の辺りにまで何かがせり上がってくるような感覚がある。
強すぎる刺激に、交わっている箇所が徐々に熱を持って疼いてくる。
揺さぶられるままに声を上げ、恍惚の表情で喘いでいるヨンファの耳元にジョンシンが掠れた低音で囁く。


「……ヨンファ、気持ち良い?」
「……っ、ん、あっ」
「イイって言って」


それには答えず、かぶりを振って逞しい肩口に額を擦りつけると、顎を優しく掴まれて噛みつくような口付けが降ってくる。
唇を塞がれたまま何度も突き上げられ、ベッドが軋むほど揺さぶられる。
次第に動きが速くなり、その反動で唇が離れ、艶やかな声が口から零れていく。
ヨンファの感じるところを繰り返し擦られて頭が真っ白になった。


「んっ……っ……あっ、あぁ……っ」
「ヨン…ファ……すご……っ」


声を上げて達した瞬間、中から引き抜かれたジョンシンもまた弾けて、二人で大きく息を吐きながら、シーツの上にぐったりと倒れ込んだ。







********************************************************************************







3月7日、8日の2日間は東京でソロコンサートが行われた。
大半はソウル公演とほぼ同じ内容で、アルバム曲、ヨンファが尊敬するボンジョビやオアシスのカバー曲、CNBLUEの曲をアレンジしたものを披露し、ファンの気持ちを盛り上げ協調させ、一体となって作り上げたステージとなった。
また、韓国語歌詞を日本語に変えて歌ったり、GLAYのTAKUROが作詞を手掛けた『君を好きになってよかった』を熱唱し、大成功に終わった。


「お疲れ様でした」
「お疲れでした!」


ステージから下り、大勢のスタッフやヨンファバンドの皆たちに挨拶をしながら楽屋へ向かっていると、廊下に見知った顔を見つけた。
スタッフたちの中にいると特に目立つ長身の二人。―――ミニョクとジョンシンだった。


緊張が一気に解れて、素のヨンファが現れる。
思わず笑みを浮かべながら二人に駆け寄った。


「よぉ、お疲れ」
「ヒョン、お疲れ様!超満員で大盛況だったね。また日本語が上手くなったんじゃない?」
「そうか?目いっぱい練習したからな」


「今日の完成度も高くて…本当にすごかった。二日間、お疲れ様」
「うん……ありがとな」


ミニョクに興奮気味に褒められて、そして、ジョンシンが眩しいものでも見るかのように目を細めて讃えてくれた。
数日ぶりに顔を合わせて、ヨンファは少し気恥ずかしかった。


大勢のスタッフたちが片付けなどで行き交う中、あまり時間がなかったヨンファは立ち話を中断し、二人とはまた後で合流する約束をして、その場を離れた。










夕食はミニョクとジョンシンの三人で、有名なイタリアンの店へ食べに行った。


「ヒョン、何にする?」
「俺はピザとビール」
「もっと食べないと倒れるよ。俺が適当に頼むから」


メニューを見ずに即答したヨンファに、ジョンシンが早速世話を焼いてくれる。


「そうだよ。来週は大阪でしょ?いっぱい食べて元気をつけないと。あ、僕、ワイン頼もうかな」


ミニョクとジョンシンが料理とアルコールを適当に頼んで、来た料理から取り分けて食べていく。


「ジョンヒョナ、今頃何食べてんのかな?」


ジョンヒョンは別の仕事の共演者やスタッフたちと同行していて、ここには来れなかった。
ビールを飲みながらヨンファが呟くと、斜め前のジョンシンがすぐに反応してくる。


「……そんなにジョンヒョニヒョンのことが気になる?」
「せっかく同じ東京にいるのに、一緒じゃないから残念でさ」
「……明日、仕事で会えるだろ」


ジョンシンは面白くなさそうな顔をして、前菜を口に運んでいる。
それに対して、グラスワインを飲んでいるミニョクはウキウキと楽しそうだ。


「また、帰国してから集まったらいいじゃん。それよりハネムーンって設定の撮影なんでしょ。いいなぁ、楽しそうで。僕にもオファー来ないかなぁ」
「そのうちあるんじゃないか?」
「だといいんだけど、順番で言ったら次は僕でしょ。ヨンファヒョンのウギョル、すごくお似合いで良かったよね。ヨンソカップルって今でも人気あるらしいよ」
「へぇー、そうなんだ」


ソヒョンとは時々顔を合わすことがあるが、本当に妹みたいで可愛い。
いまどき珍しいぐらい真面目で礼儀正しくて、ヨンファもとても好感を持っている。
控えめで素直な彼女だったから、あの番組を一年余り一緒に続けることができたのだと思う。


「……所詮、仮想だから」


懐かしく思い返していると、ムスッとしたジョンシンの一言で和やかな雰囲気がぶった切られた。
それに、負けじとミニョクも言い返す。


「男の嫉妬は醜いぞ、ジョンシナ」
「何だと?」


すると、二人の会話を聞いていたヨンファが的外れなことを言い出した。


「何だ。ジョンシナもウギョルに出たいのかよ」
「……は?」
「お前もさ、羨ましいからっていちいち腹を立てるなよ。いつかはジョンシナにもオファーが来るかもしれないから。
仮想って言ってもなかなか楽しかったぞ。ソヒョンがマジ可愛くてな。本当に結婚したらあんな感じなのかなって思ってさ…」
「……………」


しばし呆気にとられていたが、生ハムにフォークを突き刺したジョンシンの眉がグッと不機嫌そうに歪められた。
ちょうどその時、焼き立てのピザが運ばれてきた。


「あっ、ピザが来たから食べようっ」


慌ててミニョクがその場を取り繕って、それ以上不穏な空気になることはなく、楽しい夕食を終えたのだった。










夕食後はまたタクシーで、宿泊先のホテルへと戻った。


ヨンファだけ一人部屋で、ジョンシンとミニョクは同室だった。
ソファーに横になったヨンファがスマホをタップしていると、呼び鈴の音が聞こえた。


「はい?」


ドアを開けると、目の前にジョンシンが立っていた。


「ちょっといい?」
「どうかしたのか?」


部屋に通すと、いきなり両肩を掴まれて、不意を衝かれたところに唇が重なってきた。
驚いた反動でヨンファの身体が後ろに倒れそうになり、折れそうになるほどギュッと強く抱き締められた。


「ヨンファ補給」
「……馬鹿」


腕の中に閉じ込められて、トクンと心臓が跳ねる。ヨンファはされるがままにその広い肩口に顔を埋めた。


「忙しいだろうけど、ちゃんと食べて寝てる?」
「……ああ。ちゃんとやってるよ」
「休む間もなく仕事ばっかりしてるから、倒れないかって心配なんだ。無理してない?」


抱き合ったままヨンファは大きく頷いた。こんな風に気遣ってくれて素直に嬉しかった。
ジョンシンのさり気ない優しさに触れる度、自分は同じだけのものを返しているのだろうかと、いつも思ってしまう。


顔を上げて浅黒い精悍な顔を見つめると、ジョンシンは堪らないとばかりに、ひどく困ったような顔をした。


「……そんな瞳で見るなよ。…クソッ、ここが家だったらな……」


頭を掻きながらボソッと漏らした呟きに、「また帰ってからな」 とヨンファが言うと、再びキスをされた。







********************************************************************************







東京公演のあとの約2週間は、有り得ないほどの超過密スケジュールだった。
東京から帰国したヨンファは数日間自国で仕事をすると、今度は大阪公演のためまた日本へ出発した。
東京公演とほぼ同じ内容で2日間行われ、それが終わるとまた帰国。
その2日後には今度は香港へ行き、コンサートが終わったあとも含めて3日間そこで滞在し、翌日上海入りした。
そして2日間の上海公演を終えてまた帰国と、とにかく怒涛のスケジュールで、何度飛行機に乗ったかと思うほど移動を繰り返した。


次のバンコク公演までは少し間が空くので、それまでまた自国で仕事をこなす日々を送っている。
今日は午前中は作業室へ行き、午後からはリハーサルがあった。


ジョンシンとはこの2週間、仕事で顔を合わすことはあったが、プライベートではお互いに行き来をしていなかった。
だから今日の夜、久々に会う約束をしていたが、リハーサルが終わった後、ヨンファバンドのメンバーとスタッフの数人から、
打ち合わせを兼ねて食事でもどうかと誘われた。


ジョンシンには打ち合わせが入って行けなくなったとメールしたのだが、『遅くなってもいいから』 と返信があった。
結局、終わってからジョンシンのマンションへ着いたのは21時を過ぎていた。





正直こんなに遅くなるとはヨンファ自身思ってもみなかったが、食事をしながらの話が盛り上がってしまい、ズルズルとこんな時間になってしまった。
ジョンシンの優先順位が下というわけでは決してないが、家族同然の遠慮のない仲だし、常日頃から仕事を優先にすべきだとヨンファは考えているので、こういうことはよくある。それがジョンシンは気に入らないようだった。





案の定、ジョンシンがドアを開けてくれた時、あまり機嫌は良くなかった。


「……悪かったって。ちょっと長引いて、仕方がなかったんだ。お前とはいつでも会えるけど、バンドのメンバーやスタッフとは今しかないんだから。 俺だっていろいろ付き合いもあるし」


キッチンを見ると、いろいろな手料理を用意してくれていたようだった。
確かに夕飯時には仕事が終わるはずだったからそう言ったのは自分だけど、予定外のことが急遽入ることもある。


「いつでも会えないだろ。アンタは忙しくてたまに事務所で会っても作業室に籠りっきりだし、ここにだってあんまり来てくれないじゃないか」
「……だから、ソロ活動が落ち着くまではなかなか時間が取れないのはジョンシナだって分かってるだろ?」
「時間なんか無理すればいくらでも作れる。アンタが無理しないだけで…」


不毛な堂々巡りに、疲れていたヨンファはだんだんとうんざりしてきた。
本人に言ったら怒るだろうが、こういうところはやはりマンネだなと思う。


ヨンファもジョンシンに会いたいのはやまやまだが、恋愛にかまけて仕事を放り出すなんてことは絶対できない。
音楽の仕事が大好きなヨンファにとって、それは当たり前のことなのだ。だから、約束を反故することも当然出てくる。
確かに無理はしていないかもしれない。でも、ある程度行動に余裕を持っておかないと、ギリギリだと必ず支障が出ると思っている。
それがジョンシンには分からないのだろうか。


ヨンファに会いたいと思ってくれているジョンシンの気持ちはとても嬉しいが、自分の立場も分かってほしい。
それをこの年下の男に延々と説明しても本人には伝わらないかもしれないので、それは口には出さずにおいた。





リビングのソファーに座って、不貞腐れてテレビを観ているジョンシンにどう接していいかとヨンファが思いを巡らせていると、
少し離れたところから伏せた状態でこちらの様子を窺うシンバと目が合った。


「シンバー」


呼んだらすぐにヨンファ目がけて尻尾を振りながらやってくるのが堪らなく可愛くて、床に座ってハグしてやる。


「お前はいっつも可愛いなぁ。誰かと違って」


ボソッと嫌味を呟いたヨンファの背中に鋭い視線を感じたが、無視してシンバとじゃれ合う。
ジョンシンが頻繁にブラッシングをしているからなのか、毛並みが綺麗で触り心地がとても良い。


シンバの頭の上に顎をのせてお腹を擦っていると、急にシンバが動いて、ヨンファはバランスを崩して仰向けに倒れてしまった。
すると、ヨンファの顔を心配そうに覗き込んでくる。


「よしよし、いい子だな。俺は大丈夫だよ」


腕を伸ばしてシンバの頭を撫でてやると、ずりっとシンバの身体が横にずれた。
と思ったら、ジョンシンがヨンファの上に覆い被さってきた。


「うわ…っ」
「シンバばっかりズルいだろ」
「何が……んっ……」


すかさず唇を奪われて、ジョンシンの舌が入り込んできた。肩をギュッと抱き寄せられ、口腔の奥深くまで探ってくる。
ヨンファの歯をなぞり、舌を絡めて激しく貪るようなキスへと変化すると、次第に頭が朦朧とし始める。
長い口付けに息が上がってきたヨンファに気付いて、唇がようやく解放された。


ほう…っと熱い吐息をついていると、真上から覗き込んでいたジョンシンが再びキスをしようと顔を近付けてくるのが分かり、
ヨンファはその口を咄嗟に手で塞いだ。
拒絶されることがまったく頭になかったのか、ジョンシンは大きく目を見開いて驚いている。


「何で止めるんだよ。ヨンファ、嫌なのか?」


ヨンファの手を外して、不満そうに言ってくる。拒まれたのが心外だと言わんばかりに大きな溜息までついて。


「ジョンシナはいつも強引すぎるんだよ」
「俺が?そんなことないだろ」
「そんなことある!これ以上はダメだからな」
「は?嘘だろーー!?」


呆れたようなその口ぶりに、これまたカチンときてしまう。


「嘘じゃない。本気で言ってるんだ。……この前、仕事に出た時キツかったから、今日はなし」
「だって俺らまだ2回しかやってないし、もう2週間も触れ合ってないんだぞっ」
「い、いちいち口に出すなっ」


あけすけに言ってくるジョンシンに顔が赤くなる。こういうところは本当に苦手だ。
何でも口に出せばいいというものではない。
……やっぱりマンネだ。


「クッソ、マジかよ……」


一度言い出したら聞かないヨンファの性格をよく知っているだけに、目論見が外れて相当ショックのようだ。
眉間に皺を寄せて天を仰いだジョンシンが小さな声でぼやいたが、ヨンファはわざと聞こえないフリをした。





To be continued





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haru
Author: haru
CNBLUEのBL小説を書いています。CPはシンヨン&釜山ズ&ミニョヨンです。ヨンファ溺愛主義でとんでも妄想ばかりですが、愛だけはぶっこんでいます。
話のトーンはほのぼの、甘々、コミカル、シリアス、切ない系。ハピエンオンリーです。
基本マイペースでランダム更新。妄想は思いつくまま、気の向くまま。R18の内容が含まれているため、未成年の方、苦手な方は閲覧にはくれぐれもご注意下さい。
尚、当ブログに掲載している作品はすべて私個人のオリジナルですので、模倣、転載等はご遠慮願います。

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